下手の横好き(馬と獅子が好きです)

主に西武ライオンズ、競馬のことを主に書いています。

【FA問題(人的補償拒否騒動)】FA制度のルールで定められた責務を果たせないなら、人としてFA権利を主張してはいけない。FA制度は建前すら無くなり、野生の強奪合戦という本音だけが露呈される制度と化す懸念を生むほどの大問題。権利だけの主張や建前(大義)無き制度はサルの行動と変わらない。今回の騒動は逆にFAルールを改正する好機にもなる一方、得する側のさらなる優位さを促進する危機も有する問題です。

昨日、中日から日ハムへの
FA代償となる補償について、
中日の岩瀬が自身の引退を“盾”に
人的補償を拒否した騒動が報道されました。


いつもTwitterで仲良くさせて頂いている
tthgさんのブログ
「西武ライオンズ応援日記~黄金時代の再来を~」
で掲載されていた
『岩瀬投手と中日のごね得を許すな。』
という記事について、私も大いに賛成です。


今回は日ハムと中日も問題でしたが、
しかもFA流出が多い西武にとっても
決して他人事ではない重要な問題です。


その騒動に関して、
巨人現場でも騒がれたという報道が
出ておりました。

【岩瀬人的補償騒動】巨人現場で異論噴出
1/19(金) 16:38配信 (東スポ)
 本紙既報の
中日・岩瀬仁紀投手兼コーチ(43)が自身の引退を“盾”に人的補償を拒否した騒動が巨人でも話題となっている。他球団に比べてもFA補強が活発な老舗にとっても人ごとではいられない。今オフには西武からFA移籍した野上の人的補償として高木勇を放出したばかり。その現場が見せた反応は――。
 騒動の始まりは中日にFA移籍した大野の人的補償として、日本ハム側が28人のプロテクトリストから外れていた功労者の岩瀬を指名。これに対し、岩瀬は「人的補償なら引退する」などと移籍を拒み、最終的に“大人の対応”を取った日本ハム側が金銭補償へ切り替える形で決着を見た。
  
前代未聞の事態にFA市場常連の巨人内でも「本当なんですか?」と騒然。チームスタッフは「事実だとしたら、とんでもない話。“岩瀬がそう言っているから”という理由がまかり通るなら、ルールなんてあってないようなものじゃないですか。それなら、この間ウチから出て行った高木勇もそうだし、これまで人的補償で移籍していった選手はどうなるのか。選手に選択の余地はないし、自分の意思とは関係なく人生を変えられている。フェアじゃないし、許されていいのかなと思います」と首をかしげる。
  さらに「リストから漏れていても移籍しなくて済むなら、
プロテクト自体の意味がない」と指摘した別のスタッフは「だったら、人的補償の制度をやめて金銭だけにすればいい。選手は自分がプロテクトされているか、されていないかにもすごく敏感。金銭で済むなら、そういう不安もなくなる」と“カネで解決プラン”もブチ上げた。
  FAには付き物の
人的補償では何度も痛い目に遭ってきた巨人。近年では高木勇の他にも山口俊で平良(DeNA)、大竹寛で一岡(広島)、相川で奥村(ヤクルト)が引き抜かれるなど多くの有望株を失った。それだけに今回の“移籍拒否事件”には高い関心を持っている。


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FA制度はある黒い球団が
自らの戦力アップを図る強奪制度ですが、
最低限、補償ルールは遵守すべきであり、
そのルール無き制度
強奪onlyの制度と化します。
正直、今の補償ルールでさえも
不平等さはぬぐえない状態です。


上記の記事のように、
確かに人的補償対象になった選手には
本来自分の意思は通じず、
その決定に従うしかありません。

しかし、FA権利に関しては、
選手達も『選手の大事な権利』
と言います。
その権利主張が
FA制度の表向き、建前上の大義
です。


FA制度を保ちたいなら
後述するとおり、
人的補償は必須ルールです。
すなわち、
人的補償はFA権利の代償でもあります。
それ故、選手らがFA権利を主張するのであれば、
人的補償ルールの遵守は選手らの義務です。
権利だけを主張するのはおかしな話であり、
FA制度の
建前上の大義
(選手達の権利)は崩れ、
建前すら全く無き
本当の目的(強奪制度)だけ

の制度になります。


もし今回の報道のように
(東スポという点が微妙ですが)
本当に引退をちらつかせたのであれば、
tthgさんのブログや上記記事でも
指摘されているとおり、
FA制度を揺るがす深刻な大問題であり、
岩瀬が行った行為は、
人的補償の妨害といってもいいくらいです。
その人的補償という責務を放棄するなら、
FA権利なんて主張してはなりません。


もちろん、
転勤したくない気持ちはわかりますが、
普通、転勤を拒否すれば
命じた会社を辞めるリスクも残ります。
もちろん、そのまま通る場合もありますが、
今回の騒動は、
そのまま自分の意を通すことを
故意に行った行為です。
場合によっては、
球団と示し合わせた疑惑も考えられます。


ある意味で、今回の騒動は
現ルールの抜け道で生じた問題わけですが、
その大問題を放置すれば、
今後も十分生じ得る問題でしょうし、
選手と球団がわざと組んで
悪用することも否めません。


