下手の横好き(馬と獅子が好きです)

主に西武ライオンズ、競馬のことを主に書いています。

「勝利期待値の総変動幅」に着目した『獅子の劇的な勝利試合』は?(過去5ヶ年の中で)

DELTA社のメルマガ「1.02 Weekly Report」では、
過去5年間(2015~2019)における各球団の劇的な勝利試合について、
勝利期待値の変動幅に着目しながら、振り返る特集が組まれています。


試合開始から勝利期待値の変動幅合計が最も大きかったもの
10試合リストに挙げ、そのうち3試合をピックアップして振り返っています。


先週のVol.412で巨人から始まり、
今週のVol.413は、第二弾(2つ目の球団)として、
西武に関しての記事だったので、紹介します。


ただし、実際においては、試合に関して
『劇的だった』という印象個々で感じ方が異なります。
以前、8点差を終盤にひっくり返したハム戦あたりは
確かに、観に行ってめちゃめちゃ盛り上がりましたが、
ある意味で『バカ試合』とも言えます。


ここでは、あくまでも
勝利期待値の変動幅合計が最も大きかった試合
『劇的』と定義してみた、という話になりますので、
まあ「こういう試合の見方もあるよ」という紹介ですので、
そこはご了承ください。


ちなみに、DELTA社の説明では、
勝利期待値・勝利確率WE(Win Expectency)
特定の点差、イニング、アウトカウント、走者状況から平均的にチームに見込まれる勝率。一般的な安打、三振などが発生する確率から数学的に計算する場合と、過去のデータを基に計算する場合がある。
https://1point02.jp/op/gnav/score/score.aspx


おおざっぱに言えば、
残り3イニングで先行のチームが2点ビハインド。
そこで先行のチームが勝てる確率は?
それを数値化したようなものです。


下表は、G.R.Lindseyが
イニング終了時における得点差別で平均的な勝利確率を算出した一例です。
グラフはホームチームの勝利確率をグラフ化したものです。

※基文献:G.R.Lindsey(1961)より
※参考文献:メジャーリーグの数理科学(下)J.アルバート/J.ベネット著


試合開始時においては、
勝利確率は両チームとも50%なので、0.5スタートとなります。


同点でイニング(裏まで)終了すれば確率は50%(0.5)になります。
ホームチームから見たとき、次のイニングでアウトを稼げば、勝つ確率が高まっていきますが、そこで無失点に抑えても、その直後の裏でもアウトを重ねれば、勝つ確率は下がってきます。
 例えば、3回終了時に0-0のイーブンで双方勝つ確率は0.5です。次の4回表をホームチームが出塁を許さずアウトを1つずつ稼げば、ホームチームの勝つ確率は0.5から上昇してきます。しかし、ホームチームが4回裏に得点を挙げられず、アウトを重ねていけば確率は徐々に下がり、4回裏に無得点で終えれば、再び確率は0.5に戻ります。


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基本的に、試合が進行されるにつれて
勝利期待値・勝利確率WEはワンプレー、ワンプレー毎に変わっていきます。


中には、ある意味で、
この数値変動を「試合の流れ」とも言う方もいらっしゃいます。


ただし、
守備面が評価されていないので、エラー等は反映されません。
(あのエラーが流れを変えた!とは言えないです)


なお、個人的な見解ですが、「流れ」については、
確率の側面が響いていることもあるでしょうが、
戦っている当事者同士の心理変動それに伴う身体的動きなど
他要素も大きく響いてくるもの、と考えています。
(これはまた別の機会に)


また勝利期待値・勝利確率WEの変動値が大きいということは、
逆転、逆転と二転三転していたりするので、
投手戦というよりは乱打戦の方がそれに該当しやすいです。


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2015~2019年において、西武の場合、
勝利期待値の変動幅合計が最も大きかった上位10試合については、
次のとおりです。

※1.02 Weekly Report Vol.413


ちなみに、巨人は次のとおりでした。

※1.02 Weekly Report Vol.412


そこで、西武に関して、上表からの上位3位までの試合を「1.02 Weekly Report Vol.413」では振り返っており、それを次に示します。
原則として、そのまま掲載します。
ただし、2019年の2試合に関しては、本ブログで感想も書いていますので、そのときの記事も記しておきます。


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【1位】2019年9月15日
vsロッテ(メットライフ) 
L 6-5 M 勝利期待値変動合計 6.67


