下手の横好き(馬と獅子が好きです)

主に西武ライオンズ、競馬のことを主に書いています。

投げた球について、高校生の球速とプロの球速では、どちらの方が大きく「ホップ」しますか?(回転数はどちらも同じが前提)

今日は野球の物理的な話を投稿したいと思います。


表題に挙げた
『投げた球について、高校生の球速とプロの球速では、
 どちらの方が大きく「ホップ」しますか?』
回転数はどちらも同じが前提


まあ、高校生とか、プロとかは関係ないのですが、
つまり、回転数(正確には回転速度)が同じ球であれば、
「球速の遅い球」と「球速の速い球」では、
どちらの方が、大きく「ホップ」しますか?

という「問い」になります。


投げる球の軌道は色々な方向へ変化します。
ストレートについても、一直線に限らず、
ホップ、シュートしたりしますね。


(右投手の場合)



ホップする投球ということは、
ある意味、「浮き上がる」という感覚があるでしょうが、
アンダースロー以外の場合、
マウンドの高さ、重力がありますから、
現象として「球が浮き上がる」ということはありませんね。


しかし、「ホップ量がある」ということは、
「球が落下しにくい」ということですね。
(重力に抵抗しながら)


またホップするということは、
バックスピンがかかっている
(回転数が多い)
ことが左右する要素になりますね。


一般的に
回転が効いていると球は抵抗が小さくなり、球威が落ちにくい
回転が効いていないと球は抵抗が大きくなり、球威が落ちやすい
とも言われたりしています。


まあ、この現象論について、述べていくとすると、
層流から乱流への変化、
その変化が生じる領域(遷移点)や剥離点などの
説明が必要になり、長くなるわけですが、
本題に関わってくるので、
厳密性に欠けて乱暴な説明になりますが、手短に述べます。


まず流れには、「層流」「乱流」の二つの状態があります。
「層流」とは乱れていない流れ(速度が小さく、粘りが強い流れ)
「乱流」とは乱れている流れ(速度が大きく、粘りが弱い流れ)
ここで言う「粘り」とは、安定度とお考え下さい(語弊がありますが)。


そして、流れは流速が大きくなれば、乱れが生じるので
層流から乱流に変化しやすくなり。
その層流から乱流に変化する領域(点)を「遷移点」と称します。
(これも語弊がありますが)


流れは流速が大きくなれば、
乱れが生じる(乱流になりやすい)・・・
この現象は後述する本題と絡んできます。

また物体表面付近に流れる流速は、
表面に近ければ近いほど小さくなり、
(物体表面の接点はゼロ)
表面から遠くなると大きくなります。
(ただしある程度離れると一定に)
その流速分布の層を「境界層」といい、
層流の境界層を「層流境界層」
乱流の境界層を「乱流境界層」
と言います。


また物体表面付近に流れる「流れ」は
物体の形状・曲線に沿ってを流れていても
ある点でその「流れ」が物体から離れる(剥がれる)ことになります。
それを「剥離」と言い、
その離れる(剥がれる)点を「剥離点」と言います。

※上手の赤色線の矢印が「流速」を示しており、
 曲線で結んでいるそれぞれが「流速分布」となっています。


それらを踏まえて、
ボール表面を流れる空気の流れを模式化した絵を示します。


上図は回転が少ない場合
(もしくは、表面がツルツルの場合)
下図は回転が多い場合
(もしくは、表面がゴルフボールのようにボコボコの場合)です。
です。

上下の違いについて、着目していただきたいのが、
「剥離点の位置の差異」になります。


まず「剥離点」よりボールの後ろに書かれている乱れの流れは、
流れがボール表面から離れ(剥がれ)、
「乱れた渦状の流れ」が生じています。
「伴流領域」と言います)


その「渦状の流れ」が生じることで
「圧力」が低下
します。


ということは、この「伴流領域」が大きいと、
ボールの後ろ側の「圧力低下」は大きくなる
ので
後ろ側は前側より圧力が小さくなるため
ボールの前側から作用する
空気抵抗力(後ろへ押す力)は大きくなります。
(ボールの進行方向とは逆向きに働く空気抵抗力)


