下手の横好き(馬と獅子が好きです)

主に西武ライオンズ、競馬のことを主に書いています。

COWBOY マーティン/獅子の「後ろ役」として重要不可欠の戦力ですが、いかんせん波があるある。急にご乱心COWBOYとなり、ハラハラドキドキの西部劇を繰り広げ、ときには「俺たちに明日はない」状態とかも。この暴れ馬を上手く使って実力を最大限に引き出し、安定した好投させるには?米国3A時代の成績から勝手に検討してみる。

 今日はこの(↓↓↓)おっさんの話です。おっさんと言ってもまだ28歳。私より20歳も若いんですよね。。。時代を感じます。゚(・´Д`・)゚。
※今日はべた打ちで申し訳ありません。


 現在、Kマートは、ほぼ勝ちパの役目として「後ろ」を勤めています。ただ今年は昨年ほどの勢いがなく、登板しても乱調して失点するケースも見られ、投げてみないとわからないかもと安定性への課題を残しています。防御率ではヒースよりマシですが、7月21日現在でヒースは24試合登板して6試合で失点しているのに対し、Kマートは31試合登板して9試合で失点しており、3度に1度は失点して帰ってきているという不安定さです(ヒースは4度に1度失点試合)。
 しかし、Kマートの速く重い角度のあるストレートはそう簡単に打てませんし、落差の大きいサークルチェンジも魅力であり、安定しているときは強いです。しかもおっさんに見えますけど、それでも年齢も28歳と全盛期ですから、来年も残留して欲しい貴重な戦力です。
 ただし、彼が少しでも安定した投球ができるよう、実力を発揮しやすいような使い方をなるべくならしていきたいですね。


 そこで注目なのが先日の巨人戦で『回跨ぎ』させたときの好投劇ですね。


 今までは1イニング限定で使っており(まあ1イニングでご乱調ということもありますから)、ある意味で、巨人戦の『回跨ぎ』は彼の使い方の選択肢の幅が広がり、「怪我の功名」というか、今井が熱発により先発回避で怒られた甲斐があった?というところでしょうか。


 Kマートは米国3A時代の成績を見ると、『回跨ぎ』を平気でやっておりました。2016年から来日する直前までの2018年における米3A99試合において、その約7割に当たる68試合が『回跨ぎ』をしており、平均イニングは約1.7回でした。
 Kマートが来日するときに米国3A時代の成績を確認しましたが、『回跨ぎ』していることは把握をしておりましたけど、獅子に来れば、シュリッターや今までの助っ人同様に『1イニング限定』の使い方が前提でしょうから、一応『回跨ぎ』はできるのね、くらいの認識にとどめ、逆に球数が多いタイプなので、『回跨ぎ』では相当多くなってしまうという懸念がありました。


 また入団以降は、制球難などから急に乱調してしまうという不安定さ(彼の最大の課題)を残していましたから、1イニングは安定していても、2イニング目以降で急に乱調するかも、というような不安を抱えており、すなわち、イニング数を増やすことで『集中力持続力』が途切れないか?という心配をしていました。


 このようなことから、完全に『回跨ぎ』の使用方法は私の頭の中から消えており、米国3A時代の成績を『回跨ぎ』の有無、登板イニング別の整理などはやっておりませんでした。


 しかし、先日の巨人戦での『回跨ぎ』好投劇を見ると、それも選択肢の一つとして考えられることから、今回、2016年から来日する直前までの2018年における米国3A時代の成績(99試合)に関して、登板イニング別などの観点から成績を整理してみました。
 ちなみに、今年、巨人戦以外で『回跨ぎ』をしたのは3試合あり、全て自責点ゼロです。


  2019-04-23(火)ロッテ   1回1/3
  2019-06-01(土)ロッテ   1回1/3
  2019-06-30(日)オリックス 1回2/3


 なお、下表が今回対象とした米国3A時代の成績(2016年~2018年99試合)一覧です。


米国3A時代(2016年)全成績

米国3A時代(2017年)全成績

米国3A時代(2018年前半)全成績

※出典



 次の下表は、米国3A時代(2016年~2018年)における登板イニング数の割合と、それ別での登板間隔のグラフです。


 上図を見ると、全体のうち31%が1イニング以下の登板になっており、残る69%が『回跨ぎ』していることになります。『回跨ぎ』時の内訳は、1回跨ぎの2回以下が44%、2回跨ぎの3回以下が23%、3回跨ぎの3回超が2%(最大3回1/3)でした。


 また登板間隔については、まず「連投」は99試合のうち1試合とほとんどありません。17年5月19日に前日1/3回から連投して2回を投げました。また全体的に見ると、今年より間隔が開いて使われている傾向にあります。平均イニング数を見ると、今年は中2.8日(ヒースも同様)ですが、米国3A時代は中3.2日でした。すなわち、『米国3A時代の方が現在より間隔を開けて投げていた』と言えます。


