下手の横好き(馬と獅子が好きです)

主に西武ライオンズ、競馬のことを主に書いています。

【メラド灼熱地獄問題(続編)補足】「首都圏でプロ野球観戦」さんからご意見等をありがたく賜りました。そのことも含めて少し補足させて頂こうと思います。

先日、メラド灼熱地獄問題に関して
本ブログ記事を書かさせていただきました。


この記事に関する貴重なご意見とご感想を
「首都圏でプロ野球観戦」さんからありがたく賜りました。
お読みいただき、またご意見等をいただき、
誠にありがとうございます。


今日は少し補足させて頂こうと思います。
先日、Twitterでtthgさんからも
ご質問を頂きましたのでその回答を中心に。


そして、最後に「首都圏」さんから
ご指摘のあった「不確実性」について述べたいと思います。
自然界を相手にする場合、
この「不確実性」の概念は重要になります
ので。


さて、メラドの暑さ対策については、
密閉されていなく、ドーム内の容量規模も大きいため、
人工風を作り出してそれ使用しても
その風量は、自然風エネルギーには勝らず、
ドーム内部で作る風では、
室内の同じ空気(気温・湿度)を
人工的に吹かしてぐるぐる回すだけ
なので
限界が生じます。


まだ冷気を吹くようにすればまだ違いますが、
やはり非密閉型ですから、空気を貯留できませんので、
風量規模が追いつけません。


自然風の良い所は
自然エネルギーはかなり大きなものであるともに、
ドーム内と違う空気(気温・湿度)を取り込んで
循環混合
させることにあります。


ただし、自然風の場合、
(1)無風状態にあると、お手上げになります。
(2)また、もし外気の気温や湿度が
 ドーム内と同じだったり、
 ドーム内より暑いとき
もお手上げになります。


そこは自然共生型ということで
やむを得ない処があります。


ただし、上記(1)に関しては、
補足させてください。


もともと、ここで欲しい
外気からの風については、
風速5m/sとか、10m/sとか
ZOZOのような強い風である必要はありません。
外気からの風が気温・湿度の違う空気であれば、
ドーム内の空気と密度差が生じる(重さが違う)から
密度流が生じますので循環を促進します。


ただし、如何に風をドーム内へ
取り込むか
が大事であり、
外気が無風状態ではお手上げです。


入り込むとき(初期段階)に
どれだけエネルギーを有しているか、

どれだけエネルギーの
ある風を取り込めるかが大事です。
ドーム内を循環するときは、
空気の密度(重さ)差を活かす密度流がカギなので、
入るときほどの風速は必要ありません。


もちろん、取り込む風の質上記(2)で大事になります。
「質」という表現は強引ですが、
欲しいのは内部と違う空気ということで。


その点を説明するとすると、風も一種の密度流であり、
エネルギー保存則(ベルヌーイの定理)とかも出てくるので
厳密に表現すると、
わかりにくくなって申し訳ないのですが。。。


新国立競技場でのシミュレーション結果を使って
少しでもわかりやすく説明しようとしてみると、
と言っても、まだわかりにくく、
厳密な正確性に欠けてますけど、
ざっくりと強引に表現すると、、、


※新国立競技場のシミュレーション結果


まず、風は①という場所から②という場所に移動し、
空間が①より②に広がります。
その拡散している分、
風速も②の方が①より小さくなります。
(厳密に言うと語弊を生じる言い方ですが)


ただし、
①の風速(エネルギー)が小さくなれば、
②の風速も小さくなります。

それだけに
初期段階の①で有する風速(エネルギー)は重要になります。


そのことを踏まえていただきながら、
前述の上図の結果を見ていただくと、
②の風速は0.5~1.0m/s程度ですが、循環が生じています。
(その循環の中心は0.5m/s以下)
もし②の場にいたとき、
その風速では肌に感じにくいと思います。
でも、気温等を変化させたいその循環は、
空気が滞ることなく移流させることが大事であり、
湖沼などもそうですが、
その移流にはその速度で足りてます。
(↑わかりにくい表現でスミマセン)


そこで、下記の結果を逆算していけば、
②で風速0.5~1.0m/s程度の流れを生むには、
①のところで1.5~2.0m/s又は2.0m/s超の風速が欲しいです。
※下記の結果で風の入口を見ると、
 風速が水色の矢印で示されており、
 その風速が1.5~2.0m/sです。
 緑色の矢印で2.0m/sを超えてきます。
※あくまで計算ケースの1つですから、
 1.0m/sを下回る②の風速を考えると、
 風速1.0m/sでも見込めるかもしれません。
 不確実性の問題があるので、
 詳細な検討が必要ですが、
 感度分析で試す価値はあります。
 まあ、実際には様々なケースで計算され、
 最低限、このくらいの風速が必要

 というのは、国立競技場側も把握されているでしょう。
 そこが大事ですので。
※でも、ZOZOのような強い風まではいりません。
 そこが上記(1)「無風」問題に関して、
 まだ望みが持てる面が残っているところです。


しかし、①のところで0.5m/sとか
無風に近い状態になってしまうと、

②のところはもっと弱い風になるので
循環流が見込めなくなってきます。


では、この地域の風速頻度
どうなっているのでしょうか?