そして、
回転の多い下図の方の「剥離点」は、
回転の少ない上図よりボールの後ろ側に位置しています。


それは、
下図の方は、回転が多い分(ボコボコしている分)
ボール表面に「乱流」が生じやすくなっている
つまり、なかなか「剥離」せずに
層流から乱流に変化している
わけですが、
上図の方は、回転が少ない分(ツルツルしている分)
層流から乱流に変化する前に「剥離」してしまっている
ということになります。


その結果、
回転の多い下図の方は回転の少ない上図よりも、
「剥離点」はボールの後ろ側に位置する
ため、
ボールの後ろにできる
「乱れた渦状の流れ」(伴流領域)が小さくなっています。


すなわち、回転の少ない上図の場合
回転の多い下図よりも
「乱れた渦状の流れ」(伴流領域)が大きく、

その分、「空気抵抗力」も大きくなるので、
「球威」が小さくなる
、と解釈できます。


ある意味で、
層流から乱流に変化できる下図は、
空気抵抗力が小さい、
もう少し表現を変えると、
表面の流れを層流から乱流に変化させることで
抗力が小さくなる現象・・・・

とも言えます。
(この現象が後述する本題と絡んできます)


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さて、話を戻しますと、
もちろん、
ボールの回転軸や回転の方向の違いが響きますので
必ずしも回転数の多さと
ボールの変化量が比例するとは限らない
ところはありますが。


ここでは、回転軸の方向は進行方向と直角
そこにバックスピンをかけた場合を仮定して
述べていきますが。


また、
ホップ変化量が大きくなるにつれ、空振りが増加し、
ホップ変化量が小さくなるにつれ、空振りが減少している
ということも言われてますね。


下図はホップ変化量毎における
空振りとゴロとの発生率比較の一例です。


ホップ変化量が大きいと、
打者は普段見慣れた速球の軌道を予想して打ちに行くと、
思ったより「ボールが落ちず」ボールの下を振ってしまい空振りに、
ホップ変化量が小さいと、
打者が予測している地点よりも下にボールが到達する(落ちている)ため
上っ面を打ってしまいゴロが増えやすい、というところですね。


ただし、それは「打者の読み」を外すことが肝心ですから、
打者の読みの不確実性を大きくすること)
実際、空振りを奪いやすくするには、
単にホップ変化量が大きいだけ(一辺倒)ではダメですね。


ホップする投球は武器になるわけですが、
ここでは「ホップするボール」に着目して書いていますが、
もちろん、
ホップしないから良くないというものではない
ということは念を押しておきます。


ところで、
回転軸の方向は進行方向と直角で考えたとき、
バックスピンがかかっている(回転数が多い)と
「ホップ変化量」が大きくなるのは何故か?


一般的に言われているのが
「マグナス効果」の現象が効いていることですね。


下図は、投げられたボールに作用する力、
空気抵抗、空気の流れを示した図であり、
左側が「回転していないボール」
右側が「回転しているボール」
を示します。
(回転はバックスピン)

※「ベースボールの物理学」(ロバート・アデア著・中村和幸訳)に加筆


まず、球の進行方向とは逆方向に「空気抵抗力」が作用しますね。
相対的に見ると、空気の流れはボールの進行方向と逆になります。


左側の「回転していないボール」の場合、
ボールの表面(付近)の空気の流れは、
進行方向と逆方向に向かい、
ボールの表面(付近)は、水色線矢印で示したように
ボールの上下とも、球体に即して流れます。