 それを登板イニング別で見ると、中1日登板は2イニング以下(最大でも1回跨ぎ)登板にほぼ限っています。2イニングより多く投げたときは中2日以上を開けている傾向にあります。イニング別で平均間隔を見ると、「1イニング以下」及び「1回跨ぎの2イニング以下」はともに中3.1日、「2回以上跨ぎの2イニングより多い」のは中3.5日でした。


@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@


 次表は、イニング別における与四球率BB/9、ストライク率S%、1イニング当たり被安打+与四球数(H+BB)/IP、奪三振数K/IPを示し、一番下の表は、イニング別における防御率、無失点だった試合の割合(=無失点試合数/全試合数)を示します。
 上2つは、与四球率BB/9、ストライク率S%、1イニング当たり被安打+与四球数、(H+BB)/IP、奪三振数K/IPを『平均値』と『75%値』で整理しました。


 なお、『75%値』というのは、その値の小さいものから順に並べ、上から0.75×n番目の値を示すものです(項目によっては大きいものから並べている、注釈参照)。
 例えば、12人のテスト点数の75%値というと、点数の低い人から並べて上から9番目(=0.75×12)の人の点数(逆から言えば「上位4位の人の点数」)を言います。なぜ、こんなことをしたか?というと平均値の場合、値が大きすぎるデータがあると、平均値がそのデータに引っ張られやすいので、そのような整理もしてみました(例えば1イニング投げた日で3与四球があり、与四球率BB/9が81と算定され、それが平均値に左右しますので)。

 まず与四球率については、平均値&75%値ともに「1回以下」>「2回以下(1回跨ぎ)」>「2回超(2回以上跨ぎ)」という傾向があります。確かにイニング数が短いほど与四球1個分の割合が大きくなりますから、そのような特性が左右している可能性は考えられます。
 ただし、ストライク率をみると、「2回以下(1回跨ぎ)」と「2回超(2回以上跨ぎ)」では平均値が65%程度、75%値が60%程度と双方とも同じような数値になっていますが、「1回以下」は平均値が61%、75%値が53%とそれら(『回跨ぎ』あり)より低い傾向がみられています。
 これらを見ると「『回跨ぎ』をした方がストライク率が高く、与四球を減らしやすい」という仮説(以下「仮説①」と称します)が考えられます。


 一方、奪三振数に関して見てみましょう。与四球率と同様に9イニング換算の奪三振率K/9で示せば良かったですが、後述する1イニング当たりの被安打数+与四球ともざっくり見比べられるよう、とりあえず1イニング当たりの奪三振数で換算しています。普段、見られるK/9は上表の値を9倍ください。


 平均値&75%値ともに「1回以下」>「2回以下(1回跨ぎ)」>「2回超(2回以上跨ぎ)」という傾向があります。前述のとおり、ストライク率は逆の傾向にありますが、イニング数が短ければ短いほど全力投球ができるので、奪三振数は「1回以下」(回跨ぎ無)が最も高いですね。
 これらを見ると「『回跨ぎ』をしない方が三振を多く奪っている」という仮説(以下「仮説②」と称します)が考えられ、「短いイニングの方が全力投球できるので高い」と思われます。



 上記の仮説①②を見比べると、イニング数が短いほど全力投球できるので奪三振数が増えていますが、Kマートの投球も雑ですから、全力投球する際に『力み』が生じやすくなるため、与四球を増やしてしまうということが推測されます。


 ただし、下図は、全試合における「登板イニング数」と「1イニング当たりの与四球数(BB/回)、奪三振数(K/回)」の関係をグラフ化したものです。

 このグラフを見ると、登板イニング数が多くなればなるほど、与四球数&奪三振数が減っている傾向(右肩下がり)が見られます。上記の仮説①②を裏付けています。
 ただし、与四球数(BB/回)は2イニングを超えると顕著に低下しているのに対し、奪三振数(K/回)はそこまで顕著に出ておりません。


 その理由としては、まず考えられるのは、発生数そのものが奪三振数>与四球数ですから、1~3イニングと短いイニング数で比較しているので、イニング数が短いほど、発生数1個分の重さは与四球数の方が重くなりやすいから、ということが1つ挙げられます。


 別の理由については、全力投球をすること奪三振数を増やしておりますが、2イニング以上の場合の全力の程度を1イニングより減らしてもある程度三振を奪うことができているのに対し、四球は力んでしまうと与えやすいので、Kマートの場合、2イニングを超えると、気を少し楽になげることで力みが抜けて、与四球数が急減するという可能性が考えられます。


 勝手なイメージで話をすると、1イニング以下なら100%の全力投球、1~2イニングなら90%、2イニング以上なら80%の投球をするとします。その中でKマートの場合、100%ほどではないですが、80~90%の投球でも三振はそれなりに奪うことができるので、奪三振数は2イニング以上でも急落することはないと。
 一方、80%以下の投球ならそれほど気張らなくとも投げることができるけど、90~100%の投球をしなければならないとなったら、もう全力投球しなければならぬ!となって「力みスイッチ」が入ってしまい、与四球数を急増させてしまう。
 そんなイメージでしょうか。そのため、「今日は回跨ぎして長めになげるよ」と言われれば、100%全力投球ではそう長く投げることができないので、Kマート自身、適当に手を抜いて多少は気楽に投げるのでそれが「力みスイッチ」をオフにしてくれる、みたいな印象ですかね。


