下手の横好き(馬と獅子が好きです)

主に西武ライオンズ、競馬のことを主に書いています。

『ベストナイン』と『WAR』(総合的貢献度指標)inパ・リーグを整理してみました。/福田は今日『決断』を公表?

ベストナインが発表されましたね。
獅子軍団からは、
森、山川、中村、源田、秋山と5名が
選出
されましたね。


皆様、おめでとうございます。



<パ・リーグのみ抜粋>
投手:千賀滉大(ソフトバンク)
 26試合180回1/3、13勝8敗、20QS、
 2完封、227奪三振、防御率2.79
捕手:森友哉(西武)
 135試合、打率.329、162安打、23本塁打、
 105打点、3盗塁、OPS.959
一塁手:山川穂高(西武)
 143試合、打率.256、134安打、43本塁打、
 120打点、1盗塁、OPS.912
二塁手:浅村栄斗(楽天)
 143試合、打率.263、139安打、33本塁打、
 92打点、1盗塁、OPS.878
三塁手:中村剛也(西武)
 135試合、打率.286、142安打、30本塁打、
 123打点、2盗塁、OPS.887
遊撃手:源田壮亮(西武)
 135試合、打率.274、148安打、2本塁打、
 41打点、30盗塁、OPS.674
外野手
 吉田正尚(オリックス)
 143試合、打率.322、168安打、29本塁打、
 85打点、5盗塁、OPS.956
秋山翔吾(西武)
 143試合、打率.303、179安打、20本塁打、
 62打点、12盗塁、OPS.864
荻野貴司(ロッテ)
 125試合、打率.315、160安打、10本塁打、
 46打点、28盗塁、OPS.842
指名打者:デスパイネ(ソフトバンク)
 130試合、打率.259、116安打、36本塁打、
 88打点、OPS.875


 ベストナインは、シーズンで好成績を残した選手をポジション別で『記者投票』によって決定します。ただし、ゴールデングラブ賞が守備面の評価であることから、ベストナインでは打撃等のオフェンスの印象が響きやすい面がありがちですね。
 そして、ゴールデングラブ賞と同様に『記者投票』で決することから、印象で選ばれやすく、優勝チームの選手らの選出も多いですね。


 そんな背景から、ゴールデングラブ賞なら守備評価の指標「uzr」、ベストナインなら総合的な貢献度の指標「WAR」(MVPなんかも)などと比較され、選出結果はどうなのか?という記事も目立ちます。


 先日、ゴールデングラブ賞のときに、普段、Twitterで仲良くさせていただいているtthgさんとも下記の記事をベースに、「uzr」を通じて議論させていただき、外野手はポジション別に選定すべきなどの話が出ました。 


 ベストナインの場合、打撃面などのイメージが強かったりしますが、シーズンで好成績を残した選手を選んでいくわけですから、打撃・走塁・守備(DHは打撃)を総括的に見て「WAR」に着目して、ベストナイン選定結果と見比べてみましょう。


 ただし、「WAR」は投手・野手を問わず、全ての選手を同一の土俵で比較することが可能なので便利な指標である反面、補正値や各種の算出式の係数も、算定対象にした過去のデータ次第というところもあり、ブレやすい面もあります。補正値など含め、算出方法が定まっていないところがあるので、データを扱っている各社で算出方法(値)が異なっていたりします。
 一応、ここでは、下記のデータからWARを整理しました。


 例えば、守備の指標では、「uzr」に守備位置の補正を加えております。その補正値は、2004~2017年のデータを対象に各ポジション「uzr」の傾向を踏まえながら設定しています(捕手 +18.1、
一塁手-11.0、二塁手+6.9、三塁手-4.4、遊撃手+4.8、左翼手-8.9、
中堅手 -1.0、右翼手-4.4)。


 また、打撃の指標の一つであるwOBA(打者が打席あたりにどれだけ得点の増加に貢献する打撃をしているかを表す指標)は次式から算出されます。


wOBA(NPB版)={0.692×(四球−故意四球)+0.73×死球+0.966×失策出塁+0.865×単打+1.334×二塁打+1.725×三塁打+2.065×本塁打}÷(打数+四球−故意四球+死球+犠飛)


