下手の横好き(馬と獅子が好きです)

主に西武ライオンズ、競馬のことを主に書いています。

辻監督の野球観:これが各自に浸透し、行動として上手くハマれば、楽しみです!

辻監督の野球観に迫る記事
がありました。



この監督の野球観が
各コーチ、各選手たちに浸透することができ、
それが行動として上手くハマれば
来年のライオンズは期待できます。


抜粋すると次のようなことを
おっしゃっていたみたいです。
記事は最後に転載します。


◇基本がしっかりしていること。
◇球際に強いとは守備に限らず、
 すべてのプレーにおいて、
 「際」というところで執念を持つべき。
◇重量打線というイメージがあるけど、
 小技に長けた嫌らしい選手を打線に組み込む。
 ※三振の多いおかわり君、メヒアを
  打順で並べることへの疑問。
◇監督、コーチは常に選手を見る。
◇チームの勝利のために何をすべきか考えること。
 派手なプレーではなくても、
 勝利に直結したのなら評価する。
◇選手が心の底から、チームメイトの地味だけど
 勝利につながったプレーを称賛できること。
◇自分の成績は二の次で、チームの勝利が第一
 を最優先に考えさせる。
◇大切にしてほしいことは“準備”。
 いろいろな情報をしっかりと頭に入れて。
 準備はプロとして最低限のこと。
 そこから先が、一流になれるかどうかの分かれ目。



<以下に記事転載>
西武・辻新監督の野球観に迫る
「大切なのは“アマチュア精神”」
週刊ベースボールONLINE
2016年11月12日(土) 11:00


 黄金時代の西武で名二塁手として鳴らした男が21年ぶりに帰ってきた。辻発彦、58歳。指導者経験も豊富だが、初めて監督という立場で古巣を率いる。3年連続Bクラスと低迷しているチームを再建するため、全力を尽くす覚悟を持つ辻監督の野球観に迫る――。


自分を信じて最善の策を講じるだけ
――辻監督は選手としては西武入団時の広岡達朗監督をはじめ、森祇晶監督、野村克也監督らの下でプレー、さらにコーチとしては落合博満監督らの下で選手を指導するなど、そうそうたる顔ぶれの指揮官たちと関わりがありました。初めて監督としてチームを率いるにあたって、そういった経験がプラスになるのではないですか。


【辻監督】そうですね。当然、数多くの名監督と接してきたことはプラスになるでしょう。ただ、やっぱり最後は自分。例えば試合は動いていますから。流れの中で、インスピレーションがパンッと浮かぶ。自分自身を信じて最善の策を講じるだけです。


――2006年にはWBC日本代表で王貞治監督とともにコーチとして世界一に輝いています。以前、著書で「もし自分が監督になったら、王監督のような監督像が一番近い気がする」と記していましたが。


【辻監督】広岡監督や森監督、落合監督は相手に悟られないように表情を表に出さないタイプです。それとは逆に、王監督は非常に熱い人。試合にグッと入り込みますし、選手とともに一喜一憂しながら一緒になって戦うタイプなんです。私も結構、声が出てしまうと思うんですよ。現役時代はセカンドを守っていて、一つの打球に対して必ず反応していましたから。だから、実際に監督としてチームを率いると王監督のようになってしまうのかな、と(笑)。


――野村監督はよく「監督采配も選手時代の経験や考え方がベースになる」と言っています。


【辻監督】どうしても、私も内野を中心に考えてしまいます。守り勝つ野球。実際に外野より内野のほうが打球に触れる機会は多いですし、そこに綻びが出ると痛い。最低でもアウトにできることは、確実にアウトにしなければいけません。


投打ともに球際に強い選手を
――今年の西武はリーグワーストの101失策。特に内野守備の破綻が、大きく響いて低迷した面もあります。そこを改善するために内野守備・走塁コーチに馬場敏史コーチを招へいしました。この新コーチの存在は大きいのではないですか。


