下手の横好き(馬と獅子が好きです)

主に西武ライオンズ、競馬のことを主に書いています。

【獅子(子猫?)投手陣2019】今年は散々な状況に陥り、過酷な状況下の中でも黙々と投げ込み続ける獅子投手陣。野手陣のカバーに大きく助けられたことも確かである。ただ、最後の土壇場となる優勝争いでは投手陣の意地の好投が『連覇成就』へ大きく貢献したのも事実。それ無くして『連覇』に辿りつけなかった。これから控える大舞台でも、その投手陣の勢いを保ちながら相手打線を薙ぎ倒し、『日本一』悲願成就へ向けて突っ走れ!/今年の投手陣を成績データを整理して考察してみた。CSに向けて鷹や鷲の対戦成績も含め。/ところで『吉田正尚ヒット打った?』ももうすぐ終焉!森友哉の首位打者の座ももうすぐ?

 昨日は獅子威し打線の成績を確認しました。今日は投手陣の方を整理します。


 今年の獅子投手陣は、雄星が抜けて多和田らが不調となり、苦境の中を散々な状況に陥り、大暴れした獅子威し打線にカバーしてもらいながら凌いできました。中継ぎ陣も昨年に活躍したマーティン&ヒースが今一つの状況だったため、「勝つまでは欲しがりません」状態で平井らがフルスロットルで投げ続け、平井の試合登板数は「神様!仏様!稲尾様!」の記録を抜くほどに。
 しかし、獅子投手陣は、優勝争いの土壇場9月に意地を魅せて奮起し、連覇成就に大きく貢献しました。あの投手陣の働きなければ、9月に何試合かを落としており、連覇成就は実現しなかった可能性が高いです。また、多くはありませんが、本田、光成、泰雄、平良と若手が台頭もしてきました。


 さて、今日はその投手陣について、データを色々見てみましょう。CSで鷹か、鷲か、どちらかと対戦するので、参考として鷹戦、鷲戦での成績なども併記します。
 なお、データの出典は主に
  〇野球データノート(2019年)(http://npb.sakura.ne.jp/index.html
  〇えるてん ( @nf3_Infoさん)のnf3 -Baseball Data House-2019年版
  (http://nf3.sakura.ne.jp/index.html)より拝借しました。


 今年は、雄星がメジャーへ移籍して抜けただけではなく、多和田、榎田が不振であり、昨年、彼らが稼いだ41勝が多和田&榎田でたったの5勝しか稼げず、36勝分の大穴が空きました。チーム勝ち星が昨年が85勝であったのに対して80勝だったことを勘案しても、31勝の大穴がありました。さらにカスティーヨの7勝なども不足していました。


 しかし、新外国人のニールが12勝を稼ぐ救世主となり、光成が初の2ケタ勝利10勝で昨年より8勝を増やし、急成長中の本田とドラ1の松本航が各々7勝、一応、今井も昨年より2勝多い7勝を挙げました。ニール、光成、本田、松本航、今井による昨年からの増加分で36勝を稼いで、大穴を埋めましたね。
 さらにニールは、怒濤の11連勝で安定して12勝1敗と貯金を11個、光成も貯金を5個稼ぎましたね。まさに、「あざーす!『ニール神!』」でした。


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 でも、前述したとおり、失点は派手に積み上げ、平成最後のホーム最終戦(鷹戦)では16点を失点したり、オリ戦では8得点を挙げながらも、20被安打&20失点という大炎上も見られました。でも、その次の鷹戦では「西13-8ソ」で勝つとか、まあ、とにかく、『得点するのも派手』『失点するのも派手』という昨年以上の『大荒れする狂乱野球』が目立ちましたね。


 獅子投手陣については、695失点(自責620点)、防御率4.36と散々なものでした。その投手陣の損失を獅子威し打線の方で756得点を挙げてカバーしましたが、昨年の653失点(自責602点)、防御率4.24を上回りました。


 上表にチーム投手陣成績を前述したように、防御率がリーグ最下位であり、特に先発陣の防御率が4.64と断トツ最下位です。QS達成率こそ他球団とあまり変わらぬ43%ですが、8月が初回失点を度重ねたりしながら、8月防御率が6.34と壊滅状態だったことなども響いています。


