下手の横好き(馬と獅子が好きです)

主に西武ライオンズ、競馬のことを主に書いています。

メットライフドーム(旧称:西武ドーム) 建設当時を振り返るとともに、勝手に夏季の灼熱地獄対策を工学的に考えてみました。

本題の前に、昨日の源田の活躍が
記事にありましたので紹介します。


まあ相手の守備位置云々を
見たかもしれませんが、
とにかく、がむしゃらに
「出塁したい」という一心から魅せた

奇襲攻撃・初球セーフティーバントの実行
だったんではないですかね。


新入社員のがむしゃらさがいい結果
つながったわけですけど、
こう考えて実行していくことが
重要であることを示すとともに、
首脳陣には新入社員に教えられたことを
自らそういう指示をできなかったことを
認識して変わっていくべきでしょう。


ただ辻監督リップサービスは
ありがたい
ですけど、本部長に似て
しゃべりすぎ感はありますよね。
源田のプレーに関しても、
サインの有無くらいはいいですが、
源田を褒めることにとどめておけばいいのに、
中田の守備位置に関してまで言及してました。
下記の記事はそれを基に書かれています。

もちろん話をしなくても
相手はそのプレーの意味を理解しますが、
相手の守備の穴を親切に話す必要はありません。

そういう
こちらの考え方・思想回路、戦略的な意図といった
余計な情報を相手に敢えて与える必要はありません。
相手に疑心暗鬼を与えるには
「何を考えているかわからない」
の認識を植え付けることであり、
必要以上のことは話さない方が賢明です。
ただし、時と場合、ネタによっては、
敢えて与えて(話して)
意識をさせて翻弄させる
という策もありますが。。。


さて、今週からオリックス、ロッテで
週6戦の日程に入っていきます。
先発駒不足の課題(特に裏ローテの前半)のほか、
今週ディクソン、松葉、二木、涌井と
やられている投手陣と対峙することになるので
チーム一丸となって策を講じて
打ち崩せるかも課題
となります。



<プロ野球>「試合の流れ変えた」西武監督、源田を絶賛
毎日新聞 4/23(日) 20:22配信


 西武の辻監督が「試合の流れを変えた。新人らしからぬところがある」と2番の源田を絶賛した。西武打線は相手先発のメンドーサに二回から五回まで3者凡退に抑えられ、源田は1点を追う六回に先頭で打席に立った。前進しない相手の守備位置を確認し、初球をセーフティーバント。二塁手方向へ転がして内野安打とした。「何とか出塁しようと思った」と源田。好機を作ると打線がつながり5番のメヒアの二塁打で逆転。遊撃の守りでは、今カード4失策したが、小技で汚名を返上した。

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今日の本題は、野球の話ではないですが、
西武ドーム、現在のメットライフドーム
について書きたいと思います。


今のドームは、完全密閉でないため、
開幕週の早春には
ドーム内から桜が見られ、
いい景色ですよね。

夏にはドーム内から
新緑が見られますね。


景色が良く、のどかな感じが好きです。
写真でもいい景観が撮影できます。
しかし、視覚的には良くとも、
快適性については、周知のとおり、
その完全密閉でない影響により、
今の早春季は寒い、夏季は暑いという欠点が有り、
熱中症にも懸念されるドームですからね。


もう少ししたら
そんな灼熱地獄の季節がやってきます。


西武球場は、
ドームとして竣工したとき、
屋根が断熱性に優れており、輻射熱も抑制する
とか言ってましたが、
最近の気候変動(地球温暖化)の影響も加わり、
夏は灼熱地獄のドームとなりますからね。


その灼熱地獄対策は喫緊の課題です。


今のドームは、
もともと1979年に竣工した西武球場に
とりあえず屋根をくっつけただけのドームで、
1999年3月に完成しています。


その11年前の国内初の東京ドームを皮切りに
福岡ドーム、大阪ドーム、ナゴヤドームと、
ドーム球場が流行する時代
西武は、ドーム化の流行に乗りたいけど、
既設球場を移さないこと、
経済的にも節約できること
も見据え、
屋根だけを架設するという
今の半端な形でドーム化してしまいましたね。


ドーム化前の西武球場
(やはりこの雰囲気が好きでしたね。)


当時、西武は既に完成している
アイスアリーナ(スケート場)と球場等々の
レジャー施設群を東伏見に集め
その一方、早大は人間科学部やグラウンドを所沢に集める
という、双方でウイン・ウインの関係になるよう、
東伏見の早稲田大学の土地と西武球場を交換し、
東伏見にドーム球場新設するという構想
があったようですが、
結局、その構想は実現できず、
今の半端な形になりましたね。


