【西武の二遊間】「源田たまらん」のおかげで外崎の守備負担が減っているの?
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「1.02 Weekly Report」では、最近、
左翼手と中翼手、中翼手と右翼手、
三塁手と遊撃手と、
隣接するポジション同士の守備力の関係を
分析した結果が掲載されています。
※分析の対象は
2015年から2019年までの
NPB各チーム成績。
その目的は、一方が広く守れば、
もう一方は守備機会が減って
守備成績が伸び悩むのではないか
という可能性を検証です。
守備力の指標となる「UZR」は
守備範囲、失策、送球の要素から算定しますが、
例えば、左翼手の守備範囲が広くなっている分、
中翼手の守備範囲が狭まり、
UZRが低くなっているのでは?
という仮説の検証ですね。
しかし、左翼手と中翼手、中翼手と右翼手、
三塁手と遊撃手と解析されていましたが、
「あまり相関がみられていない」
という結論づけになっていました。
ただし、二塁手と遊撃手に関しては、
双方のUZRの関係を整理した結果、
次のとおり評価されていました。
(出典: 1.02 Weekly Report Vol.410)
「相関係数は0.467で弱から中程度の正の相関関係が認められました。一方のUZRがたかければ、もう一方も高くなるという関係です。この関係はこれまで(外野や三遊)には見られなかったものです」
そこで、二遊間における下図の
ゾーンLからOの部分の守備を対象に
さらに解析を進められています。
まず、二遊間(ゾーンL~O)における
二塁手アウト率と遊撃手UZRの関係です。
しかし、相関は見られていない様相です。
次ぎに、二遊間(ゾーンL~O)における
遊撃手アウト率と二塁手UZRの関係です。
バラツキが多く、
一応、相関係数は弱すぎる数字なので、
正の相関関係が認められないとは言い切れないかもね
という程度の結果であり、かなり苦しいのですが、
本記事のコメントをそのまま引用すると、
「こちらの相関係数は0.387で、
弱い正の相関関係が認められました。
二遊間で遊撃手がアウトを多く獲得するほど、
二塁手のUZRにはプラスに作用するという結果です」
とのこと。
最終的なまとめは、次のとおりです。
「以上の分析をまとめると、二遊間で遊撃手のアウト率が高いほど二塁手のUZRが高くなるという傾向を確認できました。一方、二塁手から遊撃手への影響と投手の影響は認められませんでした。
二塁手と遊撃手の関係は、遊撃手が広く守ることで二塁手の負担も低下し、それが一二塁間の守備にプラスに作用している可能性が考えられます。もしくは、単純に良い遊撃手を置くチームは二塁手にも良い野手を配置しているだけという可能性も考えられます」
二遊間では、
遊撃手が優秀なら二塁手の守備成績もアップする
の仮説は、そうでない場合も多いけど、
その仮説が「無い」とは言い切れない
という評価なんだと思います。
確かに遊撃手の守備範囲が広く、
遊撃手が二遊間をカバーしてくれれば
二塁手は一二塁間の守備に作用するかも
というのはあり得そうな気がします。
ただし、二塁手&遊撃手のUZRを比較した関係は
図1を見ると、何となく正の相関関係が見えそうですが、
プロットのバラツキが大きく、
相関係数0.467は「弱い」ですね。
※相関係数の解釈(一般論)
0.0~±0.2 (ほとんど)相関がない
±0.2~±0.4 弱い相関がある
±0.4~±0.7 相関がある
±0.7~±0.9 強い相関がある
±0.9~±1.0 (ほぼ)完全な相関がある
ちなみに、
これを西武に当てハメたらどうでしょうか。
西武の場合、
2017年以降は遊撃手に源田がハマり、
トップクラスの守備力でチームへ大きく貢献し、
UZRも優秀な成績をおさめています。
2014年以降の二遊のチームUZRを並べると、
2014年:二塁手-2.9、遊撃手-21.0
2015年:二塁手+0.4、遊撃手+ 2.1
2016年:二塁手+8.5、遊撃手+ 4.7
2017年:二塁手+2.4、遊撃手+21.5
2018年:二塁手+5.7、遊撃手+30.9
2019年:二塁手+9.1、遊撃手+19.4
相関係数は0.647あり、グラフからも
プロット状況から正の相関関係が見られそう
ですけど、
右側の2点(2016年、2019年)が
他より飛び出てばらついており、
(二塁手だった浅村、外崎が好成績をおさめていた)
正直「綺麗な相関関係」ではなく、
正の相関関係が何となく見えるかな、
という印象ですね。
そこで、源田について、昨年2019年における
ゴロ処理の守備範囲をゾーン別で見ると、
(※ゾーンは下の上図、範囲は下図)
※出典
三遊間では、ゾーンGで40%を処理しており、
他遊撃手と比べて多い傾向が見受けられます。
すなわち、
三塁手の中村らをカバーしていたことが伺えます。
守備範囲の狭い(反応鈍い)中村を助けるシーンは、
実際に多く見られており、実感通りのデータと思います。
ただし、二遊間になると、
二塁側に入るゾーンNのゴロは0%であり、
そこは二塁手・外崎に任せていたことが伺えます。
他の遊撃手は10~30%くらい見られておりますが、
源田はきっちり二塁ベースまでで処理し、
一二塁間に当たるゾーンNは外崎任せで、
外崎の守備範囲の広さから、
その二塁ベースを境に
源田&外崎で棲み分けができていたことが伺えます。
確かに、源田は素早く二塁ベースを
回り込んで処理している印象がありますが、
二塁ベースから一塁寄りは
外崎がカバーしていることが多いですね。
そのような傾向については、
(遊撃手がゾーンNのゴロ処理0%)
広島の田中広もそうであり、
そこは二塁手・菊池の守備範囲の広さが
大きな要因になっていると思われますね。
ちなみに、次は
外崎のゾーン別ゴロ処理状況です。
そのゾーンでの処理時間別になっています。
一二塁間、二遊間、強い打球、弱い打球と
いずれの打球に対しても処理割合が高いです。
※出典
これらを鑑みると、
西武の二遊間(外崎&源田)については、
源田が優秀な守備力だから、
外崎の負担が減って一二塁間の守備力をアップしている
という仮説よりも、当たり前の結果でありますが、
二人とも優秀な守備力を誇るだけに、
その二人の中ではきっちり棲み分けができており、
源田は中村を、外崎は山川をカバーしている
というところでしょうか。
まあ、源田が優秀な守備を魅せるから、
外崎もリズムが乗って好守を魅せやすいとか、
源田は周囲が守りやすいように守れるから、
(例えば、山川が捕りやすいように送球など)
外崎も負担が減って守りやすくなっている
という面はあるかもしれませんが。
また源田がみんなにあげている
「源田グローブ」が練習で使ったりされて
(中村は家に置きっ放しらしいけど)
みんなのお守りのように
なっているかもしれませんが(^o^)