下手の横好き(馬と獅子が好きです)

主に西武ライオンズ、競馬のことを主に書いています。

【球団増&三軍問題】球団数を「横」に増やすのではなく、その球団を「縦」に伸ばしてレベルを高める。16球団に増やすのではなく、コロナ騒動で野球界の裾野が崩壊しそうなこの今こそ、12球団が各々で深く掘るべきでは。

最近、球団数を12から16に増やしてはどうか?
数を増やして地域別にリーグを組ませて戦わせてはどうか?
(西武は北関東扱いで、東北と一緒に組ませるとか)
などの意見が出ています。


まあ今のコロナ騒動によって、
不景気が訪れることが濃厚であり、
世界規模で鑑みれば、
世界恐慌の時代に突入してもおかしくない状況ですから、
今では12球団すら維持できなくなる懸念も否めないところですが。


確かに球団数を増やすということは、
地域へ分散すれば、地域振興につながるところはあります。


例えば、次は都道府県別で見たプロ野球への関心度の高さです。
「gooニュース」全スポーツ速報ページビュー数をもとに集計されたものだから
(期間:2018年7月1日~2019年6月1日)
ある意味で、一つの参考としてとらえるくらいで良いと思いますが。


高知県や山口県は確かに「プロ野球への関心度」は高いです。
知り合いとかもそうですね。


ただ記事には、
高知の場合、キャンプを張る阪神と西武、
山口の場合、隣接する広島が人気とありますが、
実感としては、
高知の場合、
阪神が人気で、あと昔からTV放映される巨人ですね。
西武はコアのファンという印象はあります。


山口の場合、少し古い実感ですが、
広島人気は広島県に多いけど、
すぐその隣接する県(山口、島根、鳥取)は
広島も多いでしょうが、やはり巨人が人気
(広島から少し離れると巨人色が強まる印象)
という印象がありましたね。


まあ最近、広島の人気ぶりは変化していますので、
その実感はズレてきているかもしれませんが。


確かにそのような関心度の高い各地域に
地元プロチームが存在すれば、地域振興につながります。


ただ、現在、ソフバンの総年棒が65億円である中、
30億円もいかない球団も多く、FA選手の獲得もも金次第というように
12球団でも格差が生じていく中、球団数を増やすということは
さらに格差を生み、疑問も膨らむ面を否めません。


そこに一石を投じているのが阪神OB掛布氏の意見ですね。

掛布雅之「逆に球団減らして選手に還元してもいい」
球界OBが語る“16球団構想”
2020年5月5日 火曜 午後5:00(テレビ西日本)

 阪神タイガースで本塁打王3回、打点王1回など数々のタイトルを獲得した掛布雅之(かけふ・まさゆき)さんに、球団拡張構想について聞いた。(聞き手・野球解説者 池田親興)


掛布雅之氏;
僕、個人的には、
まずプロ野球というのはファンの方に喜んでもらう野球を提供する義務があると思うので、今の12球団のまま、むしろ反対に減らした方がいいとも考えている。
減らしてレベルを上げた方がファンは喜ぶのでは?、と。


セ・リーグの場合は、一時期 巨人を中心にまわり、パ・リーグがその巨人との戦いを望んで交流戦が生まれた。ある意味『巨人ありき』みたいなことだった。
巨人戦で収益を上げていたが、今はそういう時代ではなくなってきている。
そうであるならば、僕は10球団くらいにして、お金の配分も均等にして、選手がもっと潤うようなことになってもいいと思う。


「横」ではなく「縦」に伸ばす
掛布雅之氏;
自分が阪神の2軍監督の時、フロントに「ソフトバンクや巨人のように阪神にも3軍を作ることはないのか?」と聞いたことがある。
阪神のフロントの答えは「
3軍を抱えるうえでのインフラ整備や経費を考えた場合、年間でかなりの金額がかかる。そのなかで、1軍で活躍する野手が育つ確率はすごく低い」というものだった。それが球団の判断だった。
投手であればチャンスがあるかと思うが、
投手・野手を含めた3軍を作るということはリスクがある。


池田;
掛布さんの考え方としては、球団数を増やすという「横」の考え方ではなく、「縦」を伸ばすという考え?


掛布雅之氏;
そう。阪神というチームの傘下に違うチームがあってもいい。
独立リーグを付けて育成リーグを作るなど、1・2軍の下に独立リーグで3軍を作ればいいと思う。



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球団数を「横」に増やすのではなく、
その球団を「縦」に伸ばしてレベルを高めるべきではないか
というものです。


もちろん、既に球団間に格差があるので、
三軍を設けて「縦」を深めていくことができぬ球団も多々あります。


まあ、そこで掛布氏の意見で「ミソ」なのは、
「10球団くらいにして、お金の配分も均等にして」
というところですね。
正直、減らすはあっても、
お金の均等配分は実現性が難儀という気はしますが。