それでも、
当時のドーム化の施工の技術は、
既設球場に屋根を架設するという技術は
国内外でもなかなか珍しい技術
だったそうです。


そこで、今さら感はありますが、
本題の灼熱地獄対策(案)に入る前に、
西武ドーム建設の施工経緯について、
簡単に見てみましょう。(鹿島建設のHPより)


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既存球場に屋根を架け、ドーム球場をつくるという
「後付けドーム」は、当時これまでに例がなく、
更にプロ野球シーズンを妨げずに工事を
行う必要があり、実際に工事が行えるのは
1年でオフの4か月たらずでした。


そこで2年に分けての2段階施工とし、
1年目は観客席を覆う金属屋根を構築
(一期工事)
2年目はグラウンド上に膜屋根を架設
(二期工事)
ことにしたそうです。


◆一期工事(1年目)
  1997年7月。一期工事が開始されました。
野球シーズン中に球場外周に杭を打ち込み、
シーズン終了後、
8千トンもの金属屋根部の鉄骨建方開始。
続いてステンレス製の屋根葺き工事が
行われたそうです。 
  屋根を架ける際には、外側からリング状に
中央に向かってせり出しながら架設
したそうです。


屋根材の搬送や敷設では、ドームの周辺に
クレーンを複数設置するスペースがないため、
自走式屋根材搬送・敷設装置を使い、
5枚ずつの屋根材をドーム半周にわたって
運びながら敷設
したそうです。


◆二期工事(2年目)
 二期工事はグラウンドレベルで
直径145mの膜屋根を構築し、
天井までリフトアップしながら、
1年目で架設した金属屋根と合体させる工事
をしたようです。


最大のポイントは17,000m2の巨大な膜をいかに
短工期で張ることができるか
、だったそうです。
従来の手作業では4ヶ月かかるため,
オフの4ヶ月だけでは間に合わないので
新たに自走式膜張り装置を開発しながら
施工したそうです


その自走式膜張り装置は、
従来手作業で行っていた膜のひっぱりを
機械で行う自走式スプレッダーを開発したもので、
この膜張り装置により170mのテフロン膜を
45日という驚異的なスピードで張り終えた
そうです。


また工事の山場となった膜屋根のリフトアップ
99年1月30日から僅か3日間で行われたそうです。
重量2000tの膜屋根を100台のジャッキで持ち上げ、
バランスを保ちながら37.2mの高さまで上昇させた
そうです。

      ↓↓↓↓↓↓↓

      ↓↓↓↓↓↓↓


こう見ると、当時、ドーム化の工事は
そう簡単ではなかったことが伺えます。


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さて、本題の灼熱地獄対策(案)について。
今のドームで改善していかなければならない
早春季は寒い、夏季は暑いという欠点
どう解決していくか?です。
結構、暑さ・寒さ問題は困難な課題ですよね。


そこで対策(案)を6つほど考えてみます。


◆対策案1:完全密閉化
今の球場を完全ドーム(密閉)化するにしても
上記の経緯を見る限り、
相当、大変な工事になりそうですし、
密閉後には冷房施設が必要となり、
そのランニングコストが嵩みます。


◆対策案2:移設→新設
どこかに移設してドーム球場の新設
あるでしょうが、
新設するのに土地含めて高価になるとともに、
個人的には、身勝手ですが、
今、歩いて行ける近所なので

移設は避けて欲しいですね。


個人的希望ですが、ガキの頃に
西武ライオンズがやって来た
1979年以降、
40年近くの馴染みがあり、
ライオンズとともに育ちました
からね。
やはり移設は避けたいです。


◆対策3:気温差を用いた上下循環気流発生
あとは現在のドームにおいての改善策です。
例えば、上下の気温差を利用した循環装置で
ドーム内に上下方向の循環気流を
与えて気温を下げる?
技術的にどこまでできるのかはありますが。


基本的に冷たい空気は重く、熱い空気は軽いです。
このため、冷たい空気が上方にあれば、
それが重力により下がってくるので
上下の循環気流が生じ、
全体的に混合しながら気温が下がります。

冷房の風向きを上に向けると、
その冷たい空気が下がってきて全体を冷やす
という話と同様の現象です。

ドーム内が猛暑になるのは、
天井側の空気が暖められ、
その暑く軽い空気が上方で滞留し
上下の循環気流が生じず、そのまま
全体的に暖められていることが考えられます。