メラドの風速観測データを所有していないので、
そこで、気象庁の所沢観測所で観測されている
時間別風速データに基づき、
風速頻度を見てみましょう。
(市内なのでメラドとは厳密に違いますが)


整理対象とするデータについては、
最も暑くなる7~8月を、
そしてデーゲーム&ナイターが
開催される時間帯12~23時
を対象とした過去5年を見てみます。


データ数は3,720時間分ありますが、
(5年X62日(7・8月)X12時間)
そのうち欠測数24個ありましたので
扱うのは3696時間分のデータになります。


ちなみに、一般的に風の強さを示す
ビューフォート風力階級では、
風速0.3m/s未満を静穏
いわゆる無風状態としております。
また、環境測定等を行う際には、
0.4m/s以下を静穏とすることが多いです。
一応、ここでは
0.4m/s以下を無風状態として考えてみます。



上図を見ると
無風状態の0.4m/s以下は約4%であり、
(3696時間中138時間)
無風の頻度はそう多くないと考えられます。
また風速1m/s以下まで広げても
約15%(3696時間中558時間)です。


さらに前述のシミュレーション結果が必要条件と仮定したら、
風速1.5m/s以上をマストとしても
7割以上の時間帯はその風をキープできます。


それらを考えると
上記(1)「無風」問題はありますが、
まだ望みが持てる面が残っているところになります。


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ただし、上記(2)の問題、、、
また風があっても、
ドーム内と同じだったりすると、
ドーム内の空気と
密度差が生じない(重さが同じ)ので
外気の風は拡散してしまって
循環流が生じにくくなり、


ドーム内より暑いとき
外気の風が暖かい(軽い)空気なので
ドームへ入るときに上方を這ってしまって
循環流が生じにくくなり、
どうしようもありません。


特に外気(ドーム外)が
日陰でも灼熱地獄になっていたら、
直接日射を避ける以外のでは、
もうどうしようもありません。


自然風を対策に使うとしたとき、
ドームは非密閉型ではないですから、
外が直射日光を避けても灼熱地獄なときに、
内が地獄でない、
ということは難しい話になり、
(快適とまでは言わなくとも)
上記(2)に関しては、
最もお手上げ状態になってきます。
すなわち、
別の対策が必要となります。


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さて、根本的な暑さ対策については、
基本的には、東京ドームなどのように
密閉型にして冷房機等で空調を調節するなど
ベストです
が、
これは「首都圏」さんが仰っていたように
密閉させることで「建築物」になりますから、
固定資産税の増額が必要になってきます。


もともとメラドのある地域は
狭山丘陵の自然豊かなところですから、
そもそも西武球場を建設するときから、
自然に対する配慮はお上から求められ、
協議しながら進めてきております。


まあ建設してしまったら
環境への影響があるのは似たりよったりなんですが、
一応、自然と共生する形で
当時は「アウトドア感覚の爽快ドーム」
と謳ってましたが、、、
(どこが「爽快」やねん!)
今の形で収まってます。


それでもお上の方は、
「壁はないけど、家屋に該当する」と言って
税金を徴収しようとしておりました。
結果的に確か、
固定資産税の対象は、
スタンド部分だけが対象となり、
フィールド部分は免れて、
もっと安価な償却資産税で済んでいたと思います。
しかし、密閉型ドームにしてしまうと、
フィールド部分は償却資産ではなくなり、
一式で固定資産税が嵩みますので増税になります。
しかも、規模が大きいですから、
当然、支払う金額も嵩みます。


もちろん、それだけではなく、
密閉型ドームにする
施工費、イニシャルコストのほか、
空調のランニングコスト、メンテコストと
維持管理費も嵩んできます。


逆に屋根を撤去してしまうこともあり得ますが、
雨風を凌げるのは大きく、

屋根なし球場が多いセ・リーグのように
泥んこで別の競技のようなものになられても困りますし、
終盤に雨天中止分の振り替えが嵩んでも困ります。
特に最近は気候変動に伴って
雨の降り方も異常になってますから。
(突発的な、しかも強い雨の頻度が増したり)