まあここでは、お金の均等配分は置いておいても、
『球団数を「横」に増やすのではなく、
 その球団を「縦」に伸ばしてレベルを高めていく』

の考え方は大事と捉え、
三軍思想について書いてみたいと思います。


掛布氏は、
前々から三軍新設構想を阪神に持ち掛けていましたが、
球団は費用対効果を鑑みるとペイしないとして
(コストと育つ確率の比較)
未だに三軍を設けていない状況ですね。


確かに、ソフトバンクは、
千賀、甲斐、石川、大竹、周東、牧原の6人を成功者とした場合、
今までの育成選手総人数が57名ですから、10人に1人が当たってます。
(2010年ドラフト以降の育成枠指名選手)


ただし、その成功には、
ただ選手を集めるだけではなく、
練習環境を整え、指導者・スタッフ等を多く揃え、
周囲の準備を周到にしている賜物ともいえます。
(逆にそれ無くしては成功は無し


今年から昨年までの楽天前監督だった平石氏が
ソフバンへコーチとして招聘されました。
平石氏曰く、ソフトバンクは
「名前が覚えられないほど裏方が多い」
というくらいのようです。


そして、コーチ候補生らも渡米させて留学もさせます
それにより、
日本流の「苦手を克服させて平均レベルまで育てる」論と
米国流の「個性を伸ばしてアプローチさせる」論を学んできます。


ソフバンの三軍選手の場合、
レベルは低くても「1つは何か光るモノ」を持っていますから、
「個性を伸ばしてアプローチさせる」は大事になってきます。


一方、巨人の方は多くメンバーを三軍で集めていますが、
中には覚醒者もいますけど、ソフバンほど上手く行っていません。


「日本プロ野球育成新論-三軍制が野球を変える-」
(大道典良)によると、
まずは指導する前に
君はここがすごいからプロに入れた」と自分の武器を伝えた上で、
「一軍で活躍するにはここが足りない」と指導するようです。


ソフバンの場合、入団前に
何か光るモノを持っていることが入団条件になっており、
得意な事項が2つ以上あれば支配下でのドラフト、
得意な事項が1つあれば育成枠でのドラフトと区分し選択しています。


そして、「人間教育」から始まり、
基礎をこなし、実戦を重ね、失敗を学ぶそうです。


基礎的な体力作りも数値化して目標を定めて鍛えていきます。
また、実戦等で失敗したとき
その失敗はなぜ起きたのか?
選手とコーチが一体となって考えていきます。


もちろん「急がずに大事に」育てられていきます。
少し良いからと言って、
上でギャンブル的な使い方はしないそうです。
まあ上も戦力が厚いから猫の手まで借りるほどピンチでない
ということもあるでしょうが。


ただし、7人新人が入って来れば、7人は抜けていくわけなので、
1年目だろうが、見切られれば切られる危機感は持たせます。


そして、もう一つ三軍の実戦におけるメリットは、
対戦相手が独立リーグや社会人、学生だったりしますので、
それら戦う相手チームの選手らの試合中の動きが
次年度以降のドラフトに向けたスカウトの参考になること
が挙げられます。


そのため、前々から目をつけていた選手を
あらかじめ、その試合出場のお願いをすることもあるそうです。
「明日、〇〇君を先発させてくれないかな」と。
練習試合で対戦することは、スカウトにとって、
まさに次年度以降のドラフトにおける絶好なテスト機会になりますからね。


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ところで、三軍制というと、
古くはNPBで最初に試みたのが1967年の「近鉄」でしたね。


近鉄は、当時、スカウトに2000万円の経費をかけていましたが、
1965年から始まるドラフトで目をつけていた選手は他へ持って行かれ、
一方、有望選手の情報は、自ら動かなくても入ってくるので、
スカウトをあまりやらずに、
新人公募無名の選手を一から養成する三軍を築こう