 最も変動が大きかったのは2019年9月15日のロッテ戦だ。この日の西武の先発は榎田大樹、ロッテの先発は種市篤暉。試合はロッテが2回に清田育宏のソロホームランで先制するが、5回には西武が中村剛也のタイムリーヒットで同点に追いつく。6回終了時点で1-1。この試合は7回から大きく動く。


 ロッテは7回、1死から田村龍弘が三塁打で出塁。その後ブランドン・レアードが凡退するも、三木亮が死球、荻野貴司が四球で出塁し、2死満塁のチャンスを作る。ここで鈴木大地が走者一掃のタイムリー二塁打を打ち、1-4に。この一打で西武の勝利期待値は.094と1割にも満たない値まで低下する。西武はその裏、2番手の岩下大輝から栗山巧の犠牲フライで1点を返し2-4とするも、7回裏終了時の西武の勝利期待値は.120。この時点での西武の勝ち目は薄いままだった。


 西武が大きく試合を動かしたのは8回裏だ。この回から登板した東妻勇輔から四球とヒットで1死満塁のチャンスを作ると、源田壮亮の2点タイムリーヒットで同点。続く森友哉がタイムリー二塁打を打ち、1人が生還し、5-4と逆転。8回表終了時に.145だった勝利期待値で森の一打で.923まで上昇。グラフを見ても8回裏に西武のグラフが大きく上に跳ね上がっていることが分かるだろう。


 このまま逃げ切りを図りたい西武だったが、9回に平井克典が荻野にタイムリーヒットを打たれ、同点。その裏にロッテ6番手の東條大樹から1死満塁のサヨナラのチャンスを作り、西武は勝利期待値を.813まで上昇させるも、続く秋山翔吾が低めボール球のシンカーに手を出し、セカンドゴロ。続く源田の打球はライナーであったが遊撃の守備範囲に飛びアウト。試合は延長戦へと突入する。


 両チームとも得点できず迎えた11回裏、ロッテはこの年初登板の大谷智久をマウンドに送る。2アウトをとり走者なしで迎えるは木村文紀。木村が放った左中間への打球も加藤翔平が落下点に入り12回に突入するかと思われたが、加藤が中堅の荻野と衝突しまさかの落球。打球が転々とする間に打った木村は一気にホームイン。西武はサヨナラ勝ちを収めた。


 木村が打席に立つ前の勝利期待値は.531。11回表終了時の.626から数字を下げており、見ている多くの人も延長12回突入を予想していたはずだ。そんな中で、走者なしの状況から外野フライで得点という珍しい事象で西武はサヨナラ勝ちを収めた。これが過去5年間の勝利期待値で見た西武の最も劇的な試合である。



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【2位】2016年6月25日
vsロッテ(メットライフ) 
L 10-9 M 勝利期待値変動合計 6.19

 2位は2016年6月25日のロッテ戦。この日の先発は西武が野上亮磨、ロッテが二木康太。この試合は序盤から試合が動く。ロッテがヤマイコ・ナバーロの2点タイムリーヒットなどで3点を先制すると、西武は2回に浅村栄斗、山川穂高の本塁打で4点を返し、逆転に成功する。


 3回にロッテが1点を返し、迎えた5回裏。西武は四死球とヒットで1死満塁のチャンスを作り、森、エルネスト・メヒアの連続タイムリーヒットで3点を取り、勝ち越しに成功。メヒアのタイムリーで勝利期待値は.925まで上昇した。


 しかし、7-4で迎えた7回表、6回から登板している十亀剣からアルフレド・デスパイネや田村龍弘のタイムリーヒットなどで一気に4点を奪い、7-8とロッテが逆転。さらにロッテは8回にもエスメルリング・バスケスからデスパイネのソロホームランで1点を追加し、8回表終了時でロッテが2点リードの展開。7回表開始時点で.910だった西武の勝利期待値は8回表終了時で.145へと低下している。グラフを見てもかなり大きく下がっていることが分かる。


 ここから西武の反撃が始まる。8回裏に益田直也を攻め、先頭の栗山巧がヒット、続く鬼崎裕司が四球で出塁。ここで渡辺直人が送りバントを決め、1死二三塁のチャンスを作ると、代打の上本達之が2点タイムリーヒットを打ち、同点。続く秋山翔吾もヒットで逆転のチャンスを作ったが、金子侑司、森が倒れ逆転とまではならなかった。