 また目立っているのが、WHIPが約1.5と高すぎ、与四死球が多すぎました。
 特に、与死球の多さは、リーグ2位の鷹の1.4倍と93個もありました。死球トラブルでオリとも京セラで一触即発、メラドで珍乱闘になりましたが、まだ内角攻めに伴う与死球ならまだしも、「外角攻めですっぽ抜けて」という『ノーコン与死球』も多く目立っております。さすがにそれは減らしたいです。


 無論、与四球も多いですね。ただし、今年の与四球数は、最終的に509個でフィニッシュし、昨年の506個と似た状況でした。先発&中継ぎの内訳は、先発が306個、中継ぎが203個であり、昨年の先発314個、中継ぎ192個とそう大差はありませんでした。とは言っても、昨年だって今年だって『与四球が多い』のは確かであり、その良くない状況が変わらず横這いでした(昨年は目糞、今年は鼻糞の状態みたいな)。
 また意外なのが、与四球数に関しては、昨年と同様、鷹の方が多かったですね。今年はこちらが509個に対し鷹が544個、昨年はこちらが506個に対し鷹が539個。


 ただし、獅子の場合、その鷹と比べて、奪三振数が269個も少ない875個しか奪えていません(鷹は1144個)。リーグ5位のハム1040個と比べても165個少ないです。当然、奪三振率に関しても6.14と低すぎ、鷹の8.18より2以上も、リーグ5位のハムの7.45より1.3も低いです。


 もちろん、昨年、153個の三振を奪っていた雄星がいなくなったことが響いています。昨年の奪三振数は959個ありましたから、今年は昨年より84個減っています。また奪三振率は先発が昨年の6.42から今年5.66に減っていることが雄星流出の影響を物語っています。
 しかし、中継ぎ陣に関しても奪三振率が昨年の7.45から6.97にも減っています。それを考えると、全体的にも少なくなっていることが伺えます。そして、今回、比較した昨年だって、そもそも奪三振率はリーグ5位と低かったわけですから、昨年より多い少ないの議論は、与四球数同様に低レベルの物差しを使っての話でもあります。


 なお、9月は投手陣が改善されて防御率等を低減しましたが、奪三振率は5.12と通年の6.14より低く、月間成績の中で最低でした。
(3・4月5.83、5月6.88、6月6.48、7月6.88、8月5.66)


 『与四球数減少』も大事ですが、『奪三振数アップの改善』は喫緊の課題です。


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 次ぎに個人成績を見てみましょう(下表参照)。


 まず先発投手については、上段の表になります。


 QS達成率は、ニール&十亀が60%近くあり、今井も55%に至りましたね。リーグでだいたい42~43%であることを踏まえると、光成の48%もそれなりの数字と思います。しかし、本田や松本航は6回あたりから怪しくなることもあって38%とやや低く、榎田は不調だっただけにわずか15%しかありませんでした。
 なお、昨年の榎田はQS達成率が59.1%、HQS達成率が27.3でした。


 またHQS達成率については、ニールが12%にとどまってますが、長く投げることができる十亀が29%、今井が27%、光成が19%となっています。ただし、他球団を、見ると、山本が58%、有原が54%、千賀が42%、榊原が39%、高橋礼が36%、種市が35%、山岡が35%と高い投手は多く、昨年は雄星が44%、多和田が35%となっていました。
 それらを考えると、できることなら、HQS達成率35%以上の投手が1~2人が欲しいですね。そうなれば、中継ぎ陣の負担低減が見込まれます。


 被打率については、2割後半にあり、光成&榎田に関しては、被打率が3割を超えおり、被OPSも0.85前後と高く打ち込まれていますね。とチーム内で低くても今井の0.251であり、2割前半台以下に抑えられる投手が欲しいです。


 奪三振率は、ストレートを大いに武器とする今井、光成、松本航が6.5~7.0の範囲にあり、チーム内で高い方です。でも、チーム内に7.5~8.5の奪三振率を誇る先発投手が欲しいです。すなわち、先発の奪三振率7未満というのは、他球団と比べて小さすぎます。前述した『奪三振率アップ』の課題がカギですね。