そんなことがまかり通るなら、
上記記事にあるように、
ルールなんてあって
ないようなもの
であり、
プロテクト自体の意味がない
ことになり、
FA制度は、
FA選手を獲得する側の
一方的な好都合の制度

にするものと化します。


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ところで上記記事について、
突っ込みどころも見られます。


まず
>人的補償では何度も痛い目
>遭ってきた巨人。

この表現はおかしいです。
そもそも巨人自身が、
FA選手を積極的に大金積んで
奪って行くわけ
ですから、
その代償は当然払わなければなりません。
痛くない代償無しでFA選手を奪うのは
強奪どころか、強盗とかわり有りません。
漫画ドラえもんに出てくる
ジャイアン理論
『お前の物はオレの物。
 オレの物もオレの物』
と一緒です。
まあ同じ頭文字『G』ですけど。

その結果、FAで獲得した選手が働かず、
人的補償で出した選手が活躍した
というのはあくまで結果論であって、
現行ルールとは全く関係ない話であり、
巨人首脳陣の決断の誤り、
見る目が無い無能ぶりを示している
にすぎません。
人的補償が痛いと言うんだったら、
FA獲得ばかりする方針を見直し、
自前の選手育成に力を注ぐきでしょう。


次に
>人的補償の制度をやめて
>金銭だけにすればいい。

こんなルールはもってのほかです。
人的補償は、
今まで手塩にかけて育ててきた選手ロスなど、
戦力状況に左右する痛い代償であること
は当たり前の話です。
だからFA選手を獲得するか否かも含めて
悩むわけです。
しかし、その懸念材料が無くなれば
大金さえを積めば獲得し放題になり、
ただでさえ、現行のFA制度で
球団別に格差がある
にも関わらず、
その格差がいっそう顕著になります。
それを少しでも抑制するために、
最低限、人的補償の選択肢は必要です。


ちなみに、
現行FA制度の代償ルールに関しては、
1度目FA選手を例にとると、
次のとおりです。


◆ランクA
1)旧年俸の0.8倍の金銭
2)獲得制限外の選手1名
 +旧年俸の0.5倍の金銭
◆ランクB
1)旧年俸の0.6倍の金銭
2)獲得制限外の選手1名
 +旧年俸の0.4倍の金銭
◆ランクC
補償(人的・金銭)不要


10年前くらいから
ランクC選手は補償不要
というルールは登場しました。
しかも、ランクC対象選手は、
旧年俸順に11位以下の選手ですから、
単純に1軍登録枠28名を考えれば、
十分1軍レベルの選手が対象になります。
そんな1軍レベルの選手を
奪われれば痛手になるのは当たり前であり、
そのような中、補償が全く無し
というのは、
『もって行け泥棒!』
と変わりません。


西武においても
片岡の人的補償で脇谷は入団し、
その後、脇谷がFAで巨人へ出戻りました。
脇谷が古巣へ帰ったこと
ここでは話をする気はありませんけど、
このとき問題だったのが
ランクCの脇谷がFA移籍する際
全く補償が無かったことであり、
結果として、
レンタル人的補償に終わったことです。


ただでさえ、
FA制度で球団格差は生みますが、
その格差を少しでも縮めるためには、
ランクC選手だって
1軍レベル相当になり得るわけだから、
ランクC選手にも
金銭、人的の選択肢を用意した
補償制度有りに現行ルールを改正すべきです。
すなわち、
『もって行け泥棒!』制度
少しでも緩和するためには、
以前のように、
全てのFA権行使選手を
補償対象選手にすべき
です。


またプロテクトできる人数が
28名という点
FA制度で移籍する選手らは
1軍相当の実力を有する選手が多いのだから、
格差を少しでも緩和させるのであれば、
1軍枠の半分近く15名までなどと
現行の最大可能人数28名から
減じるべきです。


FA制度について、
建前(選手の権利)は残したとしても、
本来であれば、少なくとも
そのFA問題に伴う

各球団の格差は緩和
する努力(働きかけ)をすべきであり、
ランクCの補償制度復活、
プロテクト枠の縮小などは
その一手になるはずです。


とはいえ、
今までのFA制度の変遷を考えれば、
黒い球団等が損をする
上記のようなルール改正に
賛同はしないでしょう。
しかし、今回のような
中日・岩瀬騒動を機に
西武やハムさんらは
ルール改正を主張すべきです。
(ダメもとでもいいですから)
もちろん、
今回の騒動の真偽は確認する必要がありますが、
当事者のハムさんはその真偽を把握しているはず
です。
FA流出の多いハムさんも、
大人の対応をしている場合
ではありません。

最低限でも、このような
抜け道(再発防止)は
埋めておくべきです。


むしろその騒動が真実であるならば、
逆にその騒動は、
FA制度のルール改正を訴える
好機を生むきっかけになった

とも言えます。


下手をすると、
黒い球団から、この騒動を機に、
人的補償を廃止し、
金銭補償
のみという
ルール改正を訴えてくるかもしれません。
そうなったら
もう目も当てられません。


ハムさんや西武など
FA流出の多い球団は、
このルール改正を訴える好機を
絶対に逃してはなりません。