【メラド灼熱地獄問題】「首都圏でプロ野球観戦」さんのメラド気温&湿度の観測データに基づいて、体感気温や不快指数を見ながら、対策目標などの目安を検討してみました(仮定も多いので、あくまでざっくりと概算推定ですけど)。
先日、メラドの灼熱地獄問題について、
記事を投稿させていただきました。
そこで、対策候補にドライミストを想定し、
その中で考えられる問題点の一つに挙げた
『湿度の問題』の中で、
「40℃で湿度0%の空気と、
30℃で湿度100%の空気、
どちらが冷たいですか?」
と記載し、こちらの本音としては
30℃で湿度100%の空気の方と考えていましたが、
昨日「首都圏でプロ野球観戦」さんに
『湿度の影響の大きさ』をご指摘いただきました。
(ご指摘ありがとうございます)
ご指摘の通り
『湿度の影響』は大きく、
上記の選択肢で
40℃で湿度0%の空気の方が
体感温度が大きいかも、
と見直してみたところ
「首都圏でプロ野球観戦」さんのとおりでした。
先日、ブログを記載していたときは、
理論的な値までは確認していませんでした。
そこで、一つの理論式を用いて確認しましょう。
体感気温に関しては、次のような
実測気温、湿度、風速との関係式があります。
また暑さに関して
不快指数というものもあり、
これは実測気温、湿度との関係式から算定できます。
そこで、体感気温、不快指数について、
上式に基づいて見てみましょう。
体感気温は風速が絡んでくるのですが、
実測気温、湿度、風速と3つの変数を
全て動かすとわけがわからなくなりやすいので、
ここでは、風速=0m/sで仮定します。
その結果が下図になります。
この図については、
横軸が実測気温、縦軸が体感気温、不快指数になり、
湿度毎でその関係をグラフ化したものです。
例えば、湿度100%の場合は、
図中の赤色線の変化を示しております。
このとき、気温30℃の体感気温は30.7℃
と算出されます(上図の○印のところ)。
これを気温40℃の場合で見ると、
湿度が約20%ライン(薄い紫色線)近く
に該当します。
すなわち、
30℃で湿度100%の空気は、
40℃で湿度約20%程度の空気と
同じ体感気温(風速無し)と考えられます。
なお、不快指数については、
85を超えると「暑くてたまらない」範囲になります。
ただし、個人差もあるようですが、
不快感は80超えると感じられるようで、
日本人の場合、不快指数が77になると
不快に感じる人が出はじめ、
85になると93%の人が暑さによる不快を
感じると言われています。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
さて、メラドの気温と湿度について、
「首都圏でプロ野球観戦」さんが観測して下さっており、
それを公表下さいました。
貴重なデータのご公表、ありがとうございます。
こういうデータは貴重ですので助かります。
その結果に基づき、前述の関係式から
観測時における体感気温と不快指数を算定してみました。
また参考として、
気象庁のアメダスデータより
東京の気温&湿度を基に算出しております。
ちなみに、「首都圏」さんの観測時間が
概ね20時頃でしたので、
東京のデータもアメダスの時間データから
20時のものを対象に検討しております。
また参考として、
所沢(市内)のアメダスデータも調べてみました。
ただし、気象庁観測では湿度はデータが無いので
こちらは20時の気温のみ併記しました。
これは後ほど、灼熱地獄対策後の推定値との比較で
使いたいと思います。
それら結果を以下に示します。
なお、体感気温と不快指数については、
参考として、所沢の値を併記しておりますが、
この値は、気温は所沢のアメダスですが、
湿度は、所沢のアメダスデータが無いので、
「首都圏」さんが観測された
メラドの湿度をそのまま用いて
体感気温と不快指数を算定しています。
その結果を見ると、
8/2~4がメラドで
体感気温が30℃を超え、
不快指数が85を超えている状況です。
7/31&8/1も不快指数は85未満ですが、
84.4、84.6ですから誤差のようなもので
不快感きわまりない状況です。
実測気温について、
メラド、東京、所沢を見比べますと、
(一番上のグラフ)
東京と所沢は同程度で推移、
若しくは、所沢の方が低めの日もある
という傾向ですが、
メラドは高いこと、高いこと、
2~4℃は高い状況です。
湿度はメラドと東京の比較になりますが、
メラドの8/4は94%なのでものすごく高いですが、
他は思ったほど差は無く、
メラドが上だったり、下だったりと
概ね5%程度の違いになっていました。
グラフを見比べますと、
体感気温と不快指数はメラドが
東京を大きく上回る傾向です。
(8/5は逆転していますが。)
不快指数は、東京も80を超えていますが、
85までは達しておりません。
グラフの推移(線形)を見てもらうとわかりますが、
気温と同じような推移をしていますので、
東京より体感や不快感が高いのは
気温の影響がかなり高いことが伺えます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
そこで、灼熱地獄の対策を考える際、
メラドの体感気温を
どの程度まで下げればいいのか?