 与四球率は、奪三振率が高かった今井、光成、松本航は高いですけど、十亀、榎田、本田が2.7~2.8とそこまで高くありませんでした。特に、十亀については、制球力の維持を見据えて、今年から『力を抜く投球』を繰り広げており、それが功を奏していますね。ただし、球へ伝わる力が昨年までほどないので、真ん中付近に集まりやすくなって、タイミングを合わせられると、逆に打ち込まれてしまいますね。
 ニールは、与四球率は1.35と優秀です。打たせてゴロアウトを稼ぐので、奪三振率は4.57と低いですけど、K/BB比は3.4と高いです。


 GO/AO(=ゴロアウト/フライアウト比)については、ゴロアウト魔術師であるニールは2.01と高いですね。またHR/9(=ホームラン率=(被本塁打×9×3)/(回数×3))は0.72と低い。もちろん、ゴロアウトはコース次第でヒットになっても、ホームランになりませんから。
 他の先発陣のGO/AOを見ると、光成が1.72と高く、ゴロアウト派と言えます。今井と十亀は1.13で1以上をキープしています。逆に1以下でフライアウトの方が多いのは榎田0.87、本田0.71、松本航0.62でした。
 一方、HR/9(=ホームラン率)を見ると、GO/AOが高かった光成は0.95と低く、今井や十亀は1.06であり、逆にGO/AOが高かった低かった榎田が1.57、本田が1.28、松本航が1.16と高いです。


 確かにホームランを打たれるのは、ゴロアウト派だから、フライアウト派だからと言い切れぬ面はあり、球威や制球等の他要素も要因に絡んできます。
 例えば、球威のある則本は、ゴロ派、フライ派というよりは奪三振派ですけど、さすがにフライアウトの方が奪三振数より多く、GO/AOが0.76でしたが、HR/9は0.93と高くないです。球威でスタンドまで運ばせないですからね。


 とはいえ、ゴロアウト派の方は、打球コース次第で長打はあっても、フラアウト派よりホームラン被弾は少ない傾向は見られてます。ゴロ打でスタンドインHRにはなりませんから当然と言えば当然ですね。
 下図は、今年のパ・リーグの先発経験者のGO/AOとHR/9の関係を図示したものです。バラツキは見られますが、全体的に右下がり傾向(GO/AOが高くなれば、HR/9が下がる)は概ね見られています。


 例えば、本田の場合、GO/AO=0.71と低く、完全にフライアウト派です。前述の則本と違って、奪三振率も5.22とそこまで高くなく、球質が軽く一発被弾の課題があります。実際にHR/9=1.28と高いです。今は、制球力を持ってきな臭いコースに投げ込んだりして凌いではいますが。
 榎田を見ると、今年がGO/AO=0.87、HR/9=1.57でしたが、昨年がGO/AO=0.84、HR/9=0.95でした。今年も昨年も、GO/AOがあまり変わらぬフライアウト派ですが、HR/9が増えているのは、内外角の際どいコースへ投げ込む制球力が低下したり、球に力がしっかり伝わっていなかったり、そもそも榎田自身が不調なのが要因ですね。
 まあ、今からフライアウト派→ゴロアウト派に転向するのはそう簡単ではないですが、本田も榎田も『ゴロアウトを打たせる意識』は強く持って欲しいですね。本田あたりは、高め傾向が目立ちもするので、低めに球を集めることに集中し、さらにはまだ若く発展途上中(完成品になっていない)なのだから、ニールあたりから動くボールをもっと習得して『ゴロアウト』を増やすようにされたいです。


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 次ぎに中継ぎ陣については、下段の表になります。


 守護神・増田がNo1であることは、成績が示しておりとおりです。リリーフ陣に欲しい奪三振率は9.56と高く、与四球率1.29、被打率0.200、被出塁率0.228、被OPS0.522、WHIP0.88と低いです。またIPR(登板時に1失点するまでの投球回数)は 4.6回/点であり、NHB%(出塁を許さなかった登板数の割合)は43%とまずまずです。
 欲を言うと、NHB%がもう5%くらい高めて、50%弱くらい欲しいかな、という処です。ハムの宮西あたりは約55%ありますから。でも鷲の松井は44%、鷹の森は37%だから、しかもセーブシュツェーションではない登板数も多いので、あくまで『欲張ると』です。