【辻監督】非常に心強いですね。2人とも守備から入った選手でしたから。ヤクルトでも一緒にプレーしていますし、野球観も似たようなものがあります。気持ちが合う部分も非常に多い。守備は馬場コーチに任せておけば問題ないと考えています。


――馬場コーチと言えばオリックス時代の1995年、ヤクルトとの日本シリーズで三塁を守り、好守備を連発して、ことごとく攻撃の芽を摘んだことが深く印象に残っています。


【辻監督】それが可能だったのは基本がしっかりしていたからです。下半身が動くことによって、上半身も連動してくる。すると、正しい捕球もできますし、例えば他人より遠くにダイビングしてボールをつかむことができる。いわゆる球際に強い守備につながります。


――なるほど。後藤高志オーナーも「球際に強いチーム」を求めており、チーム再建のキーワードの1つになっています。


【辻監督】守備で球際に強いとは、いかなる打球でもボールを最後までしっかり見て、きっちり捕球できる胆力に優れた選手です。それが劣っていると、強打者が放った鋭いトップスピンがかかったゴロに対して思わず顔をそむけてミスにつながる。でも、球際というのは守備だけのことではありません。


――というと……。


【辻監督】バッティングでも同様ですよ。追い込まれて、ボールになる変化球を打ちにいったとき、粘って、粘って、ファウルで逃げる。走塁でもベースに入るスピードであったり、タッチをかいくぐるスライディングであったり。ランダウンプレーでも、粘って、粘って、打者走者を二塁まで進めるということがあります。とにかく、すべてのプレーにおいて、「際」というところで執念を持たないといけません。



いかにして“打線”になるかが第一


――現状、打順は白紙でしょうか。何か辻監督の頭の中で描いているものは?


【辻監督】当然、盗塁王を獲得した金子侑司はもっと出塁率を上げて1、2番に定着してくれればベストだと思っていますし、中村剛也やメヒアなど一発がある打者にクリーンアップを任せるでしょう。ただ、おかわり君(中村)は下半身に不安がありますから、用心しながら起用しないといけない。それに中村とメヒアはホームラン打者ですから三振も多い。だから、2人が並んだ状態が果たしてベストなのか、と。


――例えば日本ハムも大砲の中田翔、レアードはそれぞれ126三振、138三振を喫して、打順が離れるケースがほとんどでした。


【辻監督】私が現役時代にはクリーンアップに秋山(幸二)、清原(和博)、デストラーデの、いわゆるAKD砲が並んでいました。この3人も強力でしたが、そのあとの6番に勝負強い石毛(宏典)さんがいたことで得点をより多く重ねる形になったと思います。そういった点も大事になるでしょう。ウチはどうしても重量打線というイメージがついていますけど、小技に長けた、嫌らしい選手が打線に組み込まれればバランスが良くなって十分に戦える。とにかくいかにして“打線”になるかを第一に考えていますよ。


――森友哉選手は捕手一本で考えているそうですね。


【辻監督】キャンプでも外野と捕手の2つも一緒に練習できないでしょう。持ち前の打撃に加えて、守備を徹底的に磨いてまさに扇の要になってくれればと思います。


――さらに今年、打率3割9厘、24本塁打、82打点と好成績を挙げた浅村栄斗選手を“秋季限定”キャプテンに任命しました。


【辻監督】浅村はセカンドを守っています。内野の要ですし、ショートが決まっていない中で、内野の中心となってやらないといけません。そういう立場に値する年齢で、それだけの力もありますから。それに、性格的にちょっとおとなしい感じも受けていました。そういったことも打破してもらいたい。


――辻監督からの“メッセージ”を受けた浅村選手が、どう変化していくか楽しみです。


【辻監督】秋季キャンプでは実戦も入ってきますし、そういったときに内野をどうまとめてくれるか。特に二遊間はすべてのプレーに絡んでくるので。また違った部分が出てきてくれたらうれしいですね。


