下手の横好き(馬と獅子が好きです)

主に西武ライオンズ、競馬のことを主に書いています。

「与四球は失点しやすくなるため(特に先頭打者への与四球)、基本的にNG!」「与四球ならまだ打たれた方が良い」とよく言われます。でも獅子よりも鷹の方が与四球率(BB/9)高いんですけど。。。しかし防御率は獅子の方が鷹よりだいぶ高い。。。あれれ???このパラドックスは何なんだ???

「与四球は基本的に避けたい」ですね。


与四球は失点要因になりやすく、
特に先頭打者への与四球は痛いですね。


それは私もそう思います。


中にはこんな格言もあります。


実際にチーム成績で見たとき、
与四球は失点との相関関係が見られます。


下図は2011年~2018年における
12球団のチーム成績に基づいて整理した相関図です。


失点については、イニング差もありますから、
9イニング当たりの換算としました。
ここでは「失点率」と称します。
(防御率ではなく失点を対象に整理しました)
※失点率=失点×9/総イニング数

これらを見ると、
与四死率、被打率、WHIPは
いずれも失点率と相関があると考えられます。


ただし、相関係数R2を見ると、
被打率の方が与四死球率よりも相関が高く
プロットのバラつき被打率の方が小さいです。


そして、
WHIPの方が被打率より相関が高く
プロットのバラつきWHIPの方が小さい
です。


確かに、実際に失点するときは、
与四死球はきっかけになっても、
打たれるから点を失いやすく、
またWHIPは与四球・被安打数の双方を示しますから、
失点を表現するのに
与四死球のみ、被安打のみより適してるのもわかります。


ただし与四死球は、
ある意味、投手のミスでもあり、
失点につながりやすいから極力避けたいですね。


失点のみならず、
与四球は球数を嵩みやすいという問題もありますね。


奪三振も球数が嵩みそうな印象がありますが、
1イニング当たりの球数奪三振率には
あまり相関は見られていないようです。
しかし、
1イニング当たりの球数与四球率には
相関が見られています。


詳細はこちらの図1-1、図1-2をご参照下さい。


とにかく、
与四球(与死球も)は基本的にNG!
投手成績が芳しくない獅子の場合、
与四球率は高い傾向にありますね。
そのため、
与四球の低減は重要な課題ですね。


ただし、今年のチーム投手成績を見ると、
7月17日現在で、与四球率は、
獅子が3.72に対して
鷹が3.80と獅子より高いです。


死球も含めた与四死球率になると、
獅子が4.31に対して
鷹が4.19と獅子より低い
ですが、
正直、そう大差はありません。


しかし、
防御率は獅子が4.32に対して鷹が3.45
失点率は獅子が4.89に対して鷹が3.78

鷹は獅子より1点近く低いです。


与四死球は獅子も鷹も似たようなものなのに
防御率、失点率は鷹の方が獅子より優れている。。。


ということは、
もちろん獅子投手陣には
与四死球は重要な課題ですけど、
鷹との差に関しては
そこより他が重要なのでは?

という気にもなってきます。


他項目を見てみると、
まず被打率が鷹は0.240に対して、
獅子は0.270と高いですね。


前述した被打率と失点率の相関図
見ていただくとわかるように
過年度の結果からでも、
被打率が0.240だと失点率が概ね3.5、
被打率が0.270だと失点率が概ね4.5と
鷹と獅子の被打率の差
失点率で1点程度の差に相当している

ということが伺えます。


WHIPについても、
鷹は1.29に対して、
獅子は1.45と高い
ですね。


前述したWHIPと失点率の相関図を見ると、
被打率と失点率と同様の状況になっています。


被打率から見た失点率、
WHIPから見た失点率は

鷹が3点台後半、獅子が4点台後半と
実際の失点率に近い状況にあることが伺えます。


そうすると、
WHIPは与四球と被打数の双方を加味していますから、
ここでは置いておくとして、
与四死球率と被打率のどちらが響いているか?というと、
やはり与四死球率よりも
被打率の方が鷹との差に大きく響いている

と言えますね。


さて、問題の先頭打者への与四死球について、
◇どの程度、失点に
 つながっているのでしょうか?
先頭打者の単打の方
 与四死球よりマシなのでしょうか?


よく「四球を与えるなら、
打たれた方が良い」みたいな話
を聞きますね。


確かに与四死球は投手のミスですから、
心理的にダメージが出やすいですし、
次も四球を与えたくないから、
あまり厳しい処を次以降に投げにくい
という点は否めません。


「下校時刻」さんのブログに
次のような興味深い記事がありました。


先頭打者を四球/死球/単打で
出塁させたときどれが一番やばいか?
を統計的に調べられています。


MLBの1990年から2016年の
すべての試合のデータを対象に
整理されているようです。


結論としては、
四球と単打だと、
若干四球の方がやばい可能性が高いですが、
死球が最もやばい、とのことです。


死球がやばい原因としては、
• 死球を与えて動揺してしまう
• 死球を与える時点でコントロールが定まっておらずやばい状況である
• (危険球もあり)投手が交代する可能性が高いので、次の投手の準備ができておらず打たれやすい
と挙げられておりました。


その中で「動揺」は大きいと思います。
よくありがちなのが、
与死球後は、内角に投げにくく
外角一辺倒になってしまい、
簡単に打ち込まれるというところでしょうか。


詳細は上記記事をご参照ください。


また過去に次のような記事もありますね。

結局のところ、
「四死球も単打も約40%の確率で失点につながる」
「四死球でも単打でも、ほとんど変わらない数字」
先頭打者への四死球が失点につながりやすいのではなく
 『約4割の確率で失点する状況を、
 四球でみすみす作り出すことはない』というのが
 定説の答えといえそうだ」
ということですね。