 81試合登板の平井については、とにかく働きました。お勤めご苦労様ですm(_ _)mとしか言えません。そして、残業(CS&日本S)も宜しくお願いしますm(_ _)mしか言えません。成績に関しては、上表のとおり、普通の中継ぎ投手のような結果に終わりました。平井を語るには、通年だけの結果では語れませんので、後述する『月別変化』で話をしたいと思います。
 ただし、昨年~今年5月まではGO/AOが高く、ゴロアウト派でしたが、疲労が嵩むにつれてゴロアウトが減ってフライアウトが増えてきましたね。GO/AOは昨年1.27でしたが、今年は0.96に低下しています。


 小川に関しては、首脳陣は平井の方に絶対的な信頼を置いておりますが、夏に二軍で調整してから左投手苦手を克服し、正直、平井より安心できる(不安が小さい)存在となり、防御率も2.58と中継ぎ陣2位でした。IPR(登板時に1失点するまでの投球回数)は3.2回/点であり、NHB%(出塁を許さなかった登板数の割合)は40%と、チーム内では上位に位置づけていました。


 ヒースに関しては、負傷で離脱する処もあって続けて働けなかった面があり、防御率も3.73と高めですが、NHB%(出塁を許さなかった登板数の割合)は41%と、チーム内では2位に位置づけていました。また奪三振率の高さは健在であり、昨年の尋常ではない12超とかと比べると物足りないですが、今年の9.77は増田以上でチーム内トップであり、優秀です。
 負傷離脱していましたが、CSや日本シリーズに間に合ったのは大きいです。守護神役もできますから、増田が何連投も嵩むようであれば、ヒースを使うことができますし、平良、小川、平井、ヒース、増田と勝ちパの駒を有効的に最大限に使われたいです。


 急上昇した平良については、奪三振率が8.6とまずまずです。二軍では11~12をマークしておりました。一軍戦なら低下するのはやむを得ませんが、9は超えたいですね。
 与四球率に関しては、3.38と高めです。ただし、昨年までは2軍戦で中塚を超える6以上だったようにノーコン傾向はあります。今年はそれを改善させて台頭してきましたが。与四球を減らそうとすることは良いのですが、平良の最大の売りは『大胆に投げ込む豪快なストレート』です。与四球を怖がって『大胆さ』を損ねないよう、思い切り投げ込んで欲しいです。
 ただし、WHIPが1.5以上と高く、被打率も3割近くあります。ストレートは一級品ですが、変化球はまだ二線級です。増田も苦労したように、ストレート一本槍では、相手もプロなので打ち込んできますし、頭打ちになる懸念はあります。次の開幕までに変化球も磨いておきたいですね。


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下表は左右打者別の被打率、被出塁率です。



 今年は『右打者は抑えているけど、左打者に打たれている小川を左打者に対して投入する』という怪現象があり、素人の我々ファンのみならず、中継の解説者らまでもがこの怪現象への理解に苦しみました。まさに首脳陣が信じている『小川は左に強い』とは都市伝説ではないか?と思うくらいでした。


 そもそも、小川が『右打者より左打者の方が苦手』という傾向は、中日時代や昨年にもデータから見られていました。
 過去の左右別被打率について、昨年(2018年)が左打者が被打率0.320、右打者が0.214でした。中日時代にデータをさかのぼると、一昨年(2017年)は左が0.200に対して、右が0.313となっていましたが、その前の年(2016年)は、やっぱり左が0.205に対して、右が0.152で左が悪いです(まあこの16年は左右どちらも低打率ですが)。
 そして、2016年から昨日までの通算で見ると、左打者が156打数39安打で被打率0.250に対し、右打者が 74打数13安打で被打率0.176であり、明らかに左苦手、右得意の傾向でした。


 今年の最終的な成績は、上表に示す通り、左打者の方が右打者より被打率が1割、被出塁率が1割4分も高かった結果に終わりましたが、二軍から復帰してからは、左打者を抑えるようになっており、左打者への被打率も、二軍降格前に4割以上あった数字を昇格復帰以降は3割を下回るまでその数字を下げました。一方、右打者に対しては低打率をキープしています。
 左打者に対して内角をしっかり投げ切ることができるようになり、外へ逃げていくスライダーもさらに活かされていくようになってきました。
 そのような一変振りから、今の小川は『左右に関わらずきっちり抑えてくれるリリーフ』という存在になり、現時点では、疲労が蓄積してフォームが崩れてきている平井より安心感があり、中継ぎNo2の座を争う位置にいると思われます。