投球角度の問題はありますが、
ボールの上下の空気の流れ(流速)はほぼ同程度です。


一方、右側の「回転しているボール」の場合、
ボールの表面(付近)の空気の流れは、
左側と同様、水色線矢印で示したように
ボールの上下とも、球体に即して流れます。


ただし、バックスピンが効いているので、
ボール自体は、緑色線矢印で示したように回転しています。


その回転について、
ボールの上側は空気の流れと同じ方向
ボールの下側は空気の流れと逆の方向効いています。
その分、
ボール上側の空気の流れ(流速)は大きくなり、
(上側は空気の流れが加速される面に)
ボール下側の空気の流れ(流速)は小さくなります。
(下側は空気の流れが減速される面に)
すなわち、
ボールの上下の空気の流れ(流速)には差が生じ、
流速は上側が大きく下側が小さくなります。


空気の流れが速くなれば、空気の圧力が弱まる傾向
(ただし、いつもそれが成り立つわけではないです)
があるため、
ボールの上下の空気の圧力には差が生じ、
ボール上側の空気の圧力は小さくなり、
ボール下側の空気の圧力は大きくなります。


前述の図とは、投球方向が逆になりますが、
もっと綺麗に書かれたイメージ図を示します。


そして、圧力が大きい方から小さい方へ力が作用しますので、
その球の上下の圧力差(上が小、下が大)が生じる分、
その球には「上向き」に力が作用する
ことになります。


その力は「マグヌス力」とも言われ、
いわゆる「揚力」ですね。


その「上向きの揚力」がホップ変化をもたらします。


ただし、回転軸や回転方向の違いに応じて、
その「揚力」も方向が変わりますので、
「揚力」は常に上向きとは限りません。


逆にトップスピン(上図と逆方向の回転)の場合、
下向きに「揚力」が作用されますね。


まあ、ここの「圧力差の発生」の部分の説明は、
つまり、前述の話
「ボールの上下面の流速差~圧力差の現象論」は、
流体の速さと圧力と外力のポテンシャルの関係が一定
ベルヌーイの定理)から述べた説明が昔からあります。
(※語弊がありますが、エネルギー保存則のようなもの)


しかし、そのような説明ではなく、
流速が上側は大きくなることから、
上側の方で「遠心力」が生じて「圧力差」が発生する、
という説明もあります。
実は、これも一理ある説明です流線曲率の定理)。


ボールの上側にある空気は、
大きい遠心力によって球表面(付近)から離れていきます。
逆に、下側の空気は小さい遠心力しかかからないので、
比較的、ボールの近くに留まっています。
よって、ボールの下側の空気の方が、
上側の空気よりも密度が大きい
という状況が生まれます。
そして、
その密度の違いがそのまま圧力の差となる
という話です。


よく「飛行機が何故飛ぶのか?」で出てくる
「翼の揚力」の説明についても、
翼の上下面の流速差~圧力差の現象論(下図)が昔からありますが、
(ベルヌーイの定理、流線曲線の定理)
空気の翼への衝突に伴う作用・反作用論や、
渦発生論など、色々な論で説明されています。

ただ、翼の揚力について、ベルヌーイの定理では、
「非常に薄い翼では、揚力が小さい」となってしまい、
現象論を説明し切ることができず、
流線曲率の定理の方が説明しやすいという面もあります。



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まずはホップ変化する現象論をあれこれ述べましたが、
話を本題に進めていきましょう。


【問】
回転数(正確には回転速度)が同じ球であれば、
「球速の遅い球」と「球速の速い球」では、
どちらの方が、よりホップしますか?



下図は、球速毎のボールの空気抵抗力(減速させる力)
回転数一定(変化させない)の球に作用する
(正確には回転速度が一定
マグナス力(揚力)の変化を示したグラフ(③)です。

※「ベースボールの物理学」(ロバート・アデア著・中村和幸訳)


縦軸の力の程度について、わかりにくいところがありますが、
力の程度を「重さ」で換算して表現しています。


縦軸の「1.0」という数値は
ボールの重さに重力加速度を掛けた力、
つまり、ボール1個分の重力と同程度の力に相当しています。


そのため、「マグナス力(揚力)」が1.0を超えれば、
理論上、「マグナス力(揚力)」が重力を上回るので、
ボールが揚力で浮き上がる(上に向かう)となります。
まあ、実際はそのような現象にはならないのですが。