 上式に入力する単打数、二塁打数などの変数は、各個人の成績を各種個数を代入していきますが、それぞれの値だけ(単打数、二塁打数などなどの数値だけ)では、得点の増加に貢献しているか?否か?は区別できていませんね。
 そこで、過去のデータから状況別(アウト数、走塁状況)得点期待値(得点との関連性)から各変数で係数(重み付け)を設定し、得点への貢献度を算定していきます。
 ただし、これら係数も対象とする過去データに応じて異なりやすいですね。


 それ故、「WAR」の値も参考程度で捉えておく方が無難です。例えば、Aという選手のWARが3.1、Bという選手のWARが3.4であるから「B選手の方が優れている」という評価は、たかだか0.3くらいの差で優劣をつけるのは危ないですね。せめてBという選手のWARが4.1と1以上くらいの差があればまだ比較しても、というところでしょうか。


 なお、上記データに基づく算定結果における目安として、平均的な選手が1年出場した場合のWARは2.0前後です。


 整理した結果は、次表に示すとおりです。
 なお、野手に関しては、各ポジションで表に列挙した選手は、今回の記者が投票をした選手、並びに、投票がされてなくても、各ポジションで「規定守備イニング数」(所属チームの投球回数の1/2)以上の選手を列挙しました。
 投手に関しては、規定回数以上が乏しかったので、上位WAR2.9以上を列挙しました。


 投手については、千賀がWAR5.9、山本がWAR5.1で上位に位置しておりました。双方とも5点台ですが、千賀も6点に近い値でトップでしたから、ベストナインに千賀が選ばれてもそれなりに妥当というところでしょうか。
 WARが上位(規定回数も超越)だった有原と山本、さらに山岡で投票数の差が見られておりますが、WARを見ると、そこまで差が生じるのは微妙かなと思われます。


 捕手については、森が断トツで抜けております。妥当な選定です。ちなみに、森のWAR7.8はパ球団の中でも首位であり、2位の外崎(WAR6.7)と比べても抜けておりますね。
 ベストナインに森が選ばれてもそれなりに妥当というところでしょうか。
 打撃面(Batting)に関しては、森が約40に対して、吉田正が約47と抜かされて2位に位置付けますが、全般的に見ても、森がMVP候補としても十分妥当な選択になると思われます。


 一塁手については、守備面(Defence)ならゴールデングラブ賞を獲得した内川がトップですが、WARで見ると、打撃面(Batting)で稼いだ山川や鈴木大地が3点台後半で上位につけますね。
 山川も鈴木大地も、守備面(Defence)は大なり小なりの差はありますが、どちらもマイナス値であり、早い話、双方とも良好でないです。走塁面(Running)では鈴木の方が上位ですが、打撃面(Batting)で山川が抜けています。今夏は不振にも陥りましたが、本塁打王を獲得しています。
 ベストナインに山川が選ばれてもそれなりに妥当というところでしょうか。


 二塁手については、外崎と浅村のWARが抜けており、パ全体でも外崎が2位、浅村が3位につけております。双方で比較すると、打撃面(Batting)では浅村に軍配が上がりましたが、守備面(Defence)&走塁面(Running)では外崎の方が勝ってました。
 今年、外崎は奴の穴を埋めるべく二塁手に転向しました。守備面(Defence)で17.5をマークしており、浅村の今年(7.9)&昨年(12.0)を超えていることは価値があります。
 ベストナインには、浅村が選出されましたが、外崎が選ばれてもおかしくなかったですね。投票数の差は66票もありましたが、正直、過大の差かな、という気はします。
 ただし、浅村の場合、打撃面で、また楽天の中心選手としてのイメージが大きかったから、記者らもその強い印象で投票が集まったか、と思われます。


 三塁手については、WARで見ると、近藤、中村、レアードが3前後で上位ですが、近藤は規定守備イニング数を下回っています。
 中村とレアードで見比べると、守備面(Defence)&走塁面(Running)は大なり小なりの差はありますが、どちらもマイナス値であり、早い話、双方とも良好でないです。
 しかし、打撃面(Batting)で中村が抜けていおり、打撃成績も良く、打点王を獲得しています。
 ベストナインに中村が選ばれてもそれなりに妥当というところでしょうか。


