新外国人ニールの縦横変化量データが『週ベ』で公表される(まあ他の新外国人投手も公表されているけど)。ニールの変化量はシュート成分に偏る傾向。それでバットの芯を外してゴロアウトを打たせる感じでしょうか。ただホップ成分は少なく真横に動かすタイプの様相。全体的に変化量は大きくなく、まとまり過ぎている懸念が、、、その分、打ち込まれやすい?
今週の週刊ベースボール(2019.2.25号)では、
12球団の新戦力完全CHECK
という特集記事が組まれていました。
その中で新外国人投手については、
BASEBALL GEEKSがまとめられている
縦横の変化量データが記載されていました。
縦横の変化量データは
日本の場合、トラックマンデータが
公表されていないので
表に把握しにくいですが、
メジャーでは表でも把握できるようで、
BASEBALL GEEKSでは
新外国人投手等のデータが整理されていたりして
またHPには興味深い記事も色々と多く、
結構、勉強にもなります。
もしよろしかったら、こちらをご参照ください。
さて、今週の週べで記載されている
新外国人投手の縦横変化量については、
西武の新外国人投手ニールのデータも
掲載されておりました。
まあメジャーでの投球が対象のようで、
登板数もそう多くないからデータ数も
そう多くはないようなのですが、
一般人の我々が
ニールの情報を把握するには
大いに参考になり興味深い貴重なデータと思いますので
今回、記事にピックアップしてみました。
ところで、上記のデータだけでは、
相場観がわからないので、
他投手と比較してみましょう。
その比較対象として、
BASEBALL GEEKSのHPからですが、
昨年の新外国人投手で、1年目から活躍した
オリのアルバースやハムのマルティネス、
ロッテのボルシンガー、そして、、、
我が西武のカスティーヨの縦横変化量を見てみましょう。
(※来日前2017年のアメリカでのデータです)
アルバース
※〇印はアルバースの各球種における平均です
オリのアルバースについては、
だいぶ苦汁を飲まされましたが、
その要因には、
・ステップ時のタイミングが合わせにくい
・制球力の優秀さ などがありますが、
上図にもあるように、
ストレート(4シーム)のホップ量が
約50cmと大きいので、
その分、浮き上がってノビる感じとなり、
しかも、横方向は
一般に多いシュート方向(右)ではなく、
スライド方向(左)になっているので、
とても捕らえにくい球質であること
も大きく響いています。
マルティネス
マルティネスは典型的なゴロアウトタイプです。
ストレート(4シーム)、2シームなど
右方向のシュート量が大きいです。
ただし、ホップ量は、MLB平均ですが、
決して小さくない傾向にあります。
またカーブは、横にぶれずに真下に落ちる
ドロップカーブになっています。
完全にこれを引っ掛けてゴロアウトコースです。
ボルシンガー
ボルシンガーもゴロアウトタイプです。
カットボールが4シーム以上にホップしており、
(MLB平均はカットが31cmに対し4シームが45cm)
カーブは角度がついて
真下に落ちるドロップカーブです。
カスティーヨ
カスティーヨは、ストレート(4シーム)が
シュート方向に偏っている傾向にあります。
※ホップ量はMLB平均を6cm下回る39cm
※シュート量はMLB平均を3cm上回る26cm
スライダーも変化量は縦横小さく、
チェンジアップがMLB平均くらい
というところでしょうか。
ファビオの場合、変化量よりも
相手に絞らせない速い荒れ球が武器
という面は否めませんからね。。。
さて、ニールについては、
獲得が決まったとき、来日したとき、
春キャンプで初ブルペンのときに
本ブログでも記事を書かさせていただきました。
今回は参考までに
米3A時代の成績を再掲します。
さて、本題である
ニールの縦横変化量について、
前述したアルバースらのデータと重ね合わせて
比較してみましょう。
参考として、中日のガルシアも追加しました。
一応、ゴロアウト/フライアウト比も
参考までに示します。
なお、ニールの変化量の値については、
掲載されていた2シーム、カットボール、
チェンジアップ、カーブの球種を対象に、
前述の週べ記事にあったグラフから
スケールアップで数値データを読み取り、
各球種の平均値を算定しております。
また比較対象の他投手の値は、
BASEBALL GEEKSのHPで挙げられている
各球種の平均値を適用しました。
ただし、ニールに関して、
ストレート(4シーム)が
週べのグラフに無かったので
ウルフみたいに2シーム主体かもしれませんが、
あくまで参考の仮値として、
ニールの2シームの変化量平均値に
MLB平均値の4シームと2シームの差
を強引に加算してみました。
※ニール4シーム変化量(仮値)
=(ニール2シーム変化量)+
(MLB平均4シームーMLB平均2シーム)
それらを重ね合わせたグラフが次のとおりです。
◆縦横変化量
◆ゴロアウト/フライアウト比
これらを整理してみた結果、
ニールの縦横変化量の特長としては、
ホップ量がもの凄く小さい
ということが伺えます。
カスティーヨも
それほど変化量は大きくないですが、
ニールはさらに変化量が小さい傾向が伺えます。
カスティーヨには球速がありますが、
(荒れ球も表裏一体で保有しているけど)
ニールはそこまで速くありません。
一応、シュート量が目立つ傾向にあり、
その変化分で相手のバットの芯を外し、
ゴロアウトを打たせるという感じ
に思えます。
ちなみに、
ゴロアウトの魔術師ウルフの場合、
変化量は不明ですが、
球がシュート回転しながら沈んで
相手のバットの芯を外していましたね。
ただし、ニールに話を戻すと、
2シームを見てもわかるように
そのシュート量についてもMLB平均
というところです。
イメージとしては、
同じゴロアウトタイプでも、
ホップ量を半分以上減じたハムのマルティネス
というところでしょうか。
縦横変化量で考えると、
ホップ成分は少なく真横に動かすタイプであり、
とは言っても、
その縦横変化量があまり大きいわけではなく、
少し、球質がまとまり過ぎている懸念が残ります。
過去の成績を見ると、
ニールの場合、制球力に優れているので、
与四球率が低く与四球で自滅はしにくいですけど、
米3Aクラスで被打率3割前後と
比較的、打ち込まれている様相が伺えます。
その打ち込まれやすい(かもしれない)というのは、
球速もあるわけではない中、
縦横変化量が比較的小さく、
まとまり過ぎているという懸念が
一因になっているおそれは
あり得るかもしれませんね。。。
今回の縦横変化量のデータは、
打ち込まれやすい懸念の裏付けデータ
になってしまい、
その懸念を深めてしまうのか???
とても心配です。。。。
もちろん、投げてみなければわかりません。
日本野球に適合して
超プラスαの活躍の可能性も
ゼロではありませんから。。。
まあ、今回のデータは、
MLBでの投球が対象であるため、
ニールのサンプルは少ないですから、
実際には、そうではないことを、
そんなデータを吹き飛ばして、
余計な杞憂に終わることを願っています。