 試合は同点のまま延長戦に突入。10回ロッテは西武6番手の武隈祥太から二塁打と四球2つで無死満塁のチャンスを作る。この時点で西武の勝利期待値は.183とかなり低下しており、グラフを見てもかなり大きく下がっているのが分かる。しかし、ここから武隈が圧巻のピッチングを見せる。まずは鈴木大地に対して、2球目の内角のストレートを詰まらせ、力のないショートフライに打ち取る。続く代打の大嶺翔太に対して、武隈は全球ストレート勝負。大嶺は4球目の外角のストレートに手が出ず、見逃し三振。さらに田村に対しては3球目の内角のストレートを詰まらせ、当たりの弱いショートライナーに打ち取る。この回ロッテは無死満塁から得点を挙げることができなかった。西武はこのピンチを抑えたことにより、勝利期待値を.626へ上昇させている。


 その裏に西武はロッテ6番手の南昌輝から1死後に渡辺直人が初球のストレートを打ち、センター前ヒットで出塁。続く炭谷銀仁朗が初球で送りバントを成功させ、2死二塁。その後、秋山翔吾を敬遠し、2死一二塁。続く金子を一塁へのゴロに打ち取るも、南のベースカバーが少し遅れたことで一塁がセーフとなり、2死満塁。ここで代打の坂田遼が初球のストレートをライト前へと運び、西武は勝利した。


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【3位】2019年4月25日
vsロッテ(ZOZOマリン) 
L 9-8 M 勝利期待値変動合計 5.99


 3位は2019年4月25日のロッテ戦。この日の先発は西武が相内誠、ロッテが二木。3回に西武が2死一塁から源田のタイムリー二塁打で先制。その裏、ロッテは中村奨吾の2ランホームランで逆転すると、5回に荻野のソロ本塁打で1点を追加し1-3。5回裏終了時での西武の勝利期待値は.200だった。


 試合は6回以降に大きく動くことになる。西武は2死から山川のタイムリーヒット、森の2ラン本塁打で逆転に成功。森の本塁打で勝利期待値は.636まで大きく上昇した。しかしロッテもその裏に井上晴哉がソロ本塁打を打ち、4-4の同点に。相内、二木の両投手は共に6回を投げ終えて、マウンドを降りている。


 7回表に2番手の酒居知史から金子の犠牲フライ、源田、秋山の連続タイムリーで3点を奪い突き放すも、その裏にロッテはレアードと井上の連続タイムリーで7-6と1点差に迫る一進一退の攻防。1点差になったものの7回裏終了時で勝利期待値は.764と依然として西武が有利な展開で試合を進めていた。


 8回裏、西武は野田昇吾をマウンドに送る。先頭の藤岡裕大の四球が出塁し、田村が送りバントで1死二塁。荻野が倒れるも2死二塁から鈴木がタイムリー三塁打を打ち、試合を振り出しに戻す。さらに逆転のチャンスだったが、続く中村が倒れ、ロッテは勝ち越すことができなかった。鈴木の三塁打の前後で西武の勝利期待値は.743から.397へと大きく低下している。


同点の9回表、ロッテは抑えの益田をマウンドに送る。この回先頭の木村がホームランを打ち、8-7と勝ち越し。木村のホームランで勝利期待値は.851へと上昇した。


 1点差の9回裏に西武は抑えの増田達至を投入。ロッテは2死一三塁のチャンスを作り、打席には代打ケニス・バルガス。一塁走者の清田が生還すれば、ロッテのサヨナラ勝ちという場面ではあるが西武の勝利期待値はまだ.791と優位な状況にあった。バルガスは2球目のスライダーをライト線へと打ち、三塁走者が生還し、同点。一塁走者の清田もホームを狙うがこれは西武守備陣が阻止。息をのむような試合は8-8の同点で延長戦へと突入する。


 10回表、ロッテは勝ちパターンの唐川侑己をマウンドに送る。西武は先頭の山川がヒットで出塁する。森が一塁ゴロを打つも、ここまで守備に就く機会の少なかった一塁バルガスの二塁への送球が逸れ、併殺を奪えず1死一塁に。続く外崎が三振に倒れ2死一塁。打席に入ったのはこの日代走から途中出場していた愛斗。愛斗が放った打球はやや強めの三塁線のゴロ。これに三塁・鈴木が飛びつくも紙一重で捕球できず打球はレフトへ抜ける。一塁走者森が本塁を狙い、クロスプレーとなるものの間一髪のタイミングでセーフ。これで9-8と西武が逆転に成功。この一打で西武の勝利期待値は.438から.845に大きく上昇している。10回裏は6番手の小川龍也が登板。1死から荻野がレフトへの大飛球を打つも、金子がフェンスにぶつかりながらキャッチ。小川は続く鈴木を抑え、西武は試合に勝利した。