 遊撃手については、WARで見ると、源田と茂木が4点台前半で上位です。打撃、走塁、守備を総合的に鑑みると、源田は打撃面(Batting)が大きくマイナス値になっていますから、WARの観点からは、茂木の方が選ばれてもおかしくないかもしれません。
 ただし、茂木の値は、打撃面(Batting)にしてもパ全体でベスト15~20位のランクであり、走塁面&守備面も抜けてはいません。すなわち、茂木は、打撃、走塁、守備でプラス値になっていますが、抜けた値が存在していません。
 しかし、源田の守備面(Defence)は27.1とパ全体で2位のハム・中島の18.5に大差をつけてぶっちぎりの値を示しています。
 それを考えると、優勝のプレミアも付加して、ベストナインに源田が選ばれてもそれなりにおかしくはなかったというところでしょうか。


 外野手については、秋山、吉田正、荻野が選定されています。WARの観点からも、外崎が6.7で抜けてますが、それは二塁手で稼いだものであり、外野手としては規定守備イニング数を大きく下回っていますので除外すると、秋山、吉田正、荻野が5点台で外野手のベスト3に入っています。
 それを考えると、ベストナインに秋山、吉田正、荻野が選ばれてもそれなりに妥当というところでしょうか。ゴールデングラブ賞よりはスンナリという印象です。
 来年、秋山が渡米したら、秋山の穴はやはり大きいですね。
 金子に関しては、「uzr」が高いのでゴールデングラブ賞には選ばれておかしくなかったですが、左翼手は守備位置補正値(マイナス)が大きいので、WAR算定の守備面(Defence)ではベスト5に入りません。
 走塁面(Running)も盗塁王の座を獲得していますが、得点への貢献となると、荻野が8.4、西川が7.7、周東が7.4とベスト3を占め、外崎6.7、源田6.6に続き、金子が6.0となっています。金子の場合、走塁がそれだけ得点に貢献できていないということが伺えます。
 そして、金子の打撃面(Batting)は大きくマイナス値でした。これは来年、もっとアップさせないと、厳しいです。
 それを考えると、金子の場合、左翼手としてならゴールデングラブ賞には選ばれておかしくなかったですが、ベストナインは厳しいと評価せざるを得ませんね。なお、左翼手として見てもWARになると吉田正が出てきますから。
 一方、秋山の場合はWARが高い割りに守備面の低さから金子と逆ですね。


 指名打者については、デスパイネが指名打者として規定打席数を稼ぎましたし、優勝した西武の方の指名打者はそこまで機能しませんでしたから、そのまま押し出されて選出されたかな、という印象です。
 打撃面(Batting)だけを見ると、デスパイネよりも、吉田正、ブラッシュ、グラシアルが抜けています。ただ、吉田正とグラシアルは外野手として規定守備イニングを超えてますし、吉田正は外野手で選定されてますので、その二人は指名打者ではなく、外野手での評価が妥当ですね。
 となると、デスパイネとブラッシュの比較になりますが、WARに関してもブラッシュの方がデスパより大きく高いですね。成績についても、ブラッシュが128試合、打率.261、111安打、33本塁打、95打点、2盗塁、OPS.936、デスパイネが130試合、打率.259、116安打、36本塁打、88打点、OPS.875であり、OPSを含めてブラッシュの方が上と見てもおかしくはありません。
 それを考えると、ベストナインにブラッシュが選ばれてもそれなりにおかしくはなかったというところでしょうか。少なくとも、投票数でWスコアの大差でつくのは、デスパを過大評価というところでしょうか。
 ただし、デスパは日本シリーズでも大きく貢献していますから、その印象が強く、投票へ響いたか、と思われます。


 以上のように、WARから見てみましたが、前述したとおり、あくまで参考的な面はあります。
 ただし、ベストナインの選考は、ゴールデングラブ賞よりはまだスンナリ行った方か、という気はします。ゴールデングラブ賞の場合、守備面だけで評価するわけですから、それだけ守備面の評価は難しいということですね。


 ところで、追伸ですが、福田の決断は、今日26日に公表される可能性が高いようですね。ファン感の翌々日に公表と、まあそんなところですね。楽天は痺れを切らして、期限をつけてきましたね(決断を急ぐことになったとしたら、楽天が怪しいですが)。
また、西武を選ぶのは、ソフバンそのものが嫌がりますから、その忖度が入らなければ良いですが。


 さて、福田はどこに決めるのか???