 ところで、今年も『左には左を投入!』神話に基ずく采配が多く目立ちました(昨年以上かも)。しかし、上表を見てもわかるように、野田も、泰雄も、大将も、ついでに榎田も左右別で大差はなく、小石が右打者より左打者が苦手な傾向にありますね。
 すなわち、『左打者に強い左腕』が不在ということであり、今の獅子投手陣の駒を使うことを前提にすれば、『左には左を投入!』神話は通じないゴミ神話、ということになります。むしろ、ワンポイントで贅沢に使うよりは、しっかり『1イニング』を投げ切らせることに重視されたいです。


 あと、気になる点は、光成とヒースが左打者に弱いとうことろですね。特に光成の左打者問題は昨年より顕著になっていますね。



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ところで、CSで戦う相手になる鷹又は鷲との戦いでの結果は?


 まず、獅子、鷹、鷲のスコア別得失点を示します。
 上段が勝利した試合を対象に、中団は敗戦や引き分けの試合を対象に、下段は全試合を対象にした場合です。


 獅子の場合、失点は相手打線が二巡目に入る4回に見られやすい傾向と伺えます。しかも負けるときは大量点を献上してます。そこを失点しても、大怪我にならぬよう踏ん張れるか?が勝敗のカギの一つになりそうです。
 得点も序盤からも点を奪いますが、本格的な猛攻は二~三巡目にあたる中盤が最も多いという傾向です。そして、勝つときには、終盤にダメ押しで畳み込んでいるという傾向が伺えます。


 鷹の場合、勝つときは序盤から攻めてリードを奪い、勝てぬときはその序盤攻撃に失敗している傾向が伺えます。それだけに、鷹自身、自分たちが勝つ野球は『先手必勝』であることを熟知しているから、序盤からリードを奪いに来ることに集中します。全体でも序盤の得点が最も高いです。


 昨年のCSでも監督コメントから『先手必勝』を決める意気込みで来襲してきたことが伺えました。今年もその意気込みのようです。

 59勝21敗1分け。


 9月25日現在、今季のソフトバンクが、先制した試合での成績だ。打線が序盤に得点を挙げ、終盤の甲斐野、モイネロ、森らの救援陣が締める。工藤監督は「先行逃げ切りがうちの勝ちパターン」と繰り返してきた。


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 今までの獅子vs鷹の戦いを見ても、『リードを奪っておかないと鷹には勝てぬ』傾向が他球団より顕著に見られています。
 なお、鷹戦においては、獅子が3回終了時にリードを奪ってないと、2017年以降は11勝37敗で勝つ確率は23%と低いです。一方、リードを奪っていれば24勝8敗で75%と高まります。
 すなわち、それだけ鷹に勝つには、『こちらが序盤リードすること』が絶対的に大事な必要条件です。



 鷲の場合、今年は逆転勝ちが多かったように終盤8回とかに点を奪い、勝っているときには獅子ほどではなくてもそれなりに点数を稼ぎます。
 ただし、鷲の勝敗のカギを握るのは、失点をしたとしても『中盤までの失点を如何に防ぐか?』であることが伺えます。
 勝ち試合では、序盤から失点をしていますが、ゲームを壊すほどになく、2回以降をしっかり抑え、ゆっくり時間を掛けながらじわりじわりと追い詰めながら、終盤に逆転するというパターンです。
 一方、負け試合又は引き分け試合では、序盤にそれなりに失点していたり、中盤に多く失点したりして、『逆転するにも時間(イニング数)が足りぬ』という展開に持ち込まれたパターンが伺えます。


 ただし、鷲の中継ぎ陣は、8月防御率が2.41、9月防御率が1.56と堂々のリーグ1位を誇っており、その脅威は鷹以上あります。それだけに『中継ぎ陣が登板する前までにリードを確保しなければならない』というのは鷹戦と同様の勝つための必要条件になると考えられます。


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次は鷹、鷲の主力打線に関する獅子戦での打撃成績です。


 まず鷹の方について。


 デスパ、グラシアルの両外国人に打ち込まれています。OPSも1前後をマークされていますし、デスパには3割6分の打率で7本塁打を被弾しています。
 先発投手の中で彼らを抑えている方の投手というと、デスパには十亀が、グラシアルにはニールと今井が挙げられます。


