下手の横好き(馬と獅子が好きです)

主に西武ライオンズ、競馬のことを主に書いています。

①獅子たちの総合的な貢献度WAR ②平井が払う寄付金額は?

 選手の評価をするときの一つの指標として、総合的な貢献度を示す「WAR(Wins Above Replacement)」がありますね。


 「WAR」は選手が打撃、走塁、守備、投球などあらゆるプレーによる貢献度を総合的に評価し、最終的に選手がどれだけチームの勝利を増やしたか?を評価するのに目安の指標であります。
 また、打撃だろうが、守備だろうが、貢献度の総和で表現できるので、その値1つで総合的かつ統合的に貢献度を把握できます。


 ただし、課題も多くあります。まず「これ!」と定まった計算方法がないため、その方法次第で算出にバラツキが見られたりします。ここでは、DELTA社の1.02ESSENCE of BASEBALLの値を参考に整理します。

 また、長期的に見れば、その評価がその選手の実力を表現しやすいですが、短期的に見ると、好調・不調の影響も受けます。さらに野手では守備位置補正、投手ではパークファクター(球場補正)などの補正値も使っているので、最新のデータに更新していくなども必要です。野手では平均的な値との差も含めておりますし、また各項目を算出するときの式の係数(パラメータ)も、本来は見直しが必要になるところもあります。
 例えば、打撃の評価(Batting)の算出で出てくる項目の一つにwOBA(打者が打席あたりにどれだけ得点の増加に貢献する打撃をしているかを表す指標)があり、それは【(0.72×四球+0.75×死球+0.90×単打+0.92×失策出塁+1.24×二塁打+1.56×三塁打+1.95×本塁打)÷打席】で算出します。ただし、0.72、0.75、0.90などの係数はある意味で、各項目の重み付けになるものの、もともとは過去データから算定された値(過去からの経験式)ですから、過去データが変わっていけば、本来は更新が必要です。
 結構、雑な式で算出するのが『長打率』に絡む『塁打数』ですね。【塁打数=1×単打+2×二塁打+3×三塁打+4本塁打】で算出しますが、本当に各項目の重み付けになる係数が1,2,3,4なのか?というと怪しく、あくまで仮定の数字で設定しているにすぎず、長打率もある意味で仮定の数字で評価しているにすぎません(そういう概念の基での評価指標です)。実際には本塁打数が大きく左右しますね。


 話は少し逸れましたが、WARについては、そのような課題を鑑みると、参考程度に(大まかに)とどめておくことも必要かもしれません(AはBより数字が上だからAが絶対凄い!とは言えない面も多々ある)。
 それでも、大まかに貢献度を捉えることができるので、便利な指標であるから、使ってしまいますね。
 例えば、守備別・年齢別で各選手をWARで見たとき、どこにそのチームの弱点があるのか?それを踏まえてどこを補強すべきか?などを概略的に把握するのにも役立ちます。


 ちなみに、WARは平均的な選手を同じ出場機会を与えたときと比べてどのくらいチームに勝利数をもたらしたか?という目安ですから、貢献度が高ければ勝利に繋がるので、当然、チームWAR(各選手の合計)がチーム勝率と相関が見られます。


 下の2つのグラフは、2014~2019年におけるパ球団のデータを対象に整理したものです。


 上のグラフはチームWAR(野手と投手の合計)とチーム勝率の相関を示しており、相関式の種類で精度がことなりますが、どれでも高い相関が見られております。


 下のグラフはチーム勝率を目的変数、チーム全体の野手WARと投手WARを説明変数とし、重回帰解析を行って得られた相関式(グラフ下の式を参照)で算出したチーム勝率を横軸に、実際のチーム勝率を縦軸にして整理したグラフになります。
 その計算値と実測値でバラツキは見られていますが、それなりの相関は見られており、重回帰解析で得られた相関式における各説明変数の係数に関するP値も5%以内なので「有意」と判断できます(グラフ下の表を参照)。

 なお、上表では「打撃WAR」と記していますが、上記の「野手WAR」と同じものであり、それには打撃、走塁、守備の評価は含まれておりまます。ただし、交流戦で打席に入った投手も含まれています(ほとんどが0.0付近ですが)。もし厳密に「野手だけのWAR」で算出するには、それを差し引かねばなりません。