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今日、特に主張したいことはありませんけど、
「こういう試合の見方もあるよ」という紹介をさせていただきました。


ただ、例えば、ホーム、ビジターの区分をしていませんが、
西武とソフバンの直接対決について、
(レギュラーシーズン中の直接対決&CS)
2017~2019年の3ヵ年を見ると、
3回終了時に獅子がリードしていないと、
(3回終了時のイーブンも含む)
獅子の勝率は0.216、鷹は0.784という集計結果があります。
すなわち、これを見れば、
獅子が勝つ確率を高めるには、
3回終了時にはイーブンではダメで、
リード(先手必勝)しておきたく、
できれば2点差、3点差と差を広げておきたいところですね。


鷹の工藤監督も、ソフバンのチーム特性から
よく「先手必勝」を重んじております。

そこで点差別の勝率に着目し、
最初の方で例示したG.R.Lindsey(1961)の
平均的な勝つ確率を見比べてみると、


3回終了時点の勝つ確率は、
(獅子&鷹は2017~2019年、全試合(CS含む))
【リードの場合】
    G.R.Lindsey 西武  ソフバン
1点差  0.632   0.500  0.769
2点差  0.764   0.667  0.700
3点差  0.829   0.750  1.000 


【ビハインドの場合】
(=1-リードの場合)
    G.R.Lindsey 西武  ソフバン
1点差  0.368   0.231  0.500
2点差  0.257   0.300  0.333
3点差  0.171   0.000  0.250 


【イーブンの場合】
    G.R.Lindsey 西武  ソフバン
0点差  0.500   0.313  0.688
※G.R.Lindseyの表は、ある意味で
 イーブンなら5割なので互角同士の数字とも言える。


確かに3ヵ年の通算成績が
獅子の場合、35勝49敗と負け越しているため、
獅子の勝率が低くなる面はありますが、
獅子はリードをしていないとかなり厳しい
(2点差ビハインドは逆転していますけど)
と解釈できますね。


では、2018~2019年のCSを除くレギュラーシーズンなら
50試合あって、獅子も、鷹も25勝25敗でしたので、
 ※獅子は鷹に2018年は13勝12敗、
  2019年は12勝13敗でしたね。
それらを対象に見てみますと、


3回終了時点の勝つ確率は、
(獅子&鷹は2018~2019年、全試合(CS除く))
【リードの場合】
    G.R.Lindsey 西武  ソフバン
1点差  0.632   0.600  0.714
2点差  0.764   0.750  0.666
3点差  0.829   0.666  1.000 


【ビハインドの場合】
(=1-リードの場合)
    G.R.Lindsey 西武  ソフバン
1点差  0.368   0.286  0.400
2点差  0.257   0.334  0.250
3点差  0.171   0.000  0.334 


【イーブンの場合】
    G.R.Lindsey 西武  ソフバン
0点差  0.500   0.364  0.636


通算成績が五分五分になっているのにも関わらず、
G.R.Lindseyの算出値と比して
獅子はリードをしていないとやはいり分が悪い
(2点差ビハインドは逆転していますけど)
と解釈できますね。


特に3回終了時のイーブンの場合が
4勝7敗と負け越して、
G.R.Lindseyとの乖離が大きく分が悪いですね。


もちろん、確率はあくまで確率なので、
たとえ可能性がゼロでなければ
2割と薄くても勝つことはあるわけですが、
まあ「そんなような見方もできる」というところですね。


ただし、昨年の獅子は、
鷹戦以外のパ他球団相手のとき
3回終了時に
獅子がリードをしていない場合、

試合に勝てる確率は0.477だったんですよね。
(2019/09/09時点)


今日の本題とはズレてきますが、
やはり、鷹戦で鷹に勝つには、
攻撃は序盤から
手間取っている余裕はありません

先発を着実に叩き潰して
リードを序盤から奪って

「先手必勝」に持ち込むことはカギですね。