 今宮にもそこそこ打ち込まれており、上林は他球団からは打てず、全体の打率が2割切って0.194と低打率ですが、獅子相手のときだけは何故か奮起するため、打率0.326、出塁率0.436であり、OPSが1を超えている驚異的な成績を残し、獅子キラー専属になっています。
 上林に対して、抑えている投手陣は、ニールや今井あたりであり、逆に光成は打ち込まれている。


 柳田や中村晃は、復帰して間もなく、全体的にまだ復調していない様相(ここ終盤になって上向き)ですが、獅子戦では双方とも3割弱の打率をキープし、柳田はOPSが1を超えています。CSファーストで復調して勢いが増すと厄介です。


 松田に関しては、十亀キラー振りが昨年と比べて緩和されています。十亀に対する打率も0.273と低迷しています(昨年は打率5割)。ただし、出塁率は0.467と高く、長打率0.545と合わせてOPSが1.012と1超と高い値を示しています。まあ、昨年は5本塁打を打ち込まれOPSが2.203と尋常ではないの高さでしたが。
 いずれにしても、松田は打たせてしまうと、相手チームに勢いを助長させるので『絶対に目を覚まさせてはいけない相手』です。


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 次に鷲の方について。


 とにかく今年は浅村にとことん打ち込まれました。パ・リーグの対戦相手の中で、最終的に最も獅子から打ち込みました。獅子戦では打率が3割に達し、出塁率は0.441であり、OPSが1.161と著しい高い値になりました。本塁打も全33本のうち1/3を占める11本を獅子から打ち込みました。
 逆に鷹戦では打率0.163、出塁率0.250、本塁打はたった1本。OPSは0.478という低さです。何じゃそりゃ?ですね。


 ただし、浅村に関しては、意外と得点圏打率が低いです。全体で0.257であり、獅子戦では0.233と低迷している。浅村の前に走者を置きたくないですが、怖いのはむしろ『浅村を突破口にする後続の攻撃』にあります。浅村がヒットなどで出塁してから、後続の攻撃により炎上するケースは多かったですね。


 後続の得点圏打率を見ると、銀次は全体で0.307でも、獅子戦では0.357と高まり、ブラッシュにおいては全体で0.303に対し、獅子戦では0.409と4割超になります。それだけ、浅村への注意も要ですが、『浅村の後続』はもっと警戒しなければなりません。


 ブラッシュは、上表に示すように出塁率が0.384であり、OPSが0.915と高いですが、打率は0.247(81打数20安打)です。得点圏打率が4割超(22打数9安打)ですが、逆を言えば、得点圏に走者がいなければ、59打数11安打と打率は0.186と低迷しています。


 一方、銀次は、上表に示すとおり、獅子戦で打率、出塁率、OPSがそれほど高くありません。しかし、獅子戦での得点圏打率が0.357(28打数10安打)と厄介です。ただし、打率は92打数24安打の0.261であり、得点圏に走者がいなければ、64打数14安打と打率は0.219と低迷しています。


 結局、ブラッシュも、銀次も『走者が得点圏にいる』と奮起して燃えやすいとも言えます。まあ、ピンチになってこちらの手が縮こまっているとも言えますが。


 これらを鑑みると、浅村の後続となるブラッシュや銀次の打席では『走者を得点圏に置かぬこと!』がまず大事です。
 ただし、浅村の打率は高く、打たれれば、二塁打もあるし、本塁打もあります。獅子戦で打った27本のうち4本が二塁打、11本が本塁打であり、二塁打以上が55%を占めています。
 それならば、浅村の出塁を許しても、『一塁止まり』を徹底し、ブラッシュや銀次の打席で『走者を得点圏に置かぬこと!』。極端なことを言えば、浅村を歩かしても構わないです。歩かせて二塁は踏めないので。その代わり『浅村の前に走者を置かないこと』が条件になってきます。
 どのみち、今年、浅村に打ち込まれた11本の本塁打は、ソロ2本、2ラン7本、3ラン2本でしたから、『浅村の前に走者を置かないこと』は必須条件のようです。