 ちなみに、今年の各チームのWARについては、次の通りでした。
【2019年パ球団WAR】
     野手 投手
 西 武 30.3 17.6
 ソフバ 16.5 28.8
 楽 天 19.7 22.6
 ロッテ 20.7 22.6
 日ハム 12.4 22.0
 オ リ   8.0 23.1


 また、西武の過去のWARは次のように推移してます。これを見ると、野手陣はここ2年が高く、昨年がピークでしたが、投手陣は2017年が最も高かったですね。しかも、2014年&2016年は投手陣の方が高いですね。
 ところで、野手と投手を見比べると、チームWARは各選手の合計値を示しているので、全般的には人数の多い投手の方が高く出ます。今年のパ全体を見ると、野手が107.5に対し、投手は139.6であり、昨年も似た傾向です。野手WARについて、セ・リーグの方は投手が打席に入るのでパより20程度下がります(今年パ107.5、セ90.0、昨年パ106.9、セ89.7)。


【西武の過年度WAR】
 年  野手 投手
 2019 30.3 17.6
 2018 36.0 21.4
 2017 29.4 26.1
 2016 18.6 24.0
 2015 23.1 22.0
 2014 18.3 20.4



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 さて、次ぎに今年の西武における各選手のWARを見ていきましょう。


 まず野手陣のWARです。打撃、走塁、守備の値も参考までに一覧表で併記します。


 まず野手から結果を見ると、上位9名が普段の固定メンバーでは、森や外崎が上位に来ております。この値は他球団の選手と比べても優秀な方です。


 また秋山は5以上をマークしております。秋山の場合、守備の評価指標となるUZRが低い値になっており、Defence面の評価が低いです。それは守備範囲の値が響いていました。一応、守備位置補正(センター)でプラスされております。またチャンス(得点圏)に弱かったですが、Battingの値は30以上をマークしております。でも、来年、秋山が渡米(流出)するとなると、秋山のWAR5が減じてしまうことになり、チーム野手WARが30程度ですから、その穴は大きいです。


 ちなみに現在、FAでふらついているソフバンの福田は1.1ですから、それだけでも足りませんね。


 金子&源田は、走守の面で高い値をマークしてますが、やはり打撃が大きく下がりますね。問題は、来年、金子が一番打者になったら、金子&源田で打撃面がどう変わっていくか?が気になるところですね。一番打者の選定は、外崎など見据えた方が良いと思います(出塁率を見ながら精査要)。


 固定メンバーで穴が開いているのが、やはり木村のところですね。打撃の面はもちろんのところ、守備の面でもUZRが低すぎることが響いています。守備範囲の値が小さいのがネックですね。
 となると、当然、ここは穴になり、他の平均的な代替選手の方が良い、という可能性が否めなくなります。


 また問題なのは、非レギュラー陣ですね。出場機会が少ないため、0付近を這っていますが、岡田とメヒア以外はマイナス値ですね。
 栗山も打撃面で数値を落としてます。選球眼もまだ良いですが、ボール球の見極率は、以前は85%とかでしたがが、最近は80%を下回り、今年は77%でした。動体視力の衰えはかくせてません。なお、昨年の栗山はWARが1.8、打撃が6.4でした。


 WARから見ても、(1)秋山の穴、(2)木村の箇所のグレードアップ、(3)スタメン&非スタメンの格差低減(捕手もどうする?)と課題が露呈されていますね。


 やはり『若手の台頭』は外せません。


 でも、例えば、外崎がブレイクする前年(2016年)の二軍成績は、打率0.293と三割近く、出塁率0.392と四割近く、OPSも0.958と1に近かったです。また木村が辻監督に目をつけてもらう前年(2016年)の二軍成績は、打率0.299とほぼ三割で外崎より高く、出塁率0.350、OPSも0.858でした。


 一方、今年、二軍で比較的打ったのは、愛斗や将平であり、彼らは打率三割に達しましたが、ほぼ三割に等しく、出塁率は概ね0.350、OPSは概ね0.850であり、木村の2016年と同程度の成績しかありません。すなわち、ブレイク直前の外崎を二軍戦成績で超えていないんですよね。。。当然、他の若獅子らは、ブレイク直前の外崎はもちろん、2016年の二軍・木村レベルにすら及んでもいません。