まあ全てを取り入れることはできず、
半分、冗談も含めてですが、
こんな形の発想もありか、とも思います。



さて、色々書かさせていただきましたが、
特に、自然を相手にするときには、
「首都圏」さんが仰ったような
「不確実性」は重要な問題
になってきます。


どんなに精度を高めても
不確実性の問題は常に出てきます。
そこを忘れてしまうことは危険です。


「首都圏」さんが書かれていた
『理論上、○○が出来たとしても、
 それが機能するかは別問題』
この概念はものすごく大事
になります。
この概念を
認識されているのと、されていないのでは、
大きな差が出てきますし、
後者は危険な方向に走ってしまう懸念があります。


一番いい例が、東日本大震災です。
このとき「この防波堤は安全だから大丈夫」と
安全神話が信じられておりましたが、
現実は想定以上の規模の地震となって
もろくも崩れて被害を甚大にしました。


でも、今度はあれだけの規模を対象に
抑えるハード対策と言っても、
それはそれで現実離れした話になります。


そこで最近の洪水等の被害もあわせて学習しながら、
「まず逃げる」という概念が大事になってきました。
自助・共助の概念が重要視されるようになりました。


もちろん、過剰に反応する必要はありません。
過剰に反応しすぎると、
ノストラダムスの大予言まで心配になってきますから。
(まああの大予言はハズれましたが)
しかし、心の片隅でもいいから、
その概念を認識されておくこと
が大事
だと思います。


災害等の話をさらにしていくと長くなるので、
ここでやめておきますが、
特に自然を相手にすることには、
理論上では限界がある、
不確実性が必ず伴う
という認識はもの凄く大事
になってきます。


まあ、それは自然を相手でなくても
確率論を考えれば100%という事象はあり得ないので、
どんな話にも通じる点はあると思います。
熊代がホームランを打つ可能性もゼロではないですから。。。
(まあ、ゼロに近いかな。。。)


とはいっても、
それで諦めては先に進めませんから
その不確実性を
少しでも小さくしていく努力は必要です。
そのために、今まで人間が培ってきた技術があり、
それをこれからも進歩させて行こうとしているわけですから。


メラドの暑さ対策に話を戻しますと、
もちろん新国立競技場の動向を
注視していくことは大事
になります。


実際に良い参考材料があるのですから、
完成後の東京五輪での状況は
貴重な知見になっていきます。


まあ、個人的に心配しているのは、
競技場の外気が
日陰でも灼熱地獄になっていて
どっちにしろ
お手上げ状態になっている?
という前述の(2)の問題ですが。。。


そして、もう一つ大事なことは、
前述で使っているシミュレーション結果などは
あくまで「新国立競技場」のものですから、
メラドへの適用性も含めて
不確実性が残っております。


そのため、
メラドの地域特性(気象条件等)や
メラドの構造等を鑑み、
メラドを対象にした
数値シミュレーションモデルを構築し、
様々なケースを想定しながら、
あらゆる角度で計算して
メラドにおける対策効果に関して、
定量的に詳細な検討を進めたい
ですね。


↓↓↓シミュレーション事例

半開放ドーム型施設の気流と温度解析(メラドではありません)


ただし、そのシミュレーションモデルも
当然ながら、不確実性が伴ってきます。
パラメータの設定の仕方で答えも変わってきます。


それ故に、得られた計算結果を
当然、そのまま鵜呑みにすることも危険です。
だから、本来は、対策の事後調査を行って
その状況に応じて改善していくことが大事になります。
(いわゆる、PDCAサイクルですね)


だったら、
「負担も考えると、やる意味はないよね」
というのも違うと思います。


せっかく事象を把握できるツールがあるのですから、
それを有効に使うことは大事なことであり、
その精度を高める努力も必要と思います。


その精度を高めるには、
メラドの気象条件等を調査して現況を把握し
それの現況再現計算を行っていくことが必要です。
(計算値を実測値に合わせてながら試行錯誤する)
  ただし、高レベルのモデルになればなるほど、
  逆に現況を細かく把握していかない
  そのモデルの高次元化は、あまり意味が無くなってきますが。
  現況把握の状況が粗々の場合、
  あまり難しくないモデルの方が
  計算負担等を鑑みると、向いていることもあります。


あとは、
感度分析しながら見て行くことも挙げられます。
そういう感度分析も大事ですから、
先ほど「あらゆる角度で」と書きました。
あまり現状を調査できないときには、
それも必要だったりします。


また、球団には、暑さ対策について、
難題であることはわかってますが、
深刻な問題であることに変わりませんから、
あれこれ試行錯誤しながらでもいいので、
真剣に詳細に考えることを
諦めないで続けて欲しく、

積極的に取り組んで欲しいです。


あと、「首都圏」さんから
我々ができる個別対策について、
「首都圏」さん流の対策をご紹介下さっておりました。
もの凄く参考になってありがたい情報ですね。


やはり、我々も観戦していて
熱中症とかになったりしたらヤバイですから
各自でも考えていかないとならないですね。