 すなわち、浅村ら攻略としては、
  ①浅村の前に走者を出さない
  ②浅村は最悪、歩かしても良い。
   出塁を許しても『一塁止まり』は必須
  ③後続のブラッシュや銀次に対して、
   『走者を得点圏に置かず』料理する


 ということが想定されます。


 先発投手の中で、浅村に対しては光成が最も抑えていました(打率2割)。ただ、他は皆、良いように打ち込まれていましたね。。。
 銀次に対しては、十亀や今井が抑えている方になります。ブラッシュに関しては、光成や今井が抑えている方になりますね。


 あと、厄介なのが島内&茂木です。獅子戦では上表に示すようにとにかく打ってきます。しかも他球団より獅子戦で打ってきます。さらに得点圏打率は、島内が0.333、茂木が0.308と3割を超えております。
 島内や茂木は上位を形成し、浅村の前の1番、2番に配置されやすいです。その前の『下位打線』は絶対に抑えて、島内や茂木の前に出塁を許さないこと。これは超必須事項です。
 そして前述したように、浅村の前に走者を置かないようにするために、島内&茂木そのものも抑えなければなりません。相当、面倒な仕事になりますが、勝つためにはやるしかありません。


 ただし、茂木に対しては、本田、松本航、十亀や今井といった先発陣が抑えています。島内に対しては、本田くらいであり、泰雄も抑えている方ですが。


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一方、鷹戦や鷲戦での獅子投手陣の防御率は???


 ニールについては、鷲戦で高い防御率になってますが、これは二軍調整前の、開幕して間もない4月の2戦での結果ですから、参考外にしていい気はします。唯一の計算できる存在ですから、勝ってもらわねば困りますが、正直、鷲戦での相性は『未知数』です。


 ただし、浅村の場合、獅子時代から併殺打が多かったですね。そこはニールの格好の餌食になる可能性があります。また鷹戦では既に実力を証明済みですね。


 十亀が鷹キラーに???今までも鷹戦の防御率はチーム内で低い傾向にあり、チーム内
で『鷹に強い十亀』の風潮が、、、
 確かに、今までは鷹戦の防御率が低かったですけど、打たせてはいけない松田に打たれて試合に負けるとか、、、『勝ち運』に恵まれません。松田もそうですが、グラシアルにも弱いです。
 それでも『勝利』は逃しましたけど、鷹を相手に2戦連続を投げて、前回は今までの中で最高の投球を魅せて7回無失点に抑えました。


 増田も問題はありませんね。


 また泰雄が鷹戦で防御率が2.57とまずまずです(5試合7回2自責)。与四球が5個と多いのでWHIPが1.43と高いですが、被打率は0.217と低いです。
 あとは、マーティンも鷹戦の防御率が2.84とまずまずです(7試合6.1回2自責)。ただし、マーティンは『投げて見なければわからぬ核弾頭』です。


 いずれにしても、鷹戦&鷲戦の成績では、上記くらいしか見どころがありませんね。


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 今までは通年成績を見ての考察になり、その通年成績は散々だったときも含まれているので、成績や経時変化(変動)や最近の成績を加味しないと、評価しにくい面もあります。そこで、月別防御率を下表に示します。


 チーム全体では、8月が最悪な状況に陥っており、先発陣の防御率も6点台と尋常でないほど打ち込まれました。しかし、優勝争いの土壇場になって一変し、9月防御率は3.30と低減し、特にニールを中心とした先発陣の防御率が3.05と低かったです(優勝するまでは2点台)。
 9月は1勝1勝が大事になって行く戦いの中、打線も湿っていたので、この投手陣の働きがなければ、いくつか試合を落として優勝できなかった可能性はありました。


 またこの優勝争いでは、『先発陣がしっかり試合を作ること』が勝利に近づくことも、獅子自ら示しました。


 もちろん、7~9月はジェットコースターのような変動をしているから、急きょ8月のような大炎上が再現されてもおかしくはありません。でも、9月の状態を維持しながらCSへ突入することができれば、かなり助かります。もちろん、獅子威し打線は、鷹鷲投手陣を打ち込まないと、話になりませんけど。