だったら
天井側の空気を冷却してあげれば?
という対策案が想定されますが。。。


では「天井側の空気をどうやって冷やす?」
という課題が出てきます。


そこで考えられるのが、
西武ドーム外に置いてある
役に立っているか立ってないか
よくわからない
「ドライミスト」です。


もちろん、ドーム外に置いてある
ちょろちょろとした小規模ではダメです。
それなりの規模のモノを用意する必要があります。
(天井に仕掛ける噴射口数を増やす)
また噴射するときに送風機は必要です。
送風機が無いと噴射が拡散しないため、効果が出ません。


ランニングコスト(維持管理費)は
密閉型ドームのエアコンより安価だと思います。


イニシャルコスト(施工費)も
密閉型への改良や球場新設の工事より
安価だと思います。


↓ドーム外にあるミスト


問題は天井に取り付けたときに重量が嵩むので
構造上の耐性の課題
(今の柱で支えられるか)は残りますが、
イメージとしては天井に血脈のように
管径の細い管を張り巡らしていき、

その管に微細の穴を多く開けていくなら?
(管内の水流の配管計算は必要ですが)
どうでしょうか。。。
それほどの重量にならないと思いますが。


ミストの原理は、
水が蒸散して気体に変わるときに
大気中から熱量を奪いながら、
周囲の空気を冷却するものです。


実際に工場等など大空間の室内で
ミストを使っての冷却は行われています。

事例では床面積4,000m2の工場などがあるようです。
ドームの床面積は約42,500m2なので、
その事例の10倍以上の規模は必要でしょうが。。。


もちろん建屋の室内とドームでは
高さが全く違いますが、
天井側の空気さえ冷やせれば、
空気の重量により
冷たい空気が勝手に落ちてきますから、
上下の空気が混合されるようになり
上下方向の循環気流を生みますので、
高さに関しては気にしなくていいのでは?と思います。


もちろん、実際に対策を進めるには、
シミュレーションや実験等を行って
ドーム内の気流と気温を解析し、
ドーム内の温暖化の要因を把握し、
その対策手法を考え、
その対策を講じた場合における
室温の低下効果を確認する必要はあります。

↓シミュレーション解析の事例
(※下記の例は西武ドームではありません)

半開放ドーム型施設の気流と温度解析
株式会社アドバンスドナレッジ研究所ホームページより
http://www.cadjapan.com/movie/movie_165.html


ただ、天井側の空気を冷やすと言っても
上方の空気の温度が下方の空気より低くならないと、
いつまでも上方に暖かい軽い空気が
下方の重い空気に乗っかった状態となるため、
上下方向の循環気流は生じません。


おそらく熱で暖められた天井側の気温が、
観客席やグラウンドの気温より
5℃~10℃以上高かったとしたら、

ミストで冷やせる温度は
良くても5℃前後
でしょうから、
上下方向の循環気流が生じるまでに
至らない懸念が残ります。


ところで、密閉型ドームの場合、
どうやって冷やしているのでしょうか?


◆対策4:循環流ファンによる水平循環気流発生
ナゴヤドームの場合、アリーナ空調について、
エネルギーの有効利用の面から、
全空間をもれなく空調するのではなく、
観客エリアのみ限定して空調しています。
すなわち、観客の体感温度に配慮し、
快適性の向上空調負荷の低減を図っています。
このとき、
アリーナには10台の循環流ファンを設置し、
涼風を引き起こしております。


現在の西武ドームに設置されている
数少ない大型扇風機で送風していても、
(大型と言っても球場の規模までは・・・)
風量不足に加え、闇雲に風を送っているだけ
となって
温度低下効果はありません。


↓ファンの写真@
@印の出典:「ナゴヤドームの空調設備」(1998萩原ら)
*以下、@印のモノは同様。

上写真のような循環流ファンにより、
下絵(バルセロナ体育館の例)のように
1周するような水平循環気流を生じさせます。
その水平循環気流によりスタンドの清涼さを引き出し、
観客の体感温度を下げて快適性を向上させる
ことが考えられるでしょう。


※村上ら(1989)


もちろん西武ドームは非完全密閉型のため、
開いているところから入る風が混ざり、
水平循環気流が乱れる懸念があります。
このため、
循環流ファンは開いている位置のすぐ上部に取り付け
室温の状況に応じて「ミスト」を併用すること
が考えられるでしょう。


◆対策5:対策4+天井に開口部開ける。
また、天井に開口部を設けていくことにより、
水平循環気流が促進されそうです(村上ら(1989))