――やはり、選手の気質の変化も感じていますか。


【辻監督】それは私たちの現役時代とは違いますよ。自分独特の世界を持っていて、「こいつは曲者だな」というような選手はあまりいないように感じます。みんな真面目。オフであっても、よく練習しますから。もう少しヤンチャ的な部分があってもいいのかなと思いますけど、そこは時代に合わせていかないといけません。


――黄金時代の西武で、若手選手の間でゲームボーイが流行ったとき、森監督は自ら購入して、実際に体験した上で選手に「確かにあのゲームは面白い。ただし、ほどほどにしなさいよ」と。選手に歩み寄ると言ったらおかしいですけど、理解することも必要なのですね。


【辻監督】私は基本的にゲームをやらないから(笑)。ただ、選手との会話の中で時に冗談も言いながら、こちらもいろいろなことを感じないといけません。それに監督、コーチは常に選手を見ることが重要。動きがおかしいことに、すぐに気が付きますし、選手も見てもらっていると感じるだけでうれしいものですから。


準備はプロとして最低限のこと
――辻監督が考える野球をプレーする上で最も重要なこととは?


【辻監督】選手がのびのびとプレーすることも一番でしょう。その中で、あらゆる状況において、チームの勝利のために何をすべきか考えることも心掛けてもらいたいです。チーム全員が勝利のために戦うこと。だから、派手なプレーではなくても、勝利に直結したのなら私は評価したいと思います。


――森監督も進塁打やファウルで粘った打席などを褒ほめ称えてくれたそうですね。


【辻監督】私自身がそういったタイプの選手でしたから。例えば今年の日本シリーズ第3戦、大谷(翔平)のサヨナラ安打で決着がつきましたが、栗山(英樹)監督はその前に二盗を決めた西川(遥輝)を称賛しました。確かにあの場面、西川は相当なプレッシャーがかかっていたと思いますよ。そこで見事に決めた。大谷も「あそこで走ってくれたから気楽になりました」というようなことを言っていました。選手が心の底から、チームメイトの地味だけど勝利につながったプレーを称賛できる、それが本当に強いチームでしょう。


――確かに、そうですね。


【辻監督】ということは、私は常に言っていますが、大切なのは“アマチュア精神”なんですよ。高校野球も社会人野球も、みんな勝って喜んで、負けて泣く。自分がいくら打ったって、甲子園や都市対抗に行けなかったら意味がないんです。だから、エラーだろうが何だろうが塁に出れば御の字ですし、とにかく相手より1点多く取れば勝ち。白星をつかめればチームも、ファンも喜ぶことができる。自分の成績は二の次で、チームの勝利が第一。選手には、それを最優先に考えてもらいたいですね。


――野村監督も社会人・シダックスの監督を務めたとき、「これが本当の野球だ」と思ったそうです。個人の数字は考えない。選手はみんな、勝つために何をすればいいかのみに、集中している、と。


【辻監督】さらに選手に大切にしてほしいことは“準備”です。打席に入る際もいろいろな情報をしっかりと頭に入れて、投手と対する。守備でも同様です。準備した上での、プレーの中で当然、ミスも起こるでしょうが、積極的なものなら、そこは責めることではありません。とにかく、準備はプロとして最低限のこと。ここまでは誰でもできます。そこから先が、一流になれるかどうかの分かれ目になりますから。


――辻監督が、どのようにチームをまとめて、チームを頂点へ導いていくか非常に楽しみです。


【辻監督】とにかく腹をくくってやるしかないでしょう。3年連続Bクラスに沈んでいますが、選手を育成するために来年を捨てるというわけにもいきません。やっぱり戦うからには狙うは優勝。Aクラスに入ることは最低限ですね。この3年間の屈辱を、選手たちがどのように考えて来年に臨むか。もちろん、言葉にしなくても、選手たちにとって糧になっているでしょう。私としては楽しみですよ。きっと選手たちは目の色を変えてやってくれるはずですから。


取材・構成=小林光男 写真=桜井ひとし、黒崎雅久(インタビュー)


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