 先発陣はニール、十亀、今井が好投しており、本田も最後に打ち込まれるまでは、松本航も三日酔いの最終戦を除けば、好投しています。


 中継ぎ陣については、増田は2.70と高まってはいますが、実際にどこまで負担を嵩まされるか?次第でしょう。小川、平良、國場は好調であり、そこにヒースが加わるのは大きな期待がかけられます。
 気になるのは、平井や野田、泰雄ですね。平井に関しては、6月1.98→7月3.55→8月4.02→9月9.31と防御率が右肩上がりで上昇しています。IPR(登板時に1失点するまでの投球回数)に関しては、6月4.56→7月2.53→8月1.96→9月0.97と減少しており、9月は『1イニング持たずに失点を許す』状態であり、『失点を許してはならぬ局面』でセットアッパー機能が発揮できていません。
 与四球率は7月0.71→8月2.87→9月3.72と右肩上がりです。奪三振率は7月7.82→8月4.60→9月6.52と8月より回復していますが、5月くらいまでは9台をキープしており、『セットアッパー』としては物足りぬ状況です(先発ならまだしも)。被本塁打も6月までは0本でしたが、7月1本→8月2本→9月3本と増えています。


 結局、平井に関しては、今までの疲労が蓄積しすぎて、もう1~2日休んだくらいでは回復できる状況にない懸念があります。平井の場合、疲労が蓄積しすぎると、投げるときの身体が開きやすくなり、リリースポイントがバラバラになり、制球を乱すし、球に力がしっかり伝わってないので、長打も簡単に打ち込まれたりしている、とも推測されます。
 自慢のスライダーのキレは鈍化し、フォークも落ちにくくなり、スライダーやフォークが抜けまくる日もありました。気迫でストレートを投げ込んでも、球に力が伝わってないと甘く入って打ち込まれやすくなります。本人も気迫だけで投げ込んでいいますが、それが安定しにくくなっており、長くも続きにくいです。


 泰雄に関しては、防御率が6月0.90→7月3.09→8月7.31→9月5.68と8月以降がおかしくなっています。防御率は8月から9月に低減しており、9月は三日酔いの最終戦を除けば、6戦を投げて6戦目(9/16ロッテ戦)で2回2失点でしたけど、それまでの5戦を連続して無失点で凌いでいました。
 ただし、IPRは6月6.00→7月2.92→8月1.63→9月1.27と減少する一方であり、WHIPは6月0.90→7月1.54→8月1.50→9月2.37と増加する一方です。また今月9月の与四球率は9.95と高すぎます。
 泰雄の方も、今年は過酷に登板を重ね続けており、疲労が蓄積しすぎていることが伺えます。8月以降の成績が芳しくないように、夏場でバテ気味になっている懸念が大きいです。


 とにかく、平井や泰雄については、CSまでに間隔を開けるので、その間にどこまで復調できるか?がカギですね。


 野田に関しては、復帰してから好投をしていましたが、与四球率が9/3オリ戦で乱調でストライクが入らなかったことなどにより10.13と高すぎる数値をマークしました。
 ただし、気になるのは、三日酔いの最終戦は別としても、9/16ロッテ戦で与四死球が0でも打ち込まれて失点しました。
 野田も、雑になって投げ急ぐところがあり、そういうときは自滅したり、打ち込まれたりします。大胆に投げ込むタイプなので、大胆さは損ねて欲しくないわけですが、丁寧には投げて欲しいです。実力では、一軍で十分通用するレベルがあるのですから。



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 さて、CSでは鷹、鷲のどちらが出てくるか?わかりませんが、もちろん、最大の売りである獅子威し打線が暴れることが前提ですが、その上で獅子投手陣が9月のような働きをしてくれたら、CS突破、さらには日本シリーズで撃破し、日本一の実現は濃厚になります。 


 もちろん、投手陣をリードする森の働き『如何に投手陣を導くか?』も大事です。投手陣の士気高揚を図り、自信を持って投げさせ、いい方向に導かれたいです。
 少なくともCSや日本シリーズという大舞台の短期決戦は、勢いのみならず、緻密さな戦術や駆け引きなども大事になってくるので、その経験が森の捕手力をアップさせてくれるはずです。


 ところで、『吉田正尚ヒット打った?』もそろそろ終焉のようですね。オリ打戦が鷹を相手に20安打20得点と大暴れしたらわかりませんが、吉田は6打数6安打しないと、森の打率を抜けません。森が首位打者の座を手中におさめるのも間近ですね。