下手の横好き(馬と獅子が好きです)

主に西武ライオンズ、競馬のことを主に書いています。

【暑さ対策】首都圏さんへ。記事を挙げていただき、また新国立競技場の情報のご提供、ありがとうございました。

真夏のメラドは蒸し風呂地獄になり、
野球を観戦するのも大変であり、
やっている選手らはもっとしんどい状態であり、
(下手したら熱中症で死ぬおそれも)
周知のとおり、暑さ対策が急務の重要課題になっていますね。


ただ、今のメラドを維持した状態での対策
技術的にも難しい面もあり、
今、進んでいるメラド&その周辺改修事業でも
暑さ対策について、
決定打になる策が無策というのが現状ですね。


本ブログでもこの暑さ対策に関して
何度か扱わさせていただきました。


その中で新国立競技場の設計方針にあった暑さ対策も
メラドの暑さ対策に適用できないか、
あれこれ検討した記事も挙げました。


それで、普段から拝見させていただいている
獅子党ブロガーの首都圏さん
新国立競技場へ大学ラクビー観戦でご訪問され、
新国立競技場の生情報をブログでご提供くださり、
また、こちらの記事をご掲載下さりました。


誠にありがとうございました。



私自身、新国立競技場にまだ行ったことがないため、
ご提供くださった新国立競技場の生情報は、
とても参考になり、ものすごくありがたかったです。


メラドのような大空間の暑さを減じていくには、
暑い空気がこもってしまう(空気が入れ替わらない)こと
大きな要因になっており、
密閉型のように空気を冷め続けることができないので、
如何に、内部の暑い空気を入れ換えるか?が重要になってきます。


もちろん、風に直接、当たれば涼しいですが、
狙いは、施設内に気流を築くことで
空気の入れ換え機能を発揮させることが重要です。


そもそも360°全体で風を直接、当て続けるのはできないし、
そもそも季節的な卓越風向を考慮した仕組みですから。


ただし、その空気入れ換えを助長するには、
気温が異なれば、その空気の密度(重さ)も違うので、
その気温差の原理も関わってきます。
風の気温と室内の気温の差などが効いてきます。


強引に話せば(厳密には違いますけど)、
室内温と同じ気温の風を吹かしても
空気の密度(重さ)が同じですから、
その風は上下層に流れず、拡散してしまいます。


しかし、これだけの施設規模ですから、
施設内の空気を入れ換えるレベルの気流となると、
人工エネルギーだけで対応するのは容易ではなく、

自然エネルギーを活用できないとかなり厳しくなります。


語弊がある表現ですが、イメージとして話せば
人工エネルギーと自然エネルギーでは
エネルギー量が桁違いに異なります。
自然エネルギーで築ける気流と同じものを
人工エネルギーで築こうとすると
相当なエネルギー量が必要
となりますから。


例えば、メラドのバックネット裏から
人工風をスコアボード方向へ与えても
スコアボードより上の球団旗をなびかせるのは困難ですが、
実際になびいているように、自然風ならそれが容易ですね。
そんなイメージです。


昔、『がんばれ!!タブチくん』で
扇風機の秘密兵器がありましたが、、、(8分11秒以降参照)

がんばれ!!タブチ!!8回表


そこで、
その自然エネルギーの候補の一つとして『風』が考えられますが、
暑い夏季に風の吹き込みが機能するか?
内部に効果のある気流を発生させられるか?
メラドの暑さ対策にも重要なカギになるので、
その策を取り入れた新国立競技場での検証が必要です。


ただ、新国立競技場に取り入れられている
風による対策の仕組み
は、
そのときに吹く風の卓越風向(最も多く見られる風向)を鑑み、
大庇により
風の吸い込み口の角度(入射角)を考慮しつつ
大庇の格子の間隔を可変させながら
取り込みやすい開口率に調節していること
が挙げられます。


詳細は下記(右上図)をご参照ください。

新国立競技場の風による対策の仕組みは、
夏冬の季節に応じて異なります。


夏季は風向が南側に卓越するので、
南風の方向に合わせて
風の吸い込み口の角度(入射角)を下げて
大庇の格子の間隔を密にして閉め切り、
その風がスタンドへ入り込みやすくするようにします。