下図は模型実験の結果ですが、
開口部が無いと一定方向の風ですが、
開口部が有ると水平循環気流が確認されています。


↓実験結果(村上ら(1989))
 天井に開口部無(上段)有(下段)
の風向・風速平面図。
開口部無(上段)は風向が一定傾向。
開口部有(下段)は風向が循環傾向。

********************
↓天井に開口部有の場合の
  風向イメージ断面図(村上ら(1989))

↓模型実験(天井開口部有り)
天井からの排気状態(村上ら(1989))


このように循環気流が生まれるのは、
天井開口部から排気されていくことにより、
気流の上昇に伴って旋回流のようなものが生じるため
ということが考えられます。
この場合、
ドーム内で上下中の循環気流が発生し、
空気を入れ換えていくとともに、
スタンド付近も水平循環気流も生じるので
過熱問題は緩和されるかもしれません。


とにかく、そのようなことを踏まえると、
上記のような循環流ファンで
 水平循環気流を発生させる対策
 このとき、その循環流ファンにミストも併設し、
 室内温度に応じて、ミストも活用すること
 も見据え、
さらにドームの天井に穴を開けて
 水平循環気流を促進させる対策
併用案が考えられます。。。


ただし、上記②に関しては2点ほど
気になる点
が残ります。


まず、模型実験では
天井開け→水平循環気流の促進を確認
できていますが、
実際に、天井に穴を開けるだけで
本当に天井の穴に向かう上昇気流が生じるのか?
水平循環気流を促進させるほどの効果があるのか?
ですね。


この現象では、室内の上下方向の
気温差(密度差(気体の重量差))が
生じるわけでもなさそう
に見え、
その気温差が生じたとしても、
天井の穴だけで
下部にある冷たい重い空気が
上部の暖かい軽い空気と混ざる?

正直、私には、
その原理・仕組がまだ理解できていません。


もう1つは、天井に穴を開けること
水平循環気流を促進させますが、
逆にドーム内に複雑な旋回流に似た
乱れた強風が生じる懸念です。


まあ、そのような風が生じるなら
灼熱地獄も低減され快適性向上効果
が見出されるわけですが、
強すぎる乱流が発生すれば
プレーに支障を与える心配もあります。
(ZOZOマリンなんかは強風が響いてますが)
一応、上記の模型実験の文献では、
その強風懸念で天井の穴は諦めたらしいです。


いずれにしても、
模型実験やシミュレーション等の解析により
「どうなるか?」を事前に把握すること
当然の課題ですが。。。


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◆対策6:昔の屋外球場に戻す。
やはり、西武ドーム開催での
夏季の灼熱地獄の現象は
なかなか難しい問題です。


だったら、
あれこれ考えるより、一番簡単なのは、
今の屋根をとっぱらうこと
かもしれませんね・・・


ドームの建設過程の最後に前述した
少なくとも「膜屋根」だけでも
とっぱらってしまうこと
が考えられます。


建設過程を考慮すれば、
最後に取り付けた
「膜屋根」だけ撤去することは
難しいことではないと思います。


↓「膜屋根」の取り付け(再掲)


もちろん屋根を外して屋外球場に戻すと、
第二球場のように
夏季は日射等が直接浴びるになり暑いですが、
今のドームのような半端に閉めた中での
灼熱地獄の現状に関する主な要因である
暖められた空気の滞留
(特に天井付近から溜まっていく空気)
回避できます


まあ個人的には、
昔の屋外球場の方が好きでしたね。
試合に勝ったり、ホームランが出れば
第三球場から花火を打ち上げていましたしね。


最近、年をとるのを早く感じますが、
旧称・西武ドームの屋外球場は、
時代を感じますね。


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あれこれ考えてみましたが、
個人的な考えとしては、
優先度①
 対策6:昔の屋外球場に戻す。
 少なくとも「膜屋根」だけでも撤去
優先度②
 対策5:循環流ファンによる
     水平循環気流発生
     +天井に開口部開ける。 
ですかね。


対策3気温差を用いた上下循環気流発生
空気等の流動を考慮する際の
基本的な現象を理解する上で
重要な考え方につながりますが、
天井付近の気温を
上下の気温差を超えるほど冷やすこと
が多分容易ではないと思います。


いずれにしても、
対策実施に当たっては
事前に調査・解析をしっかりやって
現在の現象の要因をつかみ
対策後の現象・効果がどうなるか
を適切に把握していくことが重要です。


でも今のフロントは
小手先の対応はしても、
本論は先送りにしていくんでしょうね。


いつも長々とした駄文を
最後までお読み下さり
大変、ありがとうございました。