ということで、1967年に試みられました。
合格者は近鉄球団へ職員として入社させ、
そのままドラフト外で入団させる計算でした。


しかし、やってみたら100人近くの応募がありましたけど、
プロとして目ぼしいと思われる合格者はたったの4名


このようなことから近鉄の三軍構想はもろくも挫折しました。


1980年代になると「三軍」とは称してませんでしたが、
「練習生」という枠組みができてきて、
西武はその仕組みを多いに活用しましたね。


当時、NPBの支配下登録選手の上限は60名まででしたが、
根本氏は1チーム90名がベストな人数と考えていました。


有望な選手が他球団と接触させないように
練習生として囲い込んだり、
光るモノを持つ選手がいたら
練習生として登用して練習させたりしましたね。


伊東氏とかは熊本の高校を辞めさせて
所沢高校の夜間に通わせながら育て獲得しましたね。


ただし、当時は
「他球団より有利な選手を獲得するため」が優先していました。


1990年代になると、巨人あたりは、
「基礎体力作りが必要な若手選手」
「ケガからのリハビリ組」の環境づくりの場として
三軍構想が実現しましたね。


しかし、支配下選手数の上限が60名から70名に拡充され
その三軍構想も役割が薄まってきました。


現在では、ソフバンや巨人が
人数を多く揃えて実戦も経験させる三軍を備え、
広島は
「基礎体力作り」「リハビリ」を重視させた三軍を有しています。


ソフバンあたりは、
根本氏の「1チーム90名がベストな人数」思想
も参考にしていたかもしれませんが。


西武は、
今年から三軍を設けることにしていますが、
それはソフバン・巨人型ではなく、
広島型の三軍制にしていますね。


ただし、広島には外国人を育成する「カープアカデミー」を
ドミニカ共和国に設け、MLBとかにも選手を輩出していますが。


できることなら、
ソフバン・巨人型のような三軍制を敷いて
数を揃えて実戦を重ねながら育てることを図ってもらいたいです。


ただし、ソフバン・巨人型の三軍制を講じるには、
「ただ選手だけを集めてもダメ」であり、
むしろその選手らはただの犠牲になるわけであり、
ソフバンンの体制を見てもわかるように、
選手らを集める前に、
練習環境を整え、指導者・スタッフ等を多く揃え、
周囲の準備を周到にしていることが必須です。


それ故に、ソフバン・巨人型の三軍制で成功するには
功を焦らず、数年単位のタイムスケールで見据えながら
物事を1つ1つ積み上げていくことが大事
です。


ところで、このような三軍を各球団が持つようになれば
2軍のようにリーグ制(イースタン・ウエスタン)を組んで
相互に戦わせることも考えられるわけですが、
各地域に存在する独立リーグに
各球団の三軍を参入・組み込ませるせこととも考えられますね。
(もしくは、独立リーグ球団をNPB球団の傘下に入れる


いわゆるメジャーとマイナーのような関係ですね。


もちろん、
独立リーグ球団をNPB球団の傘下に入れるなら、
NPB12球団で進めなければならないでしょうが。


それにより、
現在、経営面で苦しい独立リーグの各球団にも悪くはなく
地域振興も促すことが期待できます。


現在、独立リーグの球団も
このコロナ騒動で「球団消滅」の危機にある球団もあります。
それほど経営的には苦しい状況に追い込まれています。

日本のプロ野球界を底支えしてきた独立リーグのBCリーグに激震が走った。新型コロナウイルスが猛威を振るい、開幕日が決まらない。公式戦を開催できなければリーグ存続の窮地に陥る。同リーグの村山代表は一般論も交えつつ、強い危機感を込めて説明した。
「(今季の運営の見通しは)立っていません。プロスポーツは、試合できなければスポンサー料も返還しなければいけない。興行できなければ、ほとんどの球団はなくなると思います」
村山代表は「独立リーグは親会社が担保してできる状況ではない。こういう事態は初めてです」と苦悩する。NPB球団のように潤沢な資金力があるわけではない。同リーグ1球団の年間予算は平均約1億3000万円でNPB球団の50~100分の1の規模(18年3月調べ)。リーグは深刻な状況を打開すべく、NPBとも緊密に連絡を取る。また、毎週、全球団の臨時代表者会議を開催し、状況を見て善後策を協議する。


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すなわち、NPB球団を16球団とかに増やすのではなく、
三軍的な要素として、
NPB各球団が独立リーグ球団の傘下入りも見据えて
縦に深く掘り下げていくこと
で、
〇プロ野球界の裾野の強化
〇育成期間を有してレベルアップ
〇地域振興の促進

を狙えないだろうか?というところですね。


独立リーグの場合、1試合の平均観客数は数百人程度。
ソフバンの場合、上手く行っている事例ですけど、
筑後市の球場には平均2000人が観に来ます。


もちろん、そのような構想も、
様々な組織同士の利害関係があったり、
そのほかしがらみ等もあるし、
効果発現には時間も要するから、
なかなか実現性が高まらない面はあるでしょう。


もちろん、やるには、
やり方は色々と考えなけれなならないでしょう。


また今回のコロナ騒動で
NPB各球団自身も危うくそんな余裕がなくなる
ということもあるでしょう。


ただし、このコロナ騒動で
独立リーグの球団が消えかけています。


NPB自身にそんな余裕は無いところなんですが、
このコロナ騒動による
裾野崩壊の危機があるからこそ、
アフターコロナの世界を鑑みるからこそ、
16球団と「横」に増やすのではなく、
各球団が「縦」に深堀りして、
独立Lも含めた三軍ビジネスを展開させ、
レベルを高めることを狙うほか、
野球界の裾野の強化を図り
地域振興も促していく
という考え方の方が重要ではないか?
という気はします。


NPBと独立リーグの連携に関しては、
ソフバン時代に怪しさ満点で
うさん臭さ満載の教授である小林至氏ですが、
『プロ野球ビジネスのダイバーシティ戦略
 改革は辺境から。地域化と多様化と独立リーグと』
(PHP研究所)でも色々書かれています。


もしよろしかったら、参考にどうぞ。