@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@


 次に上表における1イニング当たりの被安打数+与四球数を見てみましょう。
 平均値&75%値ともに「1回以下」>「2回以下(1回跨ぎ)」>「2回超(2回以上跨ぎ)」という傾向があります。ただし、「2回以下(1回跨ぎ)」と「2回超(2回以上跨ぎ)」はあまり差が大きくなく、「1回以下」(回跨ぎ無)が最も高いですね。
 これらを見ると「『回跨ぎ』をした方が被安打数+与四球数を減らしやすい」という仮説(以下「仮説③」と称します)が考えられます。


 下図の上段のグラフは、全試合における「登板イニング数」と「1イニング当たりの被安打数+与四球数」の関係をグラフ化したものです。

 このグラフを見ると、登板イニング数が多くなればなるほど、被安打数+与四球数が減っている傾向(右肩下がり)が見られ、上記の仮説③を裏付けています。


 その理由については、前述したように与四球数が減っていることが1つ挙げられます。そこでは前述したように「力み」を一因に列挙しました。イニングが増える分、気が楽になって「力み」が減るみたいな話を。。。


 ただ、他にも要因があるのではないか?という気もしております。


 そこで下図の下段のグラフは、全試合における「登板間隔」と「1イニング当たりの被安打数+与四球数」の関係をグラフ化したものです。

 このグラフを見ると、登板間隔が開けば開くほど、被安打数+与四球数が減っている傾向(右肩下がり)が見られています。中4日で縦軸(被安打数+与四球数)が9という変なプロットはありますけど、大まかにその傾向は言えると思います。
 これらを見ると「登板間隔開けた方が被安打数+与四球数を減らしやすい」という仮説(以下「仮説④」と称します)が考えられます。


 この仮説④は、何か当たり前のような話になってきていますね。そう当たり前の話がデータでも表現されているという印象ですね。


 また、登板間隔については、最初の方で述べましたように、「1イニング以下」及び「1回跨ぎの2イニング以下」はともに中3.1日、「2回以上跨ぎの2イニングより多い」のは中3.5日でした。「1イニング以下」及び「1回跨ぎの2イニング以下」では大差はありませんが、「2回以上跨ぎの2イニングより多い」ときはさすがに間隔が開いています。
 これも長く投げたら、さすがに肩の回復に時間がかかるので、次回登板への間隔が開くのは当たり前ですね。


 そこで、前述した全試合における「登板イニング数」と「1イニング当たりの与四球数(BB/回)、奪三振数(K/回)」の関係のグラフ(一番最初の黄色いグラフ)を見てみましょう。
 確か与四球数は「2イニングを超える」と顕著に低下していましたね。登板間隔も「2回以上跨ぎの2イニングより多い」が「1イニング以下」及び「1回跨ぎの2イニング以下」より増えています。


 すなわち、前述の仮説④に類似して、
「登板間隔開けた方が与四球数を減らしやすい(乱れにくい)」と考えられ、
「回跨ぎをすれば登板間隔も開けやすくなる」ので、
結果として、「回跨ぎをした方が被安打数+与四球数を減らしやすい」(仮説⑤)
が考えられるかもしれません。



@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@


 また上表における防御率、無失点試合数の割合(=無失点試合数/全試合数)を見てみましょう。
 防御率は「1回以下」>「2回以下(1回跨ぎ)」>「2回超(2回以上跨ぎ)」という傾向があります。一方、無失点試合数の割合は「1回以下」<「2回以下(1回跨ぎ)」<「2回超(2回以上跨ぎ)」の傾向にあります。
 前述の与四球数、被安打数の傾向(仮説⑤)を考えれば、当然の傾向と思われます。


 すなわち「『回跨ぎ』をした方(登板間隔開けた方)が失点を減らしやすい」(仮説⑥)が考えられます。



@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@


 今回、Kマートについて、米国3A時代の成績を登板イニング別などで整理し、あれこれ申しましたが、その個々の原因は、正直、粗い推測にすぎず、Kマートのみ知るというところもあるわけですが、ここで1つ述べたいことは、

Kマートについては、

米国3A時代や今年の成績を鑑みると、
実は、1イニング限定で使うより
回跨ぎをさせた使い方の方が好投しやすい、
安定した投球がしやすいのでは、

というところですね。


まあ暴れ馬ですから、
それでも『ご乱心』は残るでしょう。
でも、今よりはマシになるかもよ、
という気もします。


ただし、間隔を開けることが重要そうですから、
せめて『中3日以上』は開けて使うが前提条件ですね。


使い方を変えてみて
試す価値は十分あると思われます。