では、今年の成績(7/17まで)から
獅子&鷹における
先頭打者与四死球数失点になった頻度
先頭打者単打(失策含む)失点になった頻度
整理してみましょう。


まず獅子の場合、
全部で85試合761回2/3を消化し、
失点は414点あります。
与四死球は365個あります。


そこで、
先頭打者与四死球は61イニング(個)あり、
全イニングに対して約8%を、
全与四死球に対して約17%を占めております。
そのうち、
失点を許したイニングは27イニングあり、
先頭打者与四死球イニングの約44%を占めています。
すなわち、
先頭打者に対して四死球を与えると、
44%の確率で失点する、とも言えます。
また
その失点数は51点あり、
(1イニング当たり平均1.9点/回)
全失点数の約12%を占めていました。


一方、先頭打者単打(失策含む)は
136イニングありました。
そのうち、
失点を許したイニングは61イニングあり、
先頭打者単打イニングの約44%を占めています。
すなわち、
先頭打者与四死球と
先頭打者単打(失策含む)では
失点頻度ではあまり変わらない

と考えられます。


その発生頻度は
前述した他記事と同様の傾向と思われます。


ただし、失点の程度に関しては、
「下校時刻」さんのブログ記事(MLB)では
単打<与四球の傾向でしたが、


また
先頭打者単打からの失点数は141点あり、
1イニング当たり平均2.3点/回
全失点数の約34%を占めていました。


すなわち、失点の程度は、
先頭打者与四死球よりも
先頭打者単打(失策含む)の方が高い
傷口が大きい傾向にあります。


ちなみに、与四死球でも、単打でも、
先頭打者を出塁させると(全197イニング)、
約45%の確率で失点(88イニング)しており、
その失点は191点あり、
全失点数の中で約46%も占めている
ということが伺えます。



一方、の方は、
全部で87試合785回2/3を消化し、
失点は330点あります。
与四死球は366個あります。


そこで、
先頭打者与四死球は77イニング(個)あり、
全イニングに対して約10%を、
全与四死球に対して約21%を占めております。
獅子より多いです。


そのうち、
失点を許したイニングは23イニングあり、
先頭打者与四死球イニングの約30%を占めています。
すなわち、
先頭打者に対して四死球を与えると、
30%の確率で失点する、
とも言えます。


ここで特徴なのが、
先頭打者への与四死球頻度は
獅子<鷹の傾向
なんですが、
先頭打者へ四死球を与えてから
失点する頻度
獅子>鷹の傾向にあること
です(①)。
先頭打者へ四死球を与えると、
失点する確率は、
獅子が44%>鷹が30%です。


ちなみに、
そのときの失点数は38点であり、
1イニング当たり平均1.7点/回で、
獅子より少ないです。

ただし、全失点数で占める割合は、
獅子と差がない約12%でした。


一方、先頭打者単打(失策含む)は
136イニング
ありました。
そのうち、
失点を許したイニングは59イニングあり、
先頭打者単打イニングの約43%を占めており、
その頻度は獅子と
大差がありませんでした。


ただし、その失点数は117点あり、
1イニング当たり平均2.0点/回で、
獅子より少ないです。


ちなみに、与四死球でも、単打でも、
先頭打者を出塁させると(全213イニング)、
約38%の確率で失点(82イニング)しています。


なお、2004~2013年のNPB対象の
『無死一塁』のときの得点確率は
約40%のようです(鳥越(2014))。
ちなみに一死一塁なら約26%と大きく低下します。
だから、先頭打者を出すか?出さぬか?は
かなり重要なポイントになりますね。


その40%を平均的な数字と捉えると、
鷹はこれより低い確率で失点し、
獅子はこれより高い確率で失点している
ということが伺えます。


基本的に、先頭打者を出塁させても、
それだけでは失点しませんから、
失点を許すということは、
後続を抑えられていないということです。


先頭打者単打のときの失点確率は
獅子も鷹と大差がない傾向にありますが、
前述の①から
先頭打者与四死球のときの失点確率
獅子の方が鷹より高い
ということは、
獅子の方は鷹よりも
四死球を与えた後も

切り替えることができず
引きずってしまい、
その後がなし崩し的に
打ち込まれ失点している。


逆に、鷹の方は獅子よりも

与四死球後は引きずらず切り替え、
後続をしっかり抑えていることができている

とも言えます。


それ故に
鷹は獅子より被打率が低いとも言えます。


もちろん、
走者有り・無しの違いで
鷹と獅子の差が出ている可能性
はありますが、
先頭打者単打であまり大差がない
わけですから、
与四死球の方で差が大きいというのは、
鷹と獅子の差に
与四死球の特性が大きく絡んでいますね。


当然、まずは「与四死球を低減すること」
それに重きを置いて集中すること

優先的対応事項です。


しかし、それでも当然、

与四死球は発生しますね。
そのとき、
単打されるより、与四死球の方が
心理的ダメージは大きいです。

しかし、
その直後は、
如何に出した四死球を引きずらず切り替え、
後続をピシャリと抑えたいですね。


すなわち、
与四死球を出してしまったら、
くよくよせず、動揺せず

開き直って腹をくくれ!
マウンド上であれこれ考えず
反省は試合が終わってからせよ!
ということが大事と思います。