まず、空気抵抗力(減速させる力)は、
球速が上がれば上がるほど大きくなっていますね。


ちなみに、
球速150km/hのときの空気抵抗力1.0となっており、
ボール1個分の重力と同程度の力の大きさに相当していますね。
このことからは、空気抵抗がある中で自由落下させた場合、
ボール落下の最終速度は150km/hどまりということになりますね。


空気抵抗がある中での自由落下速度(イメージ)


そこで、空気抵抗力を式で表すと、
(空気抵抗力Fd)
=(定数)×(抵抗係数)×(密度)×(ボール投影面積)×(球速の二乗)

で算出されます。・・・<式A>


しかし、抵抗係数は球速に応じて減少します。・・・④
これは前述した現象①、②に絡んできます。


①流れは流速が大きくなれば、
 乱れが生じる(乱流になりやすい)
②表面の流れを層流から乱流に変化させることで
 抗力が小さくなる現象


でも、空気抵抗力は、
球速の速度の二乗に比例
しますので、
(速さが2倍なら、抵抗力は4倍に)
球速が大きくなることで、
抵抗係数は減少しますが、
球速の速度の二乗の分から空気抵抗力は大きくなります。


ただし、上記④の「抵抗係数は球速に応じて減少」があるのですが、
球速が遅すぎる場合は、それほど減少せず、
ある程度の速度をもってから減少し始めるわけですけど、
球速が大きくなるにつれて、
その減少の程度は頭打ち(一定)になっていきます。・・・⑤
(その減少の仕方が緩くなる傾向)


別の知見では、次のような一例も挙げられています。
球速に応じた抵抗係数の推移が、
下図のようなイメージであること
見ていただければと思います。

※縦軸が抵抗係数、横軸が球速です。
※球速40m/secは、時速換算すると、144km/hに相当。
※「野球の力学(第2 報)一初等力学応用の例として一」
 (昭和48年、吉田茂)より


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
そして、着目したいのが
球速別の
「マグナス力(揚力)」の変化の推移です。


前述の③のグラフを見ると、
「マグナス力(揚力)」については、
球速が遅いところでは、上昇傾向にありますが、
大きくなっても110km/hくらいまで頭打ちになり、
最大でボール1個分の重力の概ね1/3程度の力に相当しています。


しかし、「マグナス力(揚力)」は、
球速が110km/hくらいより大きくなると、下降線を辿り、
140~150km/h付近が最も低くなっており、
ボール1個分の重力の概ね1/5程度の力
に減少しています。


つまり、球速100km/h前後のボールの方が、
球速140~150km/hのボールのよりも、

「マグナス力(揚力)」は大きい、ということが言えます。


そこで、マグナス力(揚力)を式で表すと、
(マグナス力(揚力)Fm)
=(定数)×(回転数)×(球速)×(抵抗係数)

で算出されます。・・・<式B>


「マグナス力(揚力)」は、球速に比例しています。
そのため、球速が速くなればなるほど、
「マグナス力(揚力)」も大きくなる
はずですね。


しかし、前述した④⑤の現象により
ある球速を超えると、抵抗係数が急に減少しますので、
「マグナス力(揚力)」が小さくなる方へ引っ張られます。
(「引っ張られる」という表現は語弊がありますが)


単純に球速が1.5倍になっても、
抵抗係数によりマグナス力(揚力)が半分になってしまう
というイメージです。


ある意味で
マグナス力(揚力)はその空気抵抗の増加に抗えなくなる
というところですね。


ただし、前述した⑤の現象により
ある球速を超えると、抵抗係数の減少も頭打ちになるので、
それ以降は、速度の大きさが大きく響き、
「マグナス力(揚力)」は、
それより球速が大きくなると、再び上昇傾向になり、
200km/h付近で
ボール1個分の重力の概ね1/3程度の力に回復しています。
(まあ、球速200km/hの投球は非実現的ですが)