一方、冬季は風向が北側に卓越するので、
北風の方向に合わせて
風の吸い込み口の角度(入射角)を上げて
大庇の格子の間隔を広げて、
その風を天蓋裏(屋根裏)に取り入れて、
スタンドへ入らない
ようにします。


すなわち、
基本的に夏はスタンドへ風を取り込み、
冬はスタンドへ風を入れないようにする
仕組みになっています。


次の図は、
開口率調節に伴う取り込む風の流れ(実験結果例)を示します。
左側が冬季のケース、右側が夏季のケースです。


冬季は風が上を這って天蓋沿いを流れる仕組みに、
夏季は風が下を這ってスタンド沿いを流れる仕組みになります。


もちろん、冬季に北風ではなく、もし南風が吹いたとしても、
操作は、風の吸い込み口の角度(入射角)と
大庇の格子間隔の調整だから、
冬季は風をスタンドへ流さないようにするのは可能ですね。


ただ、競技場の楕円形状から
東西風はどうなるのか?はわかりません。


   
首都圏さんが仰ったように
スタンド内が無風であり、
空いている天蓋部分から吹き下ろすような風というのは、
冬季の風対応になっていたのではないかな?と推測しました。
(風をスタンドに入れず、天井裏へ流す仕組み)


ただし、完成した新国立競技場も
こけら落としの段階からボロボロの評判になっていますね。。。


まず挙げられたのが『極寒地獄』問題ですね。
首都圏さんが「日光が当たるとかなり暖かく感じました」と
仰られていたように、
陽が当たっていればまだ寒さも少しは和らぐでしょうが、
(逆に夏季は逆に陽が暑さを助長する)
陽が当たってなければ、ファン感時期のメラドと同様、
『極寒地獄』に陥りますね。


おまけに、庇に使用された板と板に隙間があり、
鳥避け対策がないため、
鳥が格好の隠れ場として巣作りする懸念があり、
『鳥雰問題』の心配ネタまであるようですね。


で、最大の焦点は、
暑い夏季に『風』をスタンド方向へ取り込めるのか?ですね。


確かに、風を取り入れることができ、
競技場内での体感気温を外気温より下げることができても、
密閉されていないから、
当然、その気温低下にも限界はありますね。


例えば不快指数で言うと、
一般的に指数85以上が不快と言われるレベルであり、
「暑くてたまらない」状態です。
それが指数85を下回り、不快感が減少しますが、
猛暑になっていると、
さすがに体感気温で低下できても3~5℃でしょうから、
「暑くない」というレベルの75以下まで下げるのは厳しく、

「暑くて汗は出る」の80~85が良いところ、
頑張っても「やや暑い」の75~80
という気はします。
※日本人の場合、不快指数が77になると
 不快に感じる人が出はじめますが、
 さすがにここまで下げるのは限界があります。
※事業主体の日本スポーツ振興センター(JSC)担当者が
 「夏でも涼しいです」と説明されていたみたいですが、
 さすがにそれは誇大広告です。


それでも、
「暑くてたまらない」状態から
「暑くて汗は出る」状態への変化だけでも、
不快感はだいぶ低減できます。
そして、風を取り込むことができれば、
競技場内に気流が生じるため、
空気が入れ替わることができるので、湿度も変わるから
暑くても、体感気温は楽になってきます。


その湿度もかなり大きく響く影響要素になります。


次は所沢市北野東京における
湿度(7~8月)の時間データを
経時変化図で示したグラフです。
また参考として、
多摩湖の南側に位置する
近傍の東大和市奈良橋のデータも併記します。


所沢市北野は多摩湖の北側にあたり、
メラドまでの直線距離は2.5km
東大和市奈良橋は多摩湖の南側にあたり、
メラドまでの直線距離は約2.0kmです。


※東京は気象庁データです。
 所沢市北野、東大和市奈良橋はメラドに近傍でありますが、
 環境省(国立環境研究所)で公表している
 大気測定局の測定データになります。
 ただし、環境省も過去の時間データで公表しているのは、
 最新で平成29年度までなので、ここでは2017年を示しました。
 正式に情報公開の申請手続きをすれば、無料で入手できますが、
 ここでは、そこまでしていません。