という目標値の設定が必要であり、
そのときに、
実際の気温はどこまで下げればいいのか?
という必要な効果量の目安をつけておきたいです。
その目標については、
まずは東京と同じ体感気温くらいまでは
下げたいところです。
もちろん、もっと下げたいところはありますが、
ここでは、
『低減目標=東京と同じ体感気温』
と仮定して
対策による必要気温低下量を推定してみましょう
※8/5のデータは、
体感温度がメラドより東京の方が高くなるので、
検討対象からは外しています。
それ以外の7日分のデータで検討しています。
まず対策としてドライミストで実施する場合です。
ドライミストの場合、
気温を下げる冷却効果を見込みますが、
その反面、湿度が高まる副作用が出てきます。
このため、体感気温を下げるには、
気温の低下に伴う湿度の上昇も見込んで
考えていかなければなりません。
(三歩進んで二歩下がるみたいな)
日本冷凍空調学会HPによると
「(ミストにより)気温1℃の降下で湿度5%上昇」
という経験値(実験値)があるようです。
しかし、厳密に言うと、
これは気温30℃のときの話になり、
気温が変化すれば、当然、変わってきます。
でも温度毎の変化量を加味したいところですが、
(その情報を入手できてませんし)
とりあえず、ここは簡易に推測するために、
ここでは、
『気温1℃の降下で湿度5%上昇』と仮定して
対策後の体感気温や不快指数を推算します。
対策後湿度100%も出現してしまい、
かなり強引ですが・・・・
その結果(ミストの場合)が下表になります。
表が見づらくて申し訳ないのですが、
まず表中⑤は、対策する前の現状において、
目標とする東京の体感気温④と
対策前(現状)メラドの体感気温③の差です。
また⑨が対策後の体感気温⑧と
目標とする東京の体感気温④の差であり、
これがゼロになるよう、
対策後の気温⑥&湿度⑦を逆算しています。
そして、その結果、
メラドの気温を何度まで下げればいいのか?
いわゆる、効果量になりますが、
それは⑩に示し、
対策後気温⑥と対策前気温①の差になります。
また表の下には、
所沢(市内)の気象庁アメダスデータの気温を
メラドの外気温と仮定して、
対策後のメラド気温推測値との関係を
まとめた相関図です。
この結果を見ると、メラドの気温を
平均で4.8℃、最大で6.1℃低下させないと、
東京と同じ体感気温を得られません。
この低下量は、観客スタンドでの数値ですから、
極めて大きい値になります。
たとえば、所沢(市内)の気温ですが、
それを外気温とする場合、
対策後のメラド気温は
その外気温より低くしなければなりません。
外気からの熱伝導、熱収支を考えると、
現実的に厳しい話になってきます。
やはり湿度が上がる分、
ミストでは、苦しい状況です。
また上記は、
観客スタンドでの気温低下量ですから、
ミストの対策は、実際に天井付近で行い、
天井付近の気温を低下させて重くし、
その上層空気を下層へ対流(自然落下)させる
対策メカニズムですが、
天井付近の上層空気は観客スタンドより
高いわけなので、
実際のミストの気温低下量は
上記の数値以上に必要となります。
しかし、ミストによる見込まれる低下は、
5℃程度でしょうから、
ミストによる対策はかなり厳しくなります。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ちなみに、ミスト以外で
湿度は現状のままにしたとき、
どこまで気温を下げれば、
東京と同じ体感気温になるか?
も見てみました。
それが下記の結果です。
この結果を見ると、メラドの気温を
平均で3.1℃、最大で4.4℃低下させれば、
東京と同じ体感気温を得られます。
さっきの数値とあまり変わらないように見えますが、
たかだか1~2℃、されど1~2℃なんですよね。
表の下の相関図を見ますと、
所沢(市内)の気温を外気温とする場合、
対策後のメラド気温は
その外気温と同程度か、
若しく外気温よりちょっと高くてもOKとなります。
以上のことを考えると、
対策目標としては、
東京の体感気温と同程度にして、
低下させる気温は、
湿度はさわらず、気温だけを低下させて
平均で3.1℃、最大で4.4℃低下したいです。
では、その手法は???
なんですよね。
ミストが使えないとなると、、、
やはり天井に通気口を開けて
ドーム内に循環流を。。。。
あとはまた考えたいと思います。。。。
西武球団さんも
鹿島さんと相談しながらお願いしますね。
今の40周年記念事業における暑さ対策では
大型扇風機パートⅡにしかなりませんから。