以上のことから、
球速について、100km/h前後以上から
人が投げることができる150km/h以下の範囲で見ると、
(まあ大谷とかは165km/hを投げますが)
前述した③のグラフに示す通り、
「球速の速い球」は、「球速の遅い球」より
「マグナス力(揚力)」が小さくなる
(⑥)

と伺えます。(回転数(正確には回転速度)が同程度が前提)


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まずは「力」の側面から見ましたが、
次に「仕事量」(力×時間)の側面から見てみます。


一般的に、球速が速いということは、遅いボールより
マウンドからホームベースまでボールが届く時間が短い
(到達時間が短い)
ということになりますね。


ボールのホップ変化量、前述したとおり、
バックスピンすればするほど、
マグナス力(揚力)が作用する時間が長ければ長いほど
大きくなります。


つまり、回転数(正確には回転速度)は同じ毎分1800回でも、
球速が速いボールは、
マウンドからホームベースへ到達するまでに回転した合計数は、
球速が遅いボールより少なくなりますね。


すなわち、回転数(正確には回転速度)は同じ毎分1800回でも、
球速が速いボールは、球速が遅いボールよりも
前述⑥の現象により
マグナス力(揚力)が小さくなるとともに、
マウンドからホームベースへ
到達するまでに回転した合計数が少ないので、
マグナス力(揚力)が作用する時間が短い
ホップ変化量は小さくなる
ということになりますね。


球速について、100km/h前後以上から
人が投げることができる150km/h以下の範囲
で見ると、
最初に命題した、回転数が同じであれば、
「球速の遅い球」と「球速の速い球」では、
どちらの方が、よりホップしますか?

の回答は、
「球速の遅い球」の方が、よりホップする
と言えます。


それを考えたとき、
もし、よりホップする球を投げたいのならば、
ホップ変化量を大きくしたいならば、

抵抗を増やす要素の「球速」よりも
バックスピンの「回転数」を増やすことが肝心

とも解釈できますね。


前述した<式B>から
「マグナス力(揚力)」は「回転数」に比例しますから、
「回転数」が倍になれば、「マグナス力(揚力)」も倍に。


ある意味、理論上の話になりますが、
前述③のグラフ「マグナス力(揚力)」の推移を見れば、
球速100~110km/h程度で、回転数をアップさせることが
ホップ変化量効率的に高めることができる
とも言えます。


メジャーの平均回転数は
2300回転弱とも言われています。


球速100~110km/h程度のときの「マグナス力(揚力)」
前述③のグラフより、
1800回転でボール1個分の重力の
概ね1/3程度(30%以上)の力だったので、
2300回転弱の場合は、
ボール1個分の重力の概ね40%以上の力
に増えますね。
※2300/1800=1.27倍なので、
 1/3×1.44=0.43
※回転軸の方向は進行方向と直角
 そこにバックスピンをかけた場合という仮定が前提


実際に、プロの投手は、高校生より球速もあるのに
ホップ変化量が大きいという投手も多いですね。
それは、それだけバックスピンの回転数が多い球を投げている
ということですね。


まあ、前述までの話は、あくまで理論上の話ではありますが、
オリックスのアルバースあたりは、
回転数は少ないですけど、ホップ変化量は大きいです。
(回転数はMLB平均未満、変化量はMLB平均超)


前述しましたように、
ボールの回転軸の方向(回転の方向)の違いが大きく響くために、
必ずしも回転数の多さと
ボールの変化量が比例するとは限らないです。


前述までは、回転軸の方向は進行方向と直角
そこにバックスピンをかけた場合を仮定して述べてます。
実際には、バックスピン以外の方向の回転もありますね。
(横向きの回転も含み、綺麗な直角ではなく、傾きがある)


回転軸は同じでも
バックスピンとは真逆の回転の方向である
トップスピンをかければ
「マグナス力(揚力)」は下向きになりますから、
当然、ホップ変化量は減り、
むしろ、落下する変化量が大きくなりますね。