 来年、二軍戦でブレイク前の外崎のような成績を取って、再来年、、、なんて言っている暇はありません。もう来年には今の木村を超える成績を『一軍戦』で見せてくれないと。。。


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 次に投手陣ですね。


 増田&ニールさまさまや~ですね。平井も内容はともかくとも、チームでは上位に入ってます。
 とは言っても、3未満ですから、やはり全体的に低いですね。グラフの横軸目盛りが小さい範囲ですから、ものすごく伸びて見えますが。。。WARが2.0~3.0ではレギュラークラスです。3.0~4.0が好選手、 オールスターが4以上です。


 昨日、契約を切られた阪神ドリスがここに来たら、ベスト3に十分入ります。


 正直、チーム内の順位付けとしては、頑張った者順になっていますが、とにかく、この低さは何とかしたいですね。それしか言いようもありません。


 投手陣に関しては、全部が課題ですね。。。



 投手の評価指標と言えば、昔、『小松式ドネーション』ってありましたね。


 当時オリックス・バファローズの小松聖投手が行っていた「ONEアウトドネーションexit」。これは小松が一軍での成績に基づき、「1アウトを取る=1,000円、勝利・ホールド・セーブを挙げる=10,000円、リーグ優勝・日本一・タイトル獲得=100,000円」という計算方法で算出された金額を、愛犬保護団体に寄付するというものです。


 式は、(投球回数×3)+(勝利+ホールド+セーブ)×10 +(リーグ優勝・日本一・タイトル)×100=KD であり、寄付金額は1kDが千円になります。指標として見るときは、「リーグ優勝・日本一・タイトル獲得=10万円」は省いて計算します。



 計算が非常に簡単であり、従来比較の難しかった先発投手とリリーフ投手を同列に評価することができるという点があります。ただし、ホールドの評価が高すぎる面があり、中継ぎ陣が過大になりやすいです。


 ただし、先発だったら勝ち星や登板数はチームで計算する上で役に立ちますが、その投手そのものを見るときには、それでは評価しきれず、簡単な指標では、防御率、WHIP、被打率や被OPS、BB/9、K/9、HR/9、イニング平均球数P/IPなどのほか、もっと詳しく見たければ、空振り率、ストライク率、ゴロアウト/フライアウト比、さらには前述のWARなどを見ていく必要があり、正直、この小松式Dは、普段はあまり使いませんね。


 とはいっても、せっかくなんで、参考に今年の西武投手陣の値を算出してみました。


 この結果を見ると、平井と増田がツートップになっています。もちろんホールド数やセーブ数も響いています。ただし、登板回数も伊達ではありません。平井は80イニング以上ですから、KD値657のうち4割弱がそれで占めています。ニールと比べてもイニング数の差が20回も無いわけですから。


 結局、平井さんの寄付金額は、65万7千円ということになりましたね。2位の増田さんも60万円超えになります。獅子ではないけど、犬を救えますかね。。。


 まあ、ライオンズといえば、やはり、こちらがサマになってますね。。。


 ところで、先ほど、このこの小松式Dに関しては、あまり使わないと評価指標として「微妙」なことを述べました。ただ、先ほどWARも整理してみたわけですから、それなら、今回、小松式DとWARの関係をチェックしてみましょう。 


 この結果を見ると、それなりに相関が見られており、小松式Dも侮れませんね。しかも、簡単に算出できるというのは、大きなメリットの一つにもなります。


 そもそもこういう指標というのは、先ほど、係数の例え話をしましたように、厳密性を問われると微妙な面も多々あります。しかもサンプル数の問題もあります。そういう観点を鑑みると、参考的に把握したい場合は、あまり複雑な手法にするよりも、簡易に算出できるものの方が良かったりします。
 極端なことを言えば、数値シミュレーションなど高度なモデルもありますが、こういう高度な手法は、逆にデータの充足度が乏しいと、ただの数字の遊びにもなりやすいです。それなら逆に、単純な経験式などから概略的な把握をする方が評価を進めやすかったりします。


 最後は脱線しましたが、色々書きましたが、
結局のところは、
現場の方は『若獅子らよ、出でよ!』
フロントの方は『補強を沢山せよ!』
支配下人数枠を余らすな!

です。