湿度については、
東京所沢市北野は同程度で推移していますが、
東大和市奈良橋は、湿度が高い時(ピーク時)に
東京と所沢市北野より高くなる傾向
が見られます。
(数%程度が多いですが、高い時は10%程度)


3箇所の差は、湿度が高くなる時間帯に見られ
1日で最も高くなる時間帯は、深夜~朝方であり、
上図データもその傾向が見られてはいます。
(非降雨時では、深夜~朝方に地点別の差が見られる傾向


高くない時間帯は、それら3地点の差は小さくなっています
下図は、デーゲーム&ナイター開催時間帯を含む
12時~23時の12時間分【昼夜】だけデータを示したグラフです。

ただし、一応、東大和市奈良橋が
メラドに最も近傍になりますから、
そのくらいの変動幅があることは考慮すべきですね。


全体的には、概ね70~90%で推移しておりますが、
90%を超える日も多いということがネックでもあります。


そのため、対策効果を出すには、
その高まって不快感をもたらす
湿度も下げることも重要になります。


しかし、もし風取り込むことができなければ、
185台の気流創出ファンとかはありますが、
ダイレクトで風に当たるならば涼むことができても、
密閉されていない中、気流も拡散しますし、
この施設規模では風力もたかだかしれており
風が当たる距離や範囲も極一部でしょうから、
競技場内の気流はまともに形成されず、
空気の入れ換えができず、湿度も下げられないので
お手上げになります。


そうなると首都圏さんが仰るように、各自で
「当面はハンディファンなどで凌ぐしかない」です。


確かにメラドの場合
暖かい空気は軽いため上昇へ流れやすい自然現象と
屋根が日射を直接受ける分、熱くなるので、
その分、天井を通じて上層空気が温められ、
しかも、その暖かい(軽い)上層空気が抜けることがないことから、
暑さ問題を助長しています。


新国立競技場の場合、
メラドよりは天井が抜けている分、
暖かい空気は軽い分、上昇へ抜けやすくなるので、
メラドよりはマシ
ということが想像はできます。
しかし、それでも暑さが解消できるまでにはほど遠く、
何らかの暑さ対策が必須であり、あれこれ講じられてきましたね。


そこで、問題はそれらの効果検証であり、
その結果、新国立競技場がメラドの暑さ対策の参考になれば良いですが、
参考になるどころか、
暑さ・寒さ問題が生じているメラドの二の舞になる
なんていうことになる懸念も十分にあります。


その結果は、吉と出るか?凶と出るか?
メラドの命運が懸かっています。


ところで、現在、メラドの方も改修事業が進んでいますが、
請負している鹿島建設さんが特許を持っている
「野球場における空調設備」の新技術
結局、投入しないんですかね?


この仕組みは、
グランド外に設置した空調機から
ダグアウトやバックネット付近や
グランド地面(マウンドや各塁等)へ
その空調空気を送って排気させる
ものですね。


その空調空気は単なる空気であれば、
早い話、『送風』にありますが、
もし温度調節すれば、
『冷気』にもなるし、『暖気』にもなるので
それらを空調機から送り込むことにより
体感温度が調節できることシステムになります。


しかし、これは
特定の領域の選手らに向け、
集中的に空調することを可能にする
ものなので、
球場全体の暑さ対策の効果は見込めません。


観客スタンドに排気口を設ければ
観客への、対応になりますけど、
施設規模が著しく大規模なものになるので、
実行できる範囲は、選手らを対象として、
特定の領域だけ集中的に対応するもの
になります。


だから、おかわり君は三塁ベースを離れません。


新キャプテンもベースから離れません。


基本的にこのシステムは、
球場全対における暑さ対策としての効果は見込めないので、
あまりお薦めはしにくいんですけど、
今回のメラド改修事業の施工者が鹿島建設さんですから、
てっきり、鹿島建設さんの特許技術を導入するのでは?
という気はしていましたから。


実際、導入するんでしょうかね?
そこはまだ半信半疑です。