アルバースの場合、
回転軸がバックスピンに近いため、
綺麗なバックスピンを投げるため)
ホップ変化量は大きいということですね。


つまり、ホップ変化量を高めるには、
回転数を増やすと言っても
バックスピン的確に
どれだけかけられるか?
そこが大事になってくると言えます。


ただし、「良い球」「打たれにくい球」については、
ホップ変化量だけ大きくすれば良いわけではなく、
ホップしないから良くないというものではない

ということは、もう一度念を押しておきます。


ホップ変化量だけに着目すれば、
「球速」はあまり速くない方が良い
ようにも見えますが、
「球速」が速いことは、速いに越したことはなく、
それはそれで重要になります。


前述で挙げた記事を再掲しますが、
その記事にもありますとおり、
「回転軸」「回転数」「球速」の3つを同時に考えていくこと
最終的に「打たれにくい球質」を身に着けることにつながりますね。


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ちなみに、漫画「巨人の星」では、
主人公の星飛雄馬が大リーガー1~3号の魔球を生み、
ライバルの花形、左門、オズマらと対決します。


その飛雄馬が生み出した魔球・大リーガー1~3号を
物理的に考察した記事
がありますので、紹介します。


その中でも注目は、
マグナス力(揚力)で説明する最後の魔球「大リーガー3号」です。
その部分をそのまま掲載させていただきます。

柳田理科雄著


“ゆる球”を真っすぐ飛ばせる超回転力
大リーグボール3号の原理については、飛雄馬自身が、ライバル・左門豊作への手紙の中で明かしている。要約すると、次の通りだ。


下手投げから親指と人差し指で押し出されたボールは、捕手のミットまでの飛距離力しか与えられず、打者の手元に差しかかった際、ボール自体の重みだけで軽く漂っている。そこへプロ打者の猛スイングがくると、バットの風圧でボールの軌道が変わり、ボールはバットを避ける。


ここでのポイントは、大リーグボール3号は、極めて球速が遅いということだ。


不思議な魔球である。どんなに球速が遅くても、バットの風圧でボールの軌道が変わることは、科学的にはあり得ない。


バットの運動は、前方に風を送るのではなく、後方に空気の渦を作るから、バットの前方にあるボールに影響を与えることはないのである。


また、遅いボールは山なりに飛ぶはずだが、大リーグボール3号はシュルシュルと真っすぐに飛んでいた。


これが起きるとしたら、球に猛烈なバックスピンがかかっている場合だ。


通常のストレートも、バックスピンをかけて投げている。このため、ボールに上向きのマグナス力が働き、重力による落下が軽減される。


例えば、時速135kmのボールは、回転がなければ、18.44mを飛ぶ間に1m32cm落ちるが、毎秒30回転のバックスピンをかけると58cmしか落ちない。


大リーグボール3号も、バックスピンボールの重さと同じマグナス力が働いていれば、速度が遅くても、シュルシュルと真っすぐ飛んでいくはずだ。


大リーグボール3号が、打者まで2秒かかるとしよう。このときの球速は時速35kmこのスピードで、ボールの重さと同じマグナス力を生み出す回転数とは、毎秒795回転。通常のストレートの26倍!


ここまで激しい回転を与えるには、莫大なエネルギーが必要になる。


計算すると、上のようなボールは、時速150kmのストレートの7.5倍のエネルギーを持っている。これは3号を投げると、通常の投球の7.5倍も疲れるということだろう。


飛雄馬はこの大リーグボール3号の投げ過ぎが原因で左腕を壊し、球界を去ることになる。


だが、100球投げて750球分も疲れるほどの魔球だったら、それも仕方がないのかもしれない。……おや、なんだか科学的にもナットクできる引退話になってしまった。



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さて、わかりにく文章で乱暴な説明で長々と書いてしまい、
大変、申し訳ありません。


ただ、野球もこういう物理的な見方もあり、
野球は、ピッチング、バッティング、ランニングなどで
物理現象が多く見られるスポーツですから、
ある意味で、
そのような物理的視点は
選手らの技術向上の参考